音楽専門誌『ぴあMUSIC COMPLEX』連動企画
THE YELLOW MONKEY、1.5万字超えのインタビューを掲載。“復活ののろし”となるアルバム『Sparkle X』を語る【後編】
PMC編集部
第166回
4月27日東京ドーム「THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024 "SHINE ON"」 撮影:横山マサト
5月29日にリリースしたTHE YELLOW MONKEY10枚目のオリジナルアルバム『Sparkle X』。同作のLISTENING PARTYが、5月10日東京都内にて開催された。同日行われたメディアの合同取材に登壇した吉井和哉(Vo)、菊地英昭(G)、廣瀬洋一(B)、菊地英二(Dr)の4人。ラジオDJの落合健太郎を聞き手に行われたインタビューを1.5万字超えで掲載する。後編はメディアによるQ&Aと各メンバーのアルバム『Sparkle X』への思いを届ける。
前編:東京ドーム公演、アルバム『Sparkle X』の各楽曲についての制作ストーリーはこちら
なお、現在好評発売中の『ぴあMUSIC COMPLEX(PMC)Vol.32』では、「THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2024 "SHINE ON"」(4.27東京・東京ドーム)のライブレポートを掲載中。そちらもぜひチェックを!
――新しいアルバムが一つ完成したことによって、一つ前の作品の意味合いがより深く見えてくる部分があると思います。今現在、『9999』という作品を改めて振り返って、あの作品は今のTHE YELLOW MONKEYとしてはどういった意味合いを持っているとお考えですか。
吉井 『9999』の最後の曲なんだっけ?
EMMA(菊地英昭) 思い出せ。誰か。
HEESEY(廣瀬) 「Horizon」?
吉井 「I don’t know」じゃない?
HEESEY 「I don’t know」です(笑)。
吉井 アルバムの中で、最後の一言がそのアルバムのテーマだっていう風に思っていたんですけど……「I don’t know」じゃないですか。わからない(笑)。
ANNIE(菊地英二) 『9999』はアルバムを出すまでに何年か活動してきて、デジタルシングルも出していたり、半分くらい既存曲があって作ったアルバムなので、コンセプチュアルではありますが、あらかじめコンセプトがあったわけではないので、再始動からのいろんな活動を網羅していたと思うんです。でも、今作は明確に吉井のこともあって、それを乗り越えたTHE YELLOW MONKEYがアルバム作るということで作り出しているので、目的が明確に違うと思うんですよね。『9999』は再集結して「僕らはもう1回やってきます」という作品だったけど、今回は本当、次へのステップアップ。「僕たちももう1回はじめます」という意思表示みたいな感じがしています。
HEESEY そうだね。
――デビュー後、いろんなストーリーがあるバンドですが、ずっと続けている中でファンの人たちについて、今、どういった存在になっていますか。ドーム公演を拝見して、デビューのときとはちょっと違う存在になっているのではないかと思い、伺います。
HEESEY 僕ら、「ついに噂のバンドがデビュー」みたいな鳴り物入りのデビューでもなかったし。ずっとやってきたインディーズ時代の根強いファンたちのおかげで、デビューできたみたいな感覚があって。デビュー後、おかげさまで注目が集まるようになりまして、メディアやいろいろなきっかけを通して知ってくれて、どんどんファンの方々が増えて、すごくいい形でステップアップしてきました。ライブの動員だけはウナギ登りでこれたバンドですが、90年代のファンも今でも愛してくれていますし、再集結してからのファンの方々もいらっしゃる中で一つ思うのは、みんなが平等に、熱心に、愛してくれているなということです。今回、ドームに集まってくれたというのも本当に心強かったですし、「バラ色の日々」がはじまったときに、みんなが歌ってるのを聴いて、本当に僕らだけでなく、5万人のファンを含めての東京ドーム公演になって。ファンの存在をすごく強く感じています。これからもずっと一緒に歩んでいけたらなと思います。
――若い世代の人たちに、改めてTHE YELLOW MONKEYのロックとは何か、みなさんの言葉で伺えますか。
吉井 そこは、数年前まで深刻なバンドのテーマでもありました。やっぱり 30代、40代、50代と歳を重ねると、ファンもライフステージが変わって、生活もあるし、ライブに行きづらい、聴きづらいというようなこともあると思います。そういうとき、若い人たちに向けて全力でやるというのも、それはちょっと違うなと思いました。今回のアルバムは、自分たちが目をつぶっていてもできるような楽曲を、「本当にこれが大好き」という感じでやることが一番大切だと思って作った作品で。ご両親が音楽が好きで、こういうロックを車の中で聴いていて、ルーツを知っている子たちが、「かっこいいね」と来てくれるとうれしいし、もちろん感性で来てくれる子たちもうれしいと思いますが、世の中にどういった嗜好の若い方たちがいるかというのも正直不透明ですから、そこは意識せず、お届けしているというのはあります。
