ピストルと少年

マルクは酒浸りの母とともに、南仏の海辺の町セートに暮らしていた。ある日、彼は偶然から、死んだはずの姉が近隣の町で暮らしていると知る。姉会いたさにマルクはピストルを握り、途中出会った刑事に車を運転させながら姉の元へ向かう。そしてやっと出会った姉ナタリーは、弟を哀れに思い、３人でセートへ戻ることにする……。ヒステリックなまでにぶつかり合う男女の愛憎を描いてきたＪ・ドワイヨンが、新たな一面を見せた青春ドラマ。孤独に打ちひしがれながら、素直にふるまえない少年の、移ろいやすい心情をみずみずしく捉え、1990年代版「大人は判ってくれない」とも言えそうな作品となっている。ベルリン映画祭で国際批評家賞を受賞。