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水先案内人のおすすめ

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見逃せない、ちいさな芝居を中心に

釣木 文恵

演劇ライター

すいているのに相席'19

『すいているのに相席』は、文筆家のせきしろ、芸人のバッファロー吾郎A、ヨーロッパ企画主宰の上田誠の3人が脚本を持ち寄るオムニバスのコント公演。2013年の第1回公演以来、およそ年1回のペースで新作公演が行われている。 アニメ、テレビ番組、タレント、芸能ニュース、そういういろんなものをとっかかりに生み出される笑い。けれどもブラックだったり皮肉っぽいところは、ない。かわいらしく、愛おしく思えるコントが詰まっている。 全体を覆うやさしい雰囲気がありながらも、脚本陣3人それぞれの個性がコントから見えるのも魅力のひとつ。バッファロー吾郎Aの書くコントはもっともマンガ的。たとえば「ギャグを大声で言う」ような、プリミティブな笑いの強さを感じさせるものが多い。上田作品は自身の本公演同様、次元の変化や科学的な現象など、SFチックな設定や展開がシンプルな面白さに帰着する。せきしろ作品は、叙情的だ。せつなさ、静けさ、ノスタルジー。コントの中に面白さとさみしさが並んでいて、ときに涙を誘うことさえある。 ザ・ギースの2人、アイアム野田(鬼ヶ島)、バッファロー吾郎A、山脇唯というオリジナルメンバーのみでの公演は久々のこと。芸人のコントとも、演劇のコントとも違う笑いがここにはある。

19/12/6(金)

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