――新しい世代というところの話題とつながりますが、今、サブスク(音楽ストリーミングサービス)の時代に、アルバム作品というものの考え方も変わってきたと思います。プレイリストや好きな曲だけを選ぶという聴き方が普通になってきてる中で、アルバムという作品11曲に対するこだわりの部分を伺えますか。
吉井 アルバムというガチガチの考え方は、僕らもやっぱり薄れてきていて。昔は1回マスタリングしてもらって、さらに曲間を2秒ズラすとかやっていたんですよ。そういうのは無駄かなと思うし、昔、我々の憧れだった海外レコーディングも、昔と違う価値観の中にあって、やっぱり時代は変わっていて、そこは順応していっているつもりです。幸いレコードを聴く若い人たちもいらっしゃるけど、アルバム単位の45分60分っていうのは、普遍的に集中力が続く時間だなとも思っているので、そのくらいシンプルに作った11曲です。サブスク感はあまり考えていないし、考えてもいるし、みたいな。ちょっと曖昧です。
HEESEY 今回、1曲1曲に、その曲自体の魅力ももちろんあって。1曲聴いて、そこから、もっと突っ込んでアルバムを聴いてみたくなる魅力みたいなものも明らかにあると思います。
吉井 ですね。コロナ前とかは、イントロを長くしてると飛ばされちゃうよって言われて、気にしたりもしたんですけど。今は、もう気にしなくなりました。「イントロは長くなきゃダメだ!」みたいな(笑)。
HEESEY とはいえ、曲作りもそうだし、レコーディング時にも試行錯誤しているところは結構あって。いろんな見方をしているつもりではあります。
――最後に、アルバム『Sparkle X』についての思いを一言ずついただけたらなと思います。
HEESEY 僕らの世代のアルバム感という話も出ましたが、今回、アルバムのリリースを前に世に出ている曲もありますが、まだ出ていない曲の底力が全部詰まった上で『Sparkle X』というアルバムになるっていうことをいつも以上に強調したいというか。いろんな曲が出てるぶん、アルバム収録曲にすごく期待してほしいなと思います。それらがライブになったときに、実は本領を発揮したりするので。僕ら自身もそう願っていますし、みなさんもそういう感覚で、全曲聴いていただけたらと思います。
吉井 やっぱり自分の病気というのが、テーマになっていることは事実で。今までのTHE YELLOW MONKEY節……胸のボタンを3つぐらいあけてイエーイみたいな成分はあまりないかもしれないんですが、代わりに出てきた新しい成分をすごく大事にしたい。それは、新しいTHE YELLOW MONKEYの宝石だと思っています。それで、重要なのは、やはりライブで。ライブはどんどん強化していきたいと思っています。どんなアーティストでもそうですが、年齢を重ねていくと、曲を作るスキルも絶対に落ちてくるんですね。それでも、アルバムをがんばって作るというのは、ライブと作品が対になっているからで。ニューアルバムがないと新しいコンサートができないから、そこは、長く続けるアーティストの一つの宿命です。個人的な病気のことも含めて、我々が新しく挑戦し続けるところだと思っていますので、また次作もその次の作品も引き続き長い目で見ていただければと思います。ひとまずは、この『Sparkle X』を体感してほしいと思っています。
ANNIE LOVIN(吉井和哉)をはじめバンドもひと山越えてきたところで、また復活……僕はそこまでヘビーにはとらえていなかったんですけど、やっぱり状況が複雑になるにつれて、大変なことを乗り越えてきたなというのがあって。もう1回バンドができる喜びというのが、このアルバムにすごく詰められたと思います。あとは、LOVINの歌のことになりますが、今までは「死」といいながら「生」を歌うとか、「絶望」といいながら「希望」を歌うとか、ちょっとひねくれた表現をしていたと思うんです。でも、今回のアルバムはすごくストレートに伝わると思うので、そういう言葉の一つ一つの重みが違って聴こえると思います。乗り越えてきたLOVINが、そういう力強い言葉で歌うことで、今、すごく困っていたり、悩んでいる人とか、それこそ身体のことでどうしようもない人が、ちょっとでも希望の光を見てくれたらいいなと思っていますし、そういうアルバムになったと思います。ぜひみなさんでかわいがってあげてくれたらと思います。
EMMA 「復活の日」という曲がありますが、僕自身も世の中的にもいろんなことがあったので、THE YELLOW MONKEYがこの4人でまたバンドをやれるということ、このアルバムができたということは、復活ののろしになっている気がして。このアルバムを携えて、ライブもしたいですし、ここからまた新しい世界を広げたい。先日の東京ドームでも思いましたが、やっぱり素晴らしいオーディエンスがたくさんいるので、彼らのところに音を届けたいです。そして、彼らと一緒にまた新しい世界をね、目にしたい。歳はとっていきますけど、できることはまだあると思うので、衰えつつも、またなにか探して、転がっていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。ということで、『Sparkle X』もよろしくお願いします!
