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パロマ・ボスケ「ダークマター」

20/1/25(土)~20/2/29(土)

BLUM & POE

サン・パウロを拠点とする作家、パロマ・ボスケによる同ギャラリーならびに東京で初となる個展を開催する。典型的な彫刻から脱した、様々なフォーマットやスケールのコンポジションによって巧みに展開されていくその作品群を通じて、ボスケは、実験的に、テクスチャー、重さ、そして真鍮から、フェルト、ブロンズ、炭、ガムロジン (天然ゴム)、ビーズワックス、なめし革、クラフト紙、コーヒーフィルターやウールといった多種多様な素材のバランスを扱いながら、極めて繊細な視覚風景を生み出してきた。
展覧会タイトルであるダークマター (暗黒物質)とは、20世紀前半からその存在が仮説的に議論され、近年になって実験的にその存在が示唆されるようになった物質の名称を参照している。暗黒物質とは、素粒子によって構成された、ほとんど相互作用を行わない物質で、光を放つこともないため、検出することは極めて難しいと考えられている。宇宙論におけるΛ-CDMモデルによれば、これらの粒子は、宇宙の27%を構成していると計算されているが、それらを証明できる理論はほとんど存在しないと言われている。ボスケは、引力、反発力、波動といった絶え間ない循環の中で存在する数多の原子が持つ、非常に広大で、瞬間的で、力強い、容易には知覚できない要素の相互的な関係性が、目に見える世界の見え方をどのように決定するかということに関心を持ってきた。そそのような相互作用は、原子中に存在する虚空において、あるエネルギーのレベルと別のレベルの合間で起こっているものと考えられている。ボスケは、空虚との関係性を生みだし、そして、作家自身と作品に形作られていく素材との間の転移や交換の関係性を可能とするための手段として、事物にへのフラットなアプローチを追求してきた。さらには、ボスケは、人間は、無数の異なる、時には謎めいた他なる存在たちと折り合いながら影響をうけあう、唯一の役者であると捉え、人間を理解するという点から、自身の試みを、形而上学で、哲学的な態度の表明であるとも考えている。
本展では、平面や、立体作品を含む新作群を発表する。平面上の「Plate」シリーズは、併置された物質同士からイメージが浮かび上がっていくような印象を我々に与える作品である。そのコンポジションは、メッキ加工された鉄網、粘着性を持った綿の繊維素材を組み合わせた構造体を作るプロセスから始まっていきく。そして、その裂かれ、間引かれた素材、植物性の繊維やイメージを合成した異なるレイヤーの重なりといった様態もまた、同時に作品の中に表出されている。真黒いコットンの繊維状の素材から成るチューブ状の形態を持つ作品「Sea Tube」では、貝殻の中で反響する海の音を再現することで、物質性とその形態の組み合わせから生じる事物の内側で生まれる音の効果を参照している。ボスケは、この内側に存在する空虚な空間に、異なる場所や時間を結びつけるチャンネルとしての潜在性を見出しているのである。また、「Black Sun」と名付けられた作品は、鉄のスタンドの上を覆うようにぶら下がり、編み込まれたトウモロコシのひげのような金属糸と、その上を漂っているようないびつな黒い円形の構造体から構成されている。織り込まれ、「液体」を染み込ませた金属糸は、鉄の構造体によってその形状が決定されていく。さらに、その上に位置する球体の形態は、重力の集約部さながら、その磁力で、糸の構造体を上に押し上げているかのようである。対照的に、「black hole」と名付けられた作品では、金属糸が、床上の円形の構造体が持つ重力に吸い寄せられるかのように、上から下へ垂れ下がっている。ボスケは、自身の手によって最終的な形態へと転化させていく素材と彼女自身の間で生まれる相互的なやりとりを探求し、発展させていくことをその実践としてきた。そして、「私たちと、自分たちを取り巻く空間、その双方を変化させるアグリーメント」と作家が呼ぶ事物が、その作品群へと転じていくのである。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

11:00~19:00、日曜・月曜休廊

料金

無料

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