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黒子首/PIA SONAR MUSIC FRIDAYインタビュー

期待のニューカマー・黒子首 守らず攻めたニューシングルは異色のコラボ楽曲

特集連載

第35回

櫻井海音が最新のリリース楽曲からライブイベントまで、“いま聴くべき音楽” を厳選して紹介する『PIA SONAR MUSIC FRIDAY』から、番組連動インタビューを掲載。今回は2月25日に出演した、期待のニューカマー・黒子首のメンバー3人に、ニューシングル「やさしい怪物 feat. 泣き虫☔︎」について話を聞いた。

好きなメロディしか歌えない、本気で思ってることしか言葉にできない(堀胃)

── バンドを結成してしばらくはどのようなことにポイントを置いて活動していたんですか?

堀胃 最初の1年、2年くらいまでは3人でどこまで突き詰められるかということで、3人が3人に向き合ってバンドを進めている感じでしたね。

── とりあえず3人で何ができるんだろうっていうところから始まった感じですか?

田中 そうですね。あと編成もちょっと変わっているというか、普通3ピースだったらエレキギターでボーカルなんですけど、うちはアコギでボーカルだったんで、誰もやったことないんじゃね? この編成っていうのもあって、ちょっとじっくり3人だけで突き詰めたかったっていうのもありますね。

── 音楽的なバックグラウンドはそれぞれバラバラだと思うのですが、3人集まって真ん中にあるなと感じたものは何だったんですか?

堀胃 それは“ポップス”かもしれないですね。ポップスが柱にあってっていう感じですね。

── その“ポップス”を作るためにどのようなことをするんですか?

堀胃 自分たちの中にあるキャッチーな部分──つかみどころのあるものを探して、で、3人が一致して「それいいよね」ってなった時に、そこに振り向いてもらうために、よりわかりやすく仕上げる作業を、いつも頭を抱えながらやっているって感じですね。

田中 とは言うものの、オルタナティブな部分も3人共通で、これは「気持ちいいねー」と「気持ち悪いよねー」っていう部分の両方を持っているから、私はふたりに魅力を感じます。ふたりが私に対してどう思っているのかはわかりませんが(笑)。

── 共通して鳴らしている部分と個性が全く中和されないで放置されている部分の両方が曲にあるということですよね。それは黒子首の音楽の根っこの部分という感じがします。

3人 はははは。

堀胃 うれしいですね。

── 自分たちで自分たちを見つけていく期間を経て、大事にしていることは何ですか?

堀胃 好きっていうのは大事にしていますね。人に聴いてもらうとき、絶対に好きじゃないものは聴かせないようにしています。だいたい最初に曲を作るのは私なんですけど、好きなメロディしか歌えないですし、あと本気で思ってることしか言葉にできないし。そういうのを大事にして曲を作ってます。

『骨格』という作品は最後の一滴まで出し切ってやれた(田中)

── アレンジは3人でやっていくんですか?

田中 そうですね。

── それは3人で音を出しながら、あーだこーだ言い合いながら?

田中 そういう感じでスタジオで合わせてっていうことが最近になってようやく増えてきた気がします。

堀胃 うん。

── そこはどうしてそうなっていったんですか?

田中 アルバム『骨格』を作っている時は、元になるものを私が打ち込んでいたんですけど、アルバム制作の最後になっていくほど、なんて言うのかな……もっとこのバンドにしかできないことをやるために、まったく違う視点から全員で作った方が面白いんじゃないかって思い始めたんですよ。私の作った元があることで、そっちに引っ張られるというのが嫌だったんです。1回スタジオでバチンと合わせて、そこでインスピレーションを得て進めるっていう方が面白いものができるなっていう感触が得られたんですよね。

みと もともとのやり方で、別に面白くないものができていたわけではないんですけど、新しいものが生まれやすくなったかなっていうのは思います。「そうきたか!」っていう驚きが増えたというか。

堀胃 誰かひとりが全部曲を完成させちゃうと、どうしてもまとまるんですよね。でも3人でスタジオに入って合わせると絶対に事故が起きるので、その事故をどう解決するかとか、そのまま事故らせておくかとか。そこで発生する話し合いが楽しくて、どんどんこのバンドをやっていきたいなって思えるようになりました。

