ぴあフィルムフェスティバル×078film
~最新コンペティション受賞作品・招待作品上映&トーク~

『078』4月27日(土)~29日(月)
『ぴあフィルムフェスティバル×078film』4月28日(日)
PFF公式サイト | PFF公式ツイッター
078公式サイト | 078公式ツイッター

神戸発クロスメディアイベント『078』と
『ぴあフィルムフェスティバル(PFF)』が初のコラボ!

「音楽」「映画」「IT」「食」など、さまざまなコンテンツを掛け合わせた神戸発のクロスメディアイベント『078(ゼロ・ナナ・ハチ)』。みなとのもり公園やメリケンパークといった神戸市のさまざまな名所で開催される『078』は、子供から大人まで楽しめる幅広いイベントが目白押しだ。第2回の開催となった2018年には、75000人を超える参加者が神戸に結集しており、今年も盛り上がりを見せること間違いなし!

第3回目となる今回、そんな活気溢れるイベント『078』と若手映画作家の登竜門『ぴあフィルムフェスティバル(PFF)』の初のコラボレーションが実現! 「PFFアワード2018」受賞作7本と招待作品『わたしたちの家』の上映に加え、参加監督&招待作家&PFF荒木啓子ディレクターによるトークセッションも行われる。

本特集では神戸市をあげて開催される『078』の注目ポイントと、PFF上映作品をご紹介します!

自主映画の祭典
『ぴあフィルムフェスティバル(PFF)』
受賞作を神戸の
スクリーンで堪能できる!

第40回『ぴあフィルムフェスティバル』の様子

第40回『ぴあフィルムフェスティバル』の様子

“映画の新しい才能の発見と育成”をテーマに、1977年にスタートした『ぴあフィルムフェスティバル(PFF)』。第41回となる今年は、9月7日(土)~21日(土)の13日間(月曜休館)、国立映画アーカイブにて開催が決定!

メインプログラムである自主映画のコンペティション「PFFアワード2019」は現在募集を終了し、7月の入選作発表に向けて絶賛審議中だ。入選作品は『第41回PFF』で上映され、グランプリ各賞が発表される。

海外の映画祭への参加や国内の映画館でも続々と上映が決定するなど、PFFアワードへの応募をきっかけに、作品が多くの人々に届くチャンスが広がっている。今回開催される『PFF×078film』もその貴重な機会のひとつ。熱量たっぷりの新鋭監督の作品と、未来的・画期的な試みを続ける『078』の記念すべき初コラボは、どんな化学反応を巻き起こすのか!? この機会にぜひ、神戸の街に上陸したPFF作品をスクリーンで鑑賞しよう。

『ぴあフィルムフェスティバル×078film
~最新コンペティション受賞作品・招待作品上映&トーク~』

日程:4月28日(日)
場所:OSシネマズ 神戸ハーバーランド スクリーン10
※参加・鑑賞無料(事前に鑑賞パスの申請が必要)

上映作品(「PFFアワード2018」受賞作)

『オーファンズ・ブルース』[グランプリ]監督:工藤梨穂
『ある日本の絵描き少年』[準グランプリ、ジェムストーン賞(日活賞)]監督:川尻将由
『川と自転車』[審査員特別賞]監督:池田昌平
『19歳』[審査員特別賞]監督:道木咲希
『すばらしき世界』(審査員特別賞、映画ファン賞(ぴあニスト賞)]監督:石井達也
『からっぽ』[エンタテインメント賞]監督:野村奈央
『一文字拳 序章-最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い―』[観客賞]監督:中元雄

招待作品

『わたしたちの家』[「PFFアワード2017」グランプリ]監督:清原惟

『第41回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)』

開催期間:9月7日(土)~21日(土)※月曜休館
会場:国立映画アーカイブ

『ぴあフィルムフェスティバル(PFF)』
大好きライター
水上賢治が上映作品を熱く語る!

まさに時代は自主映画! 監督のむき出しの熱量や思い、個性をダイレクトに感じられるのは自主映画ならではの魅力。そんなエネルギッシュなPFF作品を愛してやまないライターの水上賢治さんに、PFFの面白さ、そして『PFF×078film』で上映される作品について熱く語ってもらいました!

