秋の特別展「長與善郎と実篤」
19/10/26(土)~19/12/15(日)
調布市武者小路実篤記念館
「君がゐてくれるのは本当に僕には力だ」(長與)
「長與を友にもつことを誇りにする」(実篤)
長與善郎は学習院で実篤の後輩にあたり、在学中に実篤が自費出版した『荒野』を読んで感銘を受けたという。自らも創作を始めたが、文学の道に進むつもりはなかった。しかし志賀直哉に見せた作品を志賀より先に読んだ実篤に強く勧められ、『白樺』創刊二年目の明治44年(1911年)に作品を発表。翌年から本格的に執筆に入り、『盲目の川』『項羽と劉邦』『青銅の基督』『竹澤先生と云ふ人』『わが心の遍歴』などの代表作がある。その作品は思想性が高く、白樺同人の中でも実篤に最も近いと言われる。
『白樺』終刊後、長與は同人らに呼びかけて『不二』を創刊、昭和7年(1932年)には二人雑誌『重光』を発行、戦後は実篤が呼びかけた『心』の創刊に参加するなど、歩みを共にした。
昭和4年(1929年)から書画の制作も始め、個性豊かな作品を残している。
特別展では、新たに確認された資料を含め、原稿や執筆資料、書画、愛蔵美術品など多彩な資料で長與善郎の生涯と作品、白樺同人との交友を紹介し、書簡や日記などから実篤との親交を読み解く。