ニカサン／三野新 新作公演 うまく落ちる練習

ANOMALYでは、8月2日（金）より4日（日）まで、ニカサン／三野新の新作公演『うまく落ちる練習』（演出：三野新）を上演する。
本作は、2018年10月に期間限定で開催された「にんげんレストラン」（Chim↑Pom企画・新宿の旧歌舞伎町ブックセンターに於て開催）にて、三野新が発表したソロパフォーマンス「『息』をしつづけている」を発端にして制作された。また本作は、同会場から至近の通りで、何度も繰り返された投身自殺行為に遭遇した三野本人の衝撃的な経験を元に制作されたものである。
制作において三野は、東京オリンピックに向けて最高潮に達している再開発を前に、都市の風景は「滑らか」になっていると考え、そのような風景の中で、どのように表現として介入の手立てがあるかを探そうとしている。日本では現在、経済的な合理性のため複合体を志向する都市計画が進み、仮設的な工事空間が全国的に乱立し、「滑らか」な都市風景が増殖し続けている。その中で三野は、個人が生きるための風景の襞（ひだ）をどう表現するかを模索しながら、現代社会における「恐怖の予感」をテーマにその手触りを、新たな演劇的表現手法を用いて制作発表する。

人間が絶滅に向かう世界で、「わたしたち」の頭のなかは、これからすぐにどう死ぬべきなのか？ ということでいっぱいだ。
今日も「投身練習場」と呼ばれる健康増進パークは、リラクゼーションミュージックと仮囲いの部屋に囲まれた「清潔で安全な」場所の中で営業している。
うまく落ちられなかった「彼女」の息は誰にも聞こえることはなかった。
「わたし」は誰もいなくなっても、投身練習を続けていく。
「うまく落ちる」練習を続けるわたしたちは、身体に何を宿らせて、落ちていくのだろうか。
三野新