地上波連続ドラマ初出演となった『姉ちゃんの恋人』から、飛躍のきっかけになった『仮面ライダーリバイス』など弟役の印象が強い日向亘。
素顔の日向亘も天性の愛されキャラ。人に対して壁をつくらず、屈託がない。だから、自然と誰もが日向亘にかまいたくなる。
『Get Ready!』『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』『どうする家康』『君となら恋をしてみても』『うちの弁護士は手がかかる』と今年だけで5本の連ドラに出演。その未来に大きな期待が寄せられる19歳は、ラストティーンの今、どんな夢を見ているのだろうか。
── まもなく『チョイ住み』が放送されますね。毎回、ふたりの旅人が世界の街にちょっとだけ住む番組です。
僕にとって3回目の海外。と言っても、最後に行ったのは小2の頃だったから、すごく久しぶりで楽しかったです。
── これまではどこの国に行ったことがあるんですか。
マレーシアとオーストラリアに。行ったのは幼稚園とか小2ぐらいの頃で。その頃の記憶なんてみんなもうほとんど覚えていないじゃないですか。でも不思議なんですけど、海外に行った記憶は鮮明に残っていて。やっぱり子どもにとっても普段住んでいるのと違う国に行くのって刺激的だし大事件。だから、わりとはっきりそのときのことは覚えているんです。
── 今回はどこに行ってきたんですか。
フランスのマルセイユです。もう最初からすごくドキドキしました。だって、ひとりで国際線に乗るのも初めてだったので。
── ちゃんと乗れました?
しっかり下調べしたので大丈夫でした(笑)。でもやっぱり海外は怖いです。だって、帰れないんだもんね! 日本だったら、どこに行ってもなんだかんだ帰ってこられるじゃないですか。だけど、海を渡ると簡単には帰ってこられない。それは怖いですよ。怖い怖い(笑)。
── 現地では言葉も通じないわけですよね。あれって結構リアルなんですか。
ガチです。スタッフさんも誰も手伝ってくれないので、撮影先の取材交渉も全部自分でやるんです。
── すごい。どうやって?
翻訳アプリを入れて。わーっと日本語で喋って、それを翻訳してもらって。でも、相手も忙しいから、待たせるのも申し訳ないし。「ソーリーソーリー、ちょっと待ってね」って言いながら、もう必死です。で、向こうが話したのをアプリで日本語に訳して、「オッケーオッケー」と。すごい大変でした。
── しかも初対面のふたりで共同生活を送ります。
僕のパートナーは、戦場カメラマンの渡部陽一さんでした。1日目は僕ひとりで、渡部さんと合流したのは2日目からだったんですね。渡部さんは海外のスペシャリストだし、英語もペラペラ。だから心強かったですし、すごく助けてもらいました。
── 言葉の通じないところでひとりはさすがに心細いですもんね。
あ、でも3日目のときに渡部さんから言われたんです、1回別行動しようって。この2日間でひゅうちゃんは成長したから、1日目とはきっと全然違う。僕も行きたいところがあるから、ひゅうちゃんもひとりでやりたいことをやってみようって。
── そんな獅子が子を谷底に落とすようなことを…。
マジかと思いました(笑)。1日目のひとりの時間がトラウマすぎて、本当に嫌だったんですけど、渡部さんのやっていることを見て、ちゃんと学んでいたんでしょうね。渡部さんは英語は話せるけどフランス語は話せなくて。でも、そんなこと気にせず、いろんな人に挨拶するんですよ。
だから僕もとにかく「ボンジュール」って言って。そしたら、みんな「ボンジュール」って返してくれた。ちゃんと挨拶ができるようになったんです。で、そうやってコミュニケーションがとれると、なんとなく自信につながって、わからないなりに自分からいろいろ話しかけることもできるようになる。
やっぱりオドオドしたまま話しかけても、相手も聞く耳を持ってくれないんですよね。下手くそでも堂々としていれば、向こうもちゃんと相手をしてあげようという気になる。そのことに気づけたのは大きいし、自分でもすごく成長を実感できる旅になりました。
── じゃあ、もうこれからは海外ひとり旅もバッチリですね。
と、帰国した直後は自分でも思っていて。何ならひとりでどこかに旅行にでも行こうかなと考えていたんですけど、もうすっかり忘れました。完全に日本で落ち着いています(笑)。
北海道で海の幸をたらふく食べるか、箱根で温泉に浸かりたい
── そもそもですが、海外志向は?