── そういう意味でも『骨格』というアルバムはバンドにとってのターニングポイントになりましたよね。

堀胃 そうですね。

田中 何かの時に堀胃さんが話していたんですけど、「ここでいいものを作れなかったら解散だ!」って(笑)。

堀胃 言いましたね。

── バンド内の会話で。

田中 そうです。だから『骨格』という作品は最後の一滴まで出し切ってやれたという感じはしますね。これで最後でも恥ずかしくないようなものを作ってやるっていうイメージでやりました。

── もちろん自分たちのポップスを突き詰めるということが目標としてあったと思うんですけど、もう少し具体的にいうとそれは、自分たちの領域を広げるというか、もっとやれることがあるんじゃないかというものを探すことだった?

みと そのタイミングでいっぱい楽器を増やしたから、そういう意味でもいろんなチャレンジをしたタイミングでしたね。

田中 今までが本当に、3人だけの音しか入っていないような感じではあったので。もちろん3人の音楽を突き詰める過程だったので、それはそれでいいんですけど、一方でやりたくてもやれなかったということも正直あったんですよね。たぶん『骨格』を作るタイミングでやりたいことがブワーって溢れたんだと思います。

── あえてストップしていた感じもあったのですか? 本当はここまでイメージとしてはあるんだけど、3人だし3人でできることをまずはやらなきゃっていう意識の方が大きかった?

堀胃 『骨格』に入る寸前はそんな感じだったかもしれないですね。3人でできる限界ポップスを突き詰めたのが「時間を溶かしてお願いダーリン」(2020年リリース)なんですけど、この曲ができた時に、そこからもっといろんな可能性があるのでは?と感じ始めました。

── 一度3人で振り切ってポップスをやらないと、次の段階へは進めないなという感じだったんですかね?

田中 ふたりが言ったんだよね? あれ、3人で言ったのかな? シングルはこの曲がいいんじゃないって?

みと うん。それまでは結構ダークな曲が多かったから、ここでバーンってポップスをシングルで出そうってみんなでなった。

堀胃 それまでは暗い言葉を暗いまま出す、それが正義だ、みたいに思ってたんですけど。「時間を溶かしてお願いダーリン」で、すごい悲しいことを歌っているけど、明るいポップスに昇華できたことで、ちょっと引っ掛かりができて、気になってくれる人が増えたんですよね。あ、このやり方は間違ってないなって思って、そこから『骨格』に向かっていけた感じでした。

これからも何かに収まるのだけはやめたい(堀胃)

── 『骨格』を経て今回のシングル「やさしい怪物 feat. 泣き虫☔︎」になるんですけど、お話を伺っていてもこの曲に至るまでの段階がすごく見えるというか、要するに『骨格』での様々なトライがなければ「やさしい怪物 feat. 泣き虫☔︎」はなかったのでは?

田中 ああ、そうですね。

── 曲作りはどういうところから始まったのですか?

堀胃 曲自体は、私があるニュースを見たことがきっかけなんです。どんな人でも脳内に怪物みたいなのを飼ってて、それを怪物のまま飼い慣らしてしまったら、良くない方向に行っちゃうので、その怪物をどう乗りこなしていけるのか、とか。もっとみんなで楽しい方向に持っていけるはずだよなっていう思いを込めて、作ったのがこの曲です。で、そのタイミングで、ちょうど泣き虫さんに声をかけていただいたので、泣き虫さんの声を想像したらめちゃくちゃメロが思い浮かんで、完成に至ったって感じです。

── 泣き虫さんの声と堀胃さんの声の質感に近い部分があるなと感じました。ざらっとした質感というか。だから今回堀胃さんのボーカルが高音を多用しているのが、あえて泣き虫さんとの違いを意識しているのかなと思ったのですが、そのあたりはいかがですか?

堀胃 私の思い浮かんだメロが、だいたい泣き虫さんのキーで再生されていて、歌ってほしいところは全般泣き虫さんに歌っていただきました。もしかしたら、泣き虫さんのオーバードライブ感が強くて、私のボーカルがクリアに聞こえるっていうのもあるかもしれない(笑)。

田中&みと はははは。

── 単純に(笑)。

堀胃 そう(笑)。でも、それに見合えるようなバランスを考えたりもしました。あんまり私が普段使わないような、高い音域を使ったり。

── 突き破ってる感じはします(笑)。

堀胃 そうですね(笑)。ある種の挑戦ですね。

── アレンジですけど、イントロのキャラが立っているというか。トライバルなドラムから始まって、クラビネットが入ってきて、何が始まるんだ?っていう感じがありますよね。アレンジに関しては、どういうふうに出来上がっていたんですか?

