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Kis-My-Ft2、変わらぬ“バラエティモンスター”の貪欲さ キスマイらしさ溢れる『10万円でできるかな』ゴールデン特番を振り返る

リアルサウンド

20/9/27(日) 6:00

 またひとつ、Kis-My-Ft2の歴史に新たな記念日が刻まれた。

 Kis-My-Ft2(以下、キスマイ)とサンドウィッチマンによる人気番組『10万円でできるかな』(テレビ朝日系)。9月21日はスペシャル版として、18時半(一部地域を除く)から『キスマイ10周年でやれるかな? テレビ朝日人気番組の裏側に潜入しちゃった ほぼ3時間SP』と題した生特番を放送した。

 ”ロケでの見せ方がドンドンうまくなるキスマイ全員の成長が楽しめます”という、番組公式サイトの概要そのままに、周年を冠したゴールデン特番においても自らロケに出て身体を張る”キスマイらしさ”が詰まった番組だった。

 放送決定以降、番組公式SNSや、瑛人のヒット曲「香水」をパロディしたゲリラCMで勢いをつけ、当日は早朝からテレビ朝日系列の番組ジャックを敢行。

 番組指定のハッシュタグ「#キスマイ10年」は、開始21分でTwitter世界トレンド1位を獲得。初のゴールデンスペシャルは大きな盛り上がりを見せた。

様々な番組に潜入、“アイドル・Kis-My-Ft2”のステージも

 テレビ朝日系列番組の貴重な裏側にキスマイメンバーが潜入し、実際に体験しながら、番組や人、それぞれの人気の秘密を探った同特番。

 ドラマ『科捜研の女』ファンや、たまたまチャンネルを合わせたという視聴者が番組を楽しむ様子も、SNS上の反応から見て取れた。周年祝いにかけた特番ながら、内輪だけの面白さに留まらない番組作りに好感を抱いた。

 北山宏光は『グッド!モーニング』の裏側に潜入、気象予報士・依田司の凄さと人気の秘密をリポート。彼が所属するウェザーニューズ社も訪問し、気象予報のプロフェッショナルを取材した。

 対象者がみな話し上手ということもあるが、依田をはじめウェザーニューズ社員への北山のインタビューが良かった。相手のタイミングを見計らった声かけ、興味深い話題の広げ方、押し引きが上手く、気持ちが良い。視聴者目線に立った質問を投げかけつつ、笑いどころもしっかり作る。深夜を含め、20時間超にも及んだロケ。35歳、キスマイ最年長の強さを見た。

 藤ヶ谷太輔、宮田俊哉は東映京都撮影所にて、人気シリーズ『科捜研の女』の撮影の裏側にバラエティ初潜入。シリーズ助監督の玉木雄介をはじめ、美術・小道具担当者や、特殊メイク担当者らに取材を行った。

 「科捜研」という特殊な場所を舞台に繰り広げられる本作シリーズ。正確な知識に基づいた構成とプロによる職人技が、ドラマのリアリティを支えていた。藤ヶ谷は断崖絶壁に登り、装具の安全検証にもチャレンジ。緊張感漂う撮影現場で、二人はときに小さくなりながらも積極的に取材、体験し、同作ファンにはたまらない貴重な舞台裏をリポートした。

 さらに宮田は『ドラえもん』のアフレコ現場に潜入、ゲスト出演も果たした。声優らの入館用署名を「直筆サイン」と興奮し、彼らがブース内でスタンバイするさまを「神々の集まり」と名づけるなど、宮田は冒頭からアクセル全開。しかし、いざアフレコが始まると、あの笑顔を携えながらブースを見つめ、噛み締めるようにただただ頷く。その表情は、何を語るよりも感動を伝えていた。

 二階堂高嗣は、人気アナウンサー・弘中綾香に密着。テレビでは自由奔放な印象が強い彼女だが、実際は「準備の鬼」と称されるほどのプロ意識の塊だった。激務のなかでも楽しそうに、何事にも自主的に取り組む姿勢に好感を抱く。彼女の魅力や秘めたる努力が伝わるリポートだった。

 二階堂は「4日間も密着したのに撮れ高がない」「(弘中アナを)ちょっと好きになった」と、バラエティの方向にもっていた節はあるが、多忙な弘中アナの手を止めないよう配慮し、彼女の真面目な仕事ぶりをより引き立たせる発言をするなど、黒子として“しっかりと”仕事をしていた。もっとも、こうした発言は営業妨害になるかもしれないが。

 玉森裕太と横尾渉は、アクション監督・和田三四郎のもとへ。唐沢寿明が主演を務める新ドラマ『24 JAPAN』に欠かせない、アクションシーンのビデオコンテ作成にチャレンジした。

 キスマイのなかでは1、2の長身コンビで、モデル並のスタイルを誇る二人。白いTシャツ、黒ジャージでさえサマになる。いざアクションの実践が始まると、みるみるTシャツがしわになり、取っ組み合いをする腕には、痛々しい赤みが。妥協を許さない和田のプロの仕事に、息を切らしながらも真剣な表情で食らいついた。

 ビデオコンテのプレゼン時、和田が監督、助監督、そして唐沢に二人のアクションについてそれとなく尋ねた。本人たちも、ファンも嬉しいであろう好評価。きっと、今後の糧となることだろう。

 『ミュージックステーション』に潜入したのは千賀健永。アートディレクターの横井勝をはじめ、クリエイターたちによるCG制作現場を体験した。ちょうど密着の3日後に同番組への出演を控えていた千賀は、パフォーマンス時に使用される演出案のチェックに立ち合うという貴重な経験も。デザイナー作成のラフ案にズバッと切り込む横井。「僕は好きですよ」と、たどたどしくもデザイナーをフォローする千賀。彼らしい心遣いだった。

 そして生特番のファイナルを飾る、キスマイ生歌メドレー。演出には、千賀が作成した「Everybody Go」のロゴデザインや「光のシグナル」の背景アートが使用された。さらに、最新技術によって千賀の巨大アバターが登場し、サンドウィッチマンとの合成アバターが踊るなど、まさに一夜かぎりの特別なステージを披露。スタッフロールには、アートディレクターとして千賀の名前がしっかりと刻まれていた。

 普段番組ではあまり見ることのない、アイドル・Kis