ストリート・オブ・クロコダイル

ある荒れはてた博物館。そこに置かれた奇妙な機械に一人の男が近づき、一滴の唾を垂らす。するとその唾は、静止していた機械を動かし、中にネジと歯車でできた“クロコダイル通り“を現出させる。この映画はそこに展開される幻想的な出来事を綴った人形アニメーションの異色短編映画だ。からくり仕かけの世界、ギクシャクした動き。人形の奇怪な顔立ち、いつの間にか変わる背景。クエイはアメリカ人だが、チェコのアニメーションに惹かれ、チェコ・アニメ独特の悪夢のような世界をマスターして、発展させた。原作は、ポーランドの作家ブルーノ・シュルツの短編『大鰐通り』。クエイ作品には他に「レオシュ・ヤナーチェク」「ヤン・シュヴァンクマイヤーの部屋」「ギルガメッシュ／小さなほうき」「失われた解剖模型のリハーサル」などの短編がある。