開館25周年記念コレクション展「光の居場所～そこ・かしこに。」

小間嘉幸《ジェラーシュの遺跡》1993年　油彩・カンヴァス

同館は開館以来、福沢一郎をはじめとした多彩なコレクションを蓄積し、2020年8月8日に開館25周年を迎えた。本展はこれを記念して、同館の絵画コレクションを多彩な光の表現に注目して紹介する。
太陽光、月光、人工照明などの「光」は、1日も欠くことなく私たちの暮らしを照らしている。一方、絵画にとっての光は、自然景をはじめとした様々なモチーフを平面上に表現するために必要不可欠な要素だ。画家たちは、光のもたらす明暗や色彩、立体感の表現を追求する一方で、光源そのものを描いたり、目に見えない存在や神聖なものを表すときにも光を用いてきた。本展で紹介する画家は、多彩に広がる光の演出に魅了されて自然景を描き、その劇的な効果を駆使して場の雰囲気や人の感情を表したり、空想の世界に光を灯して異空間をつくるなど様々な表現をしている。
本年は誰もが経験したことのない息苦しい時間を過ごしてきた。しかし、そうした中でも、本当に大切なこれまでの縁や、ささやかな幸せに気づくという機会に恵まれた方も多かったのではないだろうか。「光が差す」という比喩にあるように、先の見えない状況下にあっても、希望の光はどこかに灯っているはずだ。
未来への明るい兆しを想起しながら、「光」にあふれたお気に入りの1枚を見つけてみてほしい。