『PFF』は既存の映画にはない個性に出会える場

はじめに、これはもういまだに払拭されていないことといっていいが、“自主映画=低予算でクオリティもレベルも低い”といったイメージを抱いていたら、その認識を変えてほしい。

いや、むしろ、そういったネガティブなイメージを持っている人ほど、騙されたと思って今の自主映画に出会ってほしい。きっと、イメージが変わるはず。内向的で暗い内容や周囲数メートルの世界の話というのはもはや過去。それぐらい、現在の自主映画は、バリバリのジャンル映画からアート系映画、アニメやドキュメンタリーなど多様な作品が存在し、クオリティも高い。

変な話、昨年旋風を巻き起こした『カメラを止めるな!』のように、きっかけさえあれば注目を集めそうなエンターテイメント性の高い作品もあれば、すぐに劇場公開してもおかしくないレベルの作品も珍しくない。例えば、現在大ヒット中の『岬の兄妹』は、ポン・ジュノ監督らのもとで助監督を務めてきた片山慎三の監督デビュー作になるが、これも自分の思うがままに撮りたいということから自主で作られた作品だ。

また、かつては登場する役者の演技が……と揶揄されたもの。でも、今の出演者の演技力は総じてレベルが高い。プロ顔負けの素人俳優もいれば、素晴らしい演技を見せ、のちにブレイクする俳優もいる。さらに、テレビや映画でよくみかけるバイプレイヤー俳優をみかけることも多々。そんな役者くくりで楽しめたりするのも現在の自主映画の魅力のひとつといっていいだろう。

もちろん昔ながらというか。監督が自身のありったけの気持ちをぶつけたような、自身の映画への情熱をぶつけたような作品も健在だ。

その多様性を反映するように、近年の『PFF』には実にバラエティ豊かな作品が集まる。似たようなタイプの作品が並ぶ現在の日本映画界とは対照的。この既存の映画にはない個性に出会えることが『PFF』の魅力といっていい。

『078』で上映されるPFF受賞作品の見どころは?

今回上映される入選作も実に個性的だ。

先に触れたことに当てはめていくと、まずグランプリ受賞作である工藤梨穂監督の『オーファンズ・ブルース』は、役者たちの演技に心震える1本といっていい。何度観ても、どうやって役者たちから、とりわけヒロインからまるで心の内を表すかのようなリアルな演技を引き出したのかわからない。そのリアリティに圧倒される。

エンタテインメント性が高く熱狂的なファンを生みそうな作品といえるのが中元雄監督の『一文字拳 序章 ―最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い―』。もう、題名でおそらく察しはつくと思うが、その想像はきっと裏切らないし、超えるかもしれない。とにかくガチのアクションシーンは、“入魂”という言葉がよく似合う。

キャリア豊富といえば、『ある日本の絵描き少年』の川尻将由監督。アニメスタジオでキャリアを積み、自ら映像制作会社を立ち上げて本作を作り上げた。本作は技術面は決して新しくはないが、アニメーションと実写、漫画が巧みに融合。見たことがあるようでない、ひと言でアニメーションとも言い切れないユニークな作品になっている

自身の想いを映画にしたという点でいえば、道本咲希監督の『19歳』は、20歳を前にした現代女性の心揺らぎを、自らにカメラを向け、モノローグで明かしていく。独特のテンポとカット割りで構成された映像は、セルフドキュメンタリーを一歩進ませた形とでも言おうか。フィクションとノンフィクションの間を往来するかのよう。そこから不思議と垣間見えてくる、宙ぶらりんなヒロインの気持ちに共鳴を覚える女性は少なくないだろう。





続けて、石井達也監督の『すばらしき世界』と、野村奈央監督の『からっぽ』に関しても、かつての実体験や、自身が感じたことのある痛みや苦痛が作品に反映されている。きっとそこに思いを重ねる同世代は多いはずだ。

池田昌平監督の『川と自転車』に関しては、もう観てもらうしかない。この作品に説明は必要ない。

また、ここ数年、『PFF』を観ていて感じるのは、これまでとはまったく感性の違う、オリジナルの表現、独自の視点を持った作家が生まれつつあること。個人的にその代表格に思えるのが、今回招待作品として上映される『わたしたちの家』の清原惟監督。まったく同じ空間で別々の物語が展開しながら、それがどこかシンクロするようにも、まったく別世界にも見えてくる不思議。パラレルワールド的な構造にも捉えられれば、時系列のドラマにも、永遠に続く時の流れの物語にも見えてくる。何かこれまで感じたことのない映画空間の奥行と深さがこの作品にはある。新世代の映画作家として注視してほしい。





招待作品『わたしたちの家』

©東京藝術大学大学院映像研究科

時を重ね、自主映画は様変わりというか、いまだに成長し進化し続けている。その最新シーンが体感でき、時代時代に現れた新たな才能にファーストコンタクトできる場が、自主映画の祭典にして若手映像作家の登竜門と称される『PFF』。その扉は誰にでも開かれている。会場に足を運んでもらいたい。