田中 ど頭のドラムは、ディレクターの方のアイデアだったんですけど、せっかく泣き虫さんとやるんだったら、誰も聴いたことのない泣き虫さんを聴かせたくね?って思って。しかもそれでいて、黒子首もまだ出したことない感じでやりたいって思いました。そこから異国感が漂うデモを作ってそれを形にしていった感じですね。

堀胃 最初のクラビを入れるか入れないかで1日中揉めました(笑)。

田中 そうですね(笑)。

── クラビというアイデアはあって、それをどうするかと。

堀胃 はい。今までの黒子首だったら絶対に入れてないんですよ。

田中 アコギを立たせたいからね。

堀胃 そう。でもなんかこう勇敢に立ち向かう風景が、クラビが鳴ると私的には思い浮かんで、あ、そうそうこの景色ってなって。でも最初は私以外、全員ない方がいいってなったんですよ。それであまりにもいらないって言われるから私的にもじゃあない方がいいのか……って揺らぎ始めた時に、ふたりがびっくりするくらい正反対の意見を返してきて。

田中 掌返しをね(笑)。

堀胃 絶対あった方がいい!って(笑)。

みと 最初は、ど頭でこの音がくるの?ってちょっと疑問に思った。3人の音にこだわってたじゃん。だからどうなのかなって思ったけど、黒子首っていうのを1回置いて、曲として全体のバランスを考えた時に、あった方がいいかって思って、それで掌をちょっと(笑)。

田中 最初のドラムでジャングル的なイメージがバーって浮かんできて、そこにクラビが入ると、1匹だけ金属の虫が飛んでいるような感じがしたんですよ。最初は単なる違和感だと思ってたんですけど、でもそれが泣き虫さんっていう、黒子首以外の人の声が入るメタファーになっている感じがどんどんしてきて。どっちにしろ、もともとやったことがないことをやろうぜって言ってこういうアレンジになったので。せっかくだったら振り切って面白い方がいいんじゃないかって、それでちょっと掌を(笑)。

── ファンクだし、R&Bだし、ロックだし、J-POPだし、だけどそのどれでもない、というような、本当に黒子首の目指すべきポップスというものの最新形にして原型があるのかなと思いました。そういう意味で、泣き虫さんが加わることで、それまであった壁を超えることができたのかもしれないですよね。

田中 そうですね。確かにふたりの声があることで演奏陣も振り切ってできましたね。いつもだったら、ちょっとここはボーカルを立たせるためにあんまり変なことはしないでおこうとか、遠慮みたいなものが出てきたりするんですけど、泣き虫さんが入ることで、堀胃さんの声も際立って聴こえるし、こっちが何をやってもこのふたりの声の凄さはビクともしないなって思えたので、じゃあこっちもなんでもやっちゃえっていう化学反応でしたね。

── 改めてメロディと歌詞の偉大さというか、ポップスとしての自由さがそこに担保されている感じはありますよね。で、歌詞に関して言うと、先ほど堀胃さんがニュースを見たことがきっかけでできた、とおっしゃったんですけど、もしこれがもっとドキュメンタリーな手触りのものだったら、やっぱりそれはポップスじゃないんですよね。ポップスとして成立させるためにどうすればいいのかという試行錯誤が詰まっているようにも思えました。

堀胃 最初はもっとドキュメンタリーというか、ハッピーエンドじゃなかったんですよ。自分が悪い怪物に食われて終わるっていうような感じで。でもこれ、もっと楽しい方向に変えていこうよっていうふうにしないと、ちょっと違うなと思って。自分の中の怪物を乗りこなしている理想型に、最後はたどり着いて終えることができました。

── 「やさしい怪物 feat. 泣き虫☔︎」を作って、黒子首として掴んだものがあるとすればそれは何ですか?