ないっすね(笑)。
── 旅行に興味は?
好きは好きなんですけど、あんまりしたことがなかったんです。旅行といったら家族旅行だけで。友達と旅行もあんまりなかったんで。してみたいなという興味はあるんですけどね。経験値が足りないんで、まずは近場から徐々に攻めたいです。
── 今ならどこに行きましょう。
北海道かな。海の幸が好きなんです。特に牡蠣が好き。牡蠣なら生牡蠣でも焼き牡蠣でも何でも好きです。北海道といえば海の幸のイメージなんで、おいしい海の幸をたらふく食べたいです。あとは、箱根とか。
── 温泉、好きなんですか。
好きですね。地元の群馬は草津温泉もあるし伊香保温泉もあるし、温泉は群馬の誇りなんです。だから、いろんな温泉に行ってみたいです。
── 温泉は長湯派ですか。
そんなに長くは浸かれないです。ただ、お風呂に入ってる時間自体は長いと思います。浸かっては上がって、浸かっては上がってを繰り返すという感じで。友達と銭湯に行くときとか、気づいたら2時間くらい経っていたということも普通にありますね。
── 銭湯、行くんですね。バレないんですか。
全然バレないです。というか、僕、本当にバレないんですよ。渋谷とか歩いていても全然バレない。
── 背が高いから目立ちそうなのに。
たぶんあまりにも堂々としてるからかな。芸能界の友達とかバレるって言うんですけど。どうやらバケハをかぶっているとバレるみたいです。
── 確かに。逆に怪しいですもんね。
僕は普段から服もそんなオシャレとかしないんで、普通に街に溶け込んでいます。たぶん普通の大学生にしか見えないんじゃないかな。あ、でもフランスでバレたんですよ。
── え。すごい。
1日目にひとりで街を歩いていて。マルセイユって港町で、そんなに観光客もいないから、本当に日本人が全然いないんです。で、日本語が伝わる人はいないかな〜とか言いながら人気(ひとけ)のない路地裏をハンバーガー食べながら歩いていたら、「『ペンディングトレイン』の高校生ですか」って日本語が飛んできて。
── うれしいですね、それは。
マジっすかって、びっくりしました。うれしかったですね。
── じゃあ、いつか渋谷で追い回されたりもしたい?
いや、僕、いきなり声をかけられるのがあんまり得意ではないんで、ひっそりしていたいです(笑)。ただ、ひとりだとバレないんですけど、ふたりでいるとバレるんですよね。前田拳太郎と一緒に歩いていたときも、最初に前田拳ちゃんが気づかれて。「前田さんですか」と声をかけられているうちに、拳ちゃんだけ置いて、さっとその場から離れました(笑)。
── ズルい(笑)。
で、あとで拳ちゃんと合流したら、「『日向くんにもよろしく伝えてください』って言われたよ」と言われちゃって。
── 最初から気づかれていたんですね(笑)。
気づかれないは気づかれないで寂しいんですけどね。複雑なところです(笑)。
赤楚さんとは年の近い兄弟みたいな感じです
── この1年は立て続けにいろんなドラマに出演し、大忙しでしたね。
いろいろと経験させてもらったおかげで、役柄もそうですし、自分の幅が広がった気がしました。やりたことをいっぱいやらせてもらえた1年でしたね。
── やりたいことというのは?
