Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ひとくず

20/3/12(木)

千葉県野田市で起こった事件に象徴されるように幼児虐待が大きな社会問題になっている。そんな今だからこそ、関心を持って欲しい作品だ。 監督・脚本・編集・プロデュース・主演は、関西で「劇団テンアンツ」を主宰し、自身も俳優として活躍する上西雄大氏。児童相談所に勤務する医師から幼児虐待の実態を耳にしたことがきっかけに本作を企画した。長編映画は2作目となる。 主人公は犯罪を重ねるクズな男、金田(上西)。ある時、空き巣に入った家で放置された少女、鞠(小南希良梨)と出会う。金田自身も少年時代、虐待を受けていたことから、クズなりの方法で鞠を救おうとし、「家族」になろうとする。そして、虐待の連鎖を断ち切ろうとするが……。 物語は違うが、上西の姿に「竜二」の金子正次氏を思い浮かべた。上西は、この作品をなんとか広げようと、国内外の映画祭に精力的に出品。2019年5月のニース国際映画祭では上西が主演男優賞、育児放棄する母親役の古川藍が助演女優賞を受賞。6月には、熱海国際映画祭で上西が監督賞、子役の小南希良梨が最優秀俳優賞に輝く。運営をめぐってスッタモンダもあった熱海国際映画祭であったが、本作を発掘したのは大きな収穫と言っていい。ほかにも、多数の海外映画祭で高く評価されている。 ちなみに、上西の劇団の由来は「10匹のアリ=アリガトウ」の意味。劇中では強面な主人公を演じているが、茶目っ気のある俳優さんである。ラストにも、ちゃんと救いがあるのは優しさの現れだろう。コロナウイルスが猛威を振るう昨今、映画館も大打撃を受けているが、思いが強い映画は必ず観客に届くはずだ。気になった方は感染予防を万全にして、映画館に駆けつけてください!

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む