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舘鼻則孝「Syncretism」

23/10/7(土)~23/11/18(土)

KOSAKU KANECHIKA

Duality Painting Series, 2020 ©2020 NORITAKA TATEHANA K.K. Courtesy of KOSAKU KANECHIKA Photo by GION

KOSAKU KANECHIKAでの9度目の個展である本展「Syncretism」において、舘鼻則孝は過去の展覧会同様、日本文化を現代の視点から再考することで得られた文化的な価値観が反映された作品を展示する。とりわけ、中心となる聖龕(せいがん)型の絵画作品《Descending Painting (Double Doors)》は、「神仏習合」における「二項同体」という方法的概念に焦点を当てた作品だ。
「神仏習合」は、2020年に開催された個展「Dual Dialogue」でも主題となった経緯があり、その際舘鼻は、一対の視点を1枚の絵画の中に共存させた作品《Duality Painting》を発表した。日本文化におけるモチーフやフォームの重要性を追求することは、舘鼻のこれまでの創造実践に通底する。本展で彼があらためて掘り下げようとしているのは、「二項同体」という概念的な価値観であり、これは西洋における「二項対立」という概念に対し、東洋的でありさらに日本独自に醸成されたものだとも語っている。
舘鼻は本展に際し、以下のようなステートメントを寄せています。

一見すると矛盾しているもの、あるいは対立しているものをそのまま継承することで、新たな意味や解釈、そして価値観が生まれてくる。
人における抱擁という行為がふたつの存在をひとつのものに変えることと同じように、「生と死」、「天と地」、「男と女」などの象徴的な異なる要素の親和性を探り、再構成することで作品のなかに習合思想における「二項同体」を表現してきた。
日本には過去に、神祇信仰と仏教信仰が離合集散を繰り返した上に融合した、「神仏習合」と呼ばれる現象があった。神仏習合では、6世紀半ばの仏教伝来以降、百済から渡ったその教義が日本独自に発展を遂げた理由ともなっており、神祇信仰においても依り代として古くから崇敬されてきた「鏡・玉・剣」などに加えて、神像の制作が為されるようになったことの要因とも考えられる。また、神宮寺や神願寺などのように、神仏習合における融合を形式化し体現したものが8世紀頃より、中央から地方へと広がりを見せていった。
その後、明治維新の神仏分離令(1868年)によって古代から続いた神仏習合は禁じられることとなり、民衆による廃仏毀釈運動へと発展した。時を同じくして、鎖国を解き開国という政策を選択した日本は、外国文明の流入を受け入れたことで近代化し、現代日本の姿があると考えるが、そのことからも習合思想の概念は、日本のなかで継承される他国には見ることのない価値観であり「二項同体」という精神主義的な方法論が実践されたことを意味していると考えている。

「二項対立」に対する「二項同体」という方法的概念。これに舘鼻が2020年の個展で発表した《Duality Painting》以降あらためて迫るのは、一貫して日本において醸成され、また継承されてきたものであり、また現在、広く世界的に価値をもつ文化的および哲学的価値観になりうるという確信をもっているからだと言えるだろう。歴史と現在についての研究や考察と、それを未来へとつなぐ作品制作。この往還をつづける舘鼻の創造的実践を象徴するシリーズがまた新たに生まれた。本展では新作約50点を展示する。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

11:00〜18:00
日・月・祝休廊

料金

無料

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