文:PMC編集部 撮影:横山マサト
前編はこちら
リリース情報
10th Album「Sparkle X」
2024年5月29日(水) リリース
(CD+DVD):4,950円、(CD):3,300円
【CD収録曲】
M-01. SHINE ON
M-02. 罠
M-03. ホテルニュートリノ
M-04. 透明Passenger
M-05. Exhaust
M-06. ドライフルーツ
M-07. Beaver
M-08. ソナタの暗闇
M-09. ラプソディ
M-10. Make Over
M-11. 復活の日
ツアー情報
THE YELLOW MONKEY TOUR 2024/25 〜Sparkleの惑星X〜
2024年10月15日(火) 神奈川・神奈川県民ホール 大ホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2024年10月20日(日) 愛媛・愛媛県県民文化会館 メインホール
OPEN 16:30 / START 17:30
2024年11月1日(金) 愛知・名古屋国際会議場 センチュリーホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2024年11月7日(木) 広島・広島文化学園HBGホール メインホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2024年11月10日(日) 兵庫・神戸国際会館こくさいホール
OPEN 16:30 / START 17:30
2024年11月15日(金) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2024年11月21日(木) 宮城・仙台サンプラザホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2024年11月26日(火) 栃木・宇都宮市文化会館 大ホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2024年12月1日(日) 北海道・札幌文化芸術劇場hitaru
OPEN 16:30 / START 17:30
2024年12月7日(土) 福井・福井フェニックス・プラザ エルピス 大ホール
OPEN 16:30 / START 17:30
2024年12月9日(月) 大阪・フェスティバルホール
OPEN 16:30 / START 17:30
2024年12月13日(金) 鹿児島・川商ホール(鹿児島市民文化ホール)第1ホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2024年12月28日(土) 東京・日本武道館
OPEN 17:00 / START 18:30
2025年1月8日(水) 愛知・名古屋国際会議場 センチュリーホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2025年1月15日(水) 大阪・大阪城ホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2025年1月19日(日) 宮城・仙台サンプラザホール
OPEN 16:30 / START 17:30
2025年1月24日(金) 埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2025年2月7日(金) 東京・東京ガーデンシアター
OPEN 17:30 / START 18:30
2025年2月11日(火・祝) 福島・けんしん郡山文化センター 大ホール
OPEN 16:30 / START 17:30
2025年2月14日(金) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2025年2月23日(日) 岡山・倉敷市民会館
OPEN 16:30 / START 17:30
2025年3月7日(金) 熊本・熊本城ホール メインホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2025年3月14日(金) 富山・オーバード・ホール 大ホール
OPEN 16:30 / START 17:30
2025年3月17日(月) 大阪・フェスティバルホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2025年3月20日(木・祝) 宮城・仙台サンプラザホール
OPEN 16:30 / START 17:30
2025年3月27日(木) 香川・レクザムホール 大ホール(香川県県民ホール)
OPEN 16:30 / START 17:30
2025年4月4日(金) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2025年4月13日(日) 山形・やまぎん県民ホール大ホール
OPEN 16:30 / START 17:30
2025年4月22日(火) 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
OPEN 17:30 / START 18:30
2025年4月30日(水) 東京・NHKホール
OPEN 17:30 / START 18:30
【チケット】
指定席:10,000円(税込)
立見指定 ※設定ある会場のみ:10,000円(税込)
※6歳以上チケット必要(但し、6歳未満でも座席が必要な場合はチケット必要)
ツアー特設サイト:
https://theyellowmonkeysuper.jp/feature/tour2024_25