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浜辺美波×岡田将生の“マミクロ”をまだまだ観ていたい! 『タリオ』最終回が描いた復讐の真意

リアルサウンド

20/11/21(土) 6:00

 浜辺美波演じる元弁護士の白沢真実×岡田将生扮する詐欺師・黒岩賢介がバディを組み“復讐代行”を遂げる『タリオ 復讐代行の2人』(NHK総合)が、いよいよ最終話を迎えた。

 12年前に巨大詐欺事件の首謀者と疑われ行方をくらました真実(浜辺美波)の父親・正弘(遠藤憲一)と対峙し、遂に謎が暴かれる結末となった。

 水産加工会社で働く父親に再会するも、その人物は違う名前を名乗り全くの別人として生活していた。どうやら彼は12年前に崖から落下して、それまでの記憶を喪失してしまったようだ。

 一方、黒岩(岡田将生)の元には“正義の士”を名乗る者に殺された橘道三(殺陣剛太)の甥から、犯人探しの依頼が入る。黒岩の咄嗟の計らいによって、巨大詐欺事件の黒幕は正弘(遠藤憲一)の同僚だった弁護士・鮫島(いとうせいこう)であることが判明する。

 最終話ではマミクロコンビの絆の強さがあふれていた。黒岩から真実に掛けられた「お前のお父さんはお前と同じ、正義の味方だ」という言葉に、彼女はどれだけ安堵し救われたことだろう。

 「ハンムラビ法典」の「タリオの法」について解説された前話の流れを受けて、「復讐はやられたこと以上の仕返しをしないと気が済まない」通りの感情に真実も襲われる。真実の鮫島への復讐を寸前に阻止したのは他でもない黒岩だった。

 普段は散々真実のことをこけおろしている黒岩だが、「お前は本当は俺と一緒にいちゃいけない。お前の本当のコンビはお父さんだ」と伝え「この世には汚れちゃいけないものがある」と力強く言い放つ。実は真実に一目置いており、彼女には“そのままの真っ直ぐさ”を失わないでいてほしいと願っているバディ愛が垣間見えた。

 また、真実側も頑なに父親について黒岩に口を割らなかったのは、本当のことを知った時に自分自身が父親に対してどんな感情を抱くか、どんな行動に出てしまうのか不安があったからなのだろう。唯一の肉親ながら父親を信じられない自分自身に対しても戸惑いや失望があったのだと思われる。また、普段黒岩の前で見せている自分のままでいたい、自身の中に渦巻く黒い感情について黒岩にだけは知られたくない、自身の“真っ直ぐさ”についてだけは幻滅されたくはないという気持ちがあったのではないだろうか。

 記憶を失くしているはずの正弘と黒岩という彼女にとって大切な2人が体当たりで教えてくれたのは「正義とは悪を倒すことじゃない。皆を幸せにすることだ」ということ。

 確かにこれまで手掛けてきた復讐代行で、望み通り復讐が完遂されて本当に心から満たされている依頼者はいなかったではないだろうか。それを象徴しているのが、第3話で父親を自殺に追いやったパワハラ社長が逮捕されるニュースを見たまだ幼い娘が言った一言(「あの人もいじめられてるみたい」)だったように思う。

 真実が正弘に「時には誰かを憎まないといけない時もある。許しちゃいけないこともありますよね」とこぼすシーンがあった。それは理不尽や悲劇を起こした加害者張本人を憎むことで、実際には傷を負った人の近くにいながら何も気付けず手を差し伸べられなかった自分自身の無力さや不甲斐なさを紛らわせていると言えなくもないのではないだろうか。

 そのことに気づいたマミクロコンビが今後どんな風にそれぞれの道を歩み、また互いの道が交差していくのか、2人の“その後の物語”に想いを馳せずにいられない。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
ドラマ10『タリオ 復讐代行の2人』(全7回)
NHK総合、BS4Kにて、毎週金曜22:00〜放送
出演:浜辺美波、岡田将生ほか
制作統括:川田尚広、高橋練、岡本幸江
演出:木村ひさし、山本透
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.jp/p/ts/78YR8PJXJ5/

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