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岡田裕子展「ダブル・フューチャー」

19/7/10(水)~19/8/10(土)

ミヅマアートギャラリー

岡田裕子 《エンゲージド・ボディ:脳血管のティアラ》 2019 ナイロン(作家自身の内臓をスキャンし3D出力)に金箔 撮影:大島健一郎 写真提供:東京都写真美術館 © OKADA Hiroko Courtesy Mizuma Art Gallery

本展は、新作《エンゲージド・ボディ》と、2002年に制作された《俺の産んだ子》(2019年改訂版)で構成される。
《エンゲージド・ボディ》は今年2月に恵比寿映像祭で発表され好評を博した。その後、オーストリア・リンツのアルスエレクトロニカセンターで1年間の常設展示が決まるなど、国内外からも大きな注目を集めている。本展では、着想時の貴重なドローイングや、新作の平面作品などを加えて、インスタレーションを再構成する。
未来の世界では、再生医療がさらなる発展を遂げ、ヒトの細胞株が、あらゆる身体の部分に分化するようになり、他者へ提供できるようになる。そんななか、ドナーとレシピエントの間では、契りの証として、再生した内臓をジュエリーに仕立てて贈り物をするという文化が芽生える。−− 《エンゲージド・ボディ》はそんな架空の未来の物語である。互いに名乗り合うことが許されない代わりに、ジュエリーを贈り、受け取ることで、互いの身体の関係を確かめ合う。
一方17年前に制作された《俺の産んだ子》は、「男性が妊娠・出産する」という、こちらも架空の未来を描いた映像作品である。妊娠する男性S.K.氏は、他人との濃密なコミュニケーションを負担に感じ、恋人もいらない、結婚もしたくない、でもなんとかして実の我が子が欲しいと願う。
日本の女性たちの妊娠や出産にまつわるあらゆる事柄、母となる女性の生き方への周囲の理解の乏しさ、その喜びとストレス、子育て問題、少子化問題など、当時、岡田自身が妊娠、出産を経験することで気づいた様々なことが作品のベースになっている。最先端医療の力を借りて男性が妊娠し出産するという設定は、性差を超えて、より広く多角的な視点を鑑賞者に与える。
2002年に北九州市立美術館で発表されて以降、東京都現代美術館(2005年)、ニューヨークのブルックリン美術館(2007年)などで展示の機会を重ねて来た。本展では、BGMをオリジナル曲として新たに作成し、再編集したものを初めて公開する。
二つの作品はともに架空の未来を描いているが、それらは、じつは現在の現実を映す鏡のようなものである。これら先端医療にまつわるストーリーは、この17年の間に大きく変化した技術の革新性を感じることができる。その一方で、いまだに変わらない、差別や経済、生活環境などといった人間社会の問題も浮き彫りにしている。本当の未来は多様な選択肢に溢れているべきであり、そのどれを選び取るかは、私たち次第なのだろう。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

11:00~19:00、日曜・月曜・祝日休廊

料金

無料

出品作家

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