堀胃 これまで私たちの歩んできた過程で──暗い曲から明るい曲に行く時も、明るい曲から楽器を増やす時も、楽器を増やした状態からコラボに行く時も、何回も黒子首っていう概念を超えられたので、これからも何かに収まるのだけはやめたいなと思いました。

田中 結構尖ったものたちが何らかの化学反応でまとまったものを作れちゃったので、変にこれからも守りに行かずにどんどん攻めていけるなーと思いました。自分たちのことなんですけど、ワクワクしていますね。これからどんなことが起こるのかしら?って。楽しみになりました。

みと またこの曲を超えるものを作るのも楽しみだし、黒子首が毎回超えていくのは当然そうしないといけないと思うのと同じように、個人的にもやったことないようなことをどんどんやろうって思いました。

田中 じゃあ、歌おっか。

みと ベースの話です。

堀胃 みとはできなければできないほど楽しくなるタイプなので、自分で意味のわからないフレーズを作っておいて、できねー!って文句を言っています(笑)。

── 今、3人だけでやったらまた違うものが生まれそうな感じですね。

田中 あー。ちょうどね。

堀胃 さっきスタジオに入ってきたんですけど。はい。できてますね(笑)。

Text:谷岡正浩 Photo:吉田圭子

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リリース情報

odolデジタルシングル「望み」
黒子首デジタルシングル「やさしい怪物 feat. 泣き虫☔︎」
2022年2月2日(水) 配信リリース
1.やさしい怪物 feat. 泣き虫☔︎

■Streaming/Download:https://TF.lnk.to/_Yasashiikaibutsu/

ライブ

黒子首×泣き虫☔︎ presents 『泣きぼくろ』2MAN
開催日:2022年3月6日(日)
会場:Spotify O-Crest
時間:18:00開場/18:30開演
出演:黒子首/泣き虫☔︎
料金:4,000円 (入場時ドリンク代が必要)

navey floor pre. 『Tokyo Eye 13』
開催日:2022年3月16日(水)
会場:navey floor
時間:18:00開場/18:30開演(予定)
出演:中野ミホ(Band Set)/黒子首/Lilubay
Opening Act:momostolen
料金:3,000円(入場時ドリンク代が必要)/配信チケット2,000円

Hammer Head Shark pre『魚座の痣vol.3』
日時:2022年3月24日(木)
会場:下北沢THREE
時間:18:00開場/18:30開演
出演:Hammer Head Shark/メレ/黒子首/ayutthaya
料金:前売2,900円/当日3,400円(入場時ドリンク代が必要)

VIVA LA ROCK 2022
開催日:2022年4月30日(土)、5月1日(日)、3日(火・祝)、4日(水・祝)
※黒子首は5月4日(水・祝)最終日に出演
会場:さいたまスーパーアリーナ
5月4日出演:クリープハイプ/SUPER BEAVER/sumika/the telephones/東京スカパラダイスオーケストラ/にしな/Hakubi/フレデリック/黒子首/Mr.ふぉるて and more!! (五十音順)
※黒子首は5/4(水・祝)最終日に出演

プロフィール

Gt./Vo.堀胃あげはBa.みとDr.田中そい光
2018年7月に結成。聞きやすいPOPさを前面に出しながらも、非常に豊かな音楽的背景を具現化したサウンドを奏でる3ピースバンド。東京都を中心に活動し、2021年7月に初の全国流通となる1stアルバム『骨格』リリース。2022年2月2日に本名・素顔・年齢全て非公表のソロアーティスト泣き虫☔︎をフィーチャリングに迎えた「やさしい怪物 feat. 泣き虫☔︎」をデジタルリリースした。

関連リンク

公式サイト:https://www.hockrockb.black/
Twitter:https://twitter.com/hockrockb
Instagram:https://www.instagram.com/hockrockb/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCjFMT7EP50GUpe3IqnSJP7g

番組概要

放送局:J-WAVE(81.3FM)
番組名:PIA SONAR MUSIC FRIDAY
ナビゲーター:櫻井海音
放送日時:毎週金曜 22:30~23:00
番組HP:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarfriday/
番組twitter:https://twitter.com/SONAR_MUSIC_813
ハッシュタグ:#sonar813
番組LINEアカウント:http://lin.ee/H8QXCjW