写真集を出せたこともそうですし、なぜかインタビューで「次、どんな役をやりたいですか」って聞かれた役を次々とやらせもらえたんですよね。
『仮面ライダーリバイス』のときに「次は天才ハッカーの役がやりたいです」と答えたら、『Get Ready!』で天才ハッカーの役をやらせもらえて。その次に「制服を着る役をあまりやったことがないので」と言ったら、『ペンディングトレイン』で高校生の役をやらせてもらえて。それからまた「ずっと言ってるんですけど、大河ドラマに出たいです」と話したら、『どうする家康』が決まって。言霊みたいなものを強く感じたというか。やりたいことを存分にやらせてもらえたし、山田裕貴さんとか赤楚衛二さんとか、プライベートでも仲良くさせてもらえる先輩に出会えたのもうれしかったです。
── おお。『ペンディングトレイン』のつながりが続いているんですね。
はい。昨日も赤楚さんとご飯に行きました。
── 赤楚さんとはどんな話をするんですか。
仕事の話もしますけど、そういう熱い話よりは、どちらかというと趣味の話とか、何でもない話の方が多いかな。特に共通の趣味があるわけではないんですけどね。お互いの好きなことについて話しているだけで十分というか。極論、話題がなくても居心地がいいんです、赤楚さんは。
赤楚さんとは10歳差なんですけど、全然そんな感じがしなくて。あんなに活躍されているのに、年下の僕があまり気を遣わないように接してくださるんですよね。年の近い兄弟みたいな感じです。
『汝、星のごとく』の櫂役がやりたいです!
── そうやって実力も人気もある先輩たちと共演する機会も増えて、大きな作品に出るようになると、刺激になる反面、自分の力不足や悔しさを感じる場面もありますか。
ありますね。場面によっては、「いるだけの芝居」を求められることもあって。そういうときは、もっとお芝居がしたいって、ちょっと悔しくなります。もちろんその中でもできることがあるのはわかっているし。その作品のメインになる人を立たせることが大事で、出しゃばるのは違うというのもわかっているんですけど。
今はとにかくもっといろんなことを試して、自分のできることを広げていきたいなと思っている最中なので、思い切り自分の芝居ができる場に挑戦していきたいという気持ちが強いです。そういう意味でも、早く自分がメインになれる作品に出たいな、自分も早くそっち側に行きたいなという気持ちは以前より強くなっているかもしれません。
── では、そんな日向くんが次に挑戦したいのは?
やっぱり朝ドラですね。朝ドラの主役か、ヒロインの相手役をやれたらな、というのは今の目標の一つです。
あと、凪良ゆう先生の『汝、星のごとく』が、僕は今まで読んできた小説の中でいちばん好きで。もし実写化されたら、櫂がやりたいです。
── 櫂って結構タチの悪い男ですよね(笑)。
タチの悪い男なんですよ。ズルいなって思います(笑)。でも、ああいう瑞々しいけど、ドロドロしているというか、リアルな感じの役をやりたくて。キラキラな恋愛モノもやりたいですけど、等身大の人間が等身大の恋愛をするような、生っぽい芝居をもっと追求していきたいなと。
── 確かに。役者としてもひと皮剥けそうですよね。
ただ、17歳から33歳くらいのお話なので、ひとりではできないかな。いや、でも、僕は真田信繁で49歳までやっているんで、きっと大丈夫だと思います!(笑)。
撮影/映美、取材・文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹、ヘアメイク/宮田 靖士(THYMON Inc.)、スタイリング/臼井 崇(THYMON Inc.)、衣装協力/シャツジャケット ¥90420、ニット ¥31460、パンツ ¥44440、シューズ ¥35090(全てアルマーニ エクスチェンジ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン株式会社)、メガネ ¥37400(エバース/シアン PR)
[問い合わせ先]
ジョルジオ アルマーニ ジャパン株式会社
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