都市の夏 キンクスに捧げる

Ｗ・ヴェンダースがミュンヘン映画学校の卒業製作として撮影した長編第１作。後の「都会のアリス」「さすらい」「パリ、テキサス」に通じるあてどなく放浪する男たちというテーマと、物語の起状を追わず、人々の表情や日常を静かに見つめるというスタイルは、この作品で確立されている。ミュンヘンの刑務所から釈放されたハンスは出迎えた元相棒の車に乗り込む。相棒はハンスから情報を得ようとしているが、ハンスは“金のありかは知らない“と言うだけ。しかしかつての仲間は彼の言葉を信じようとせず、ハンスのあとを追う。ハンスはまるで迷子のようにミュンヘンの街を逃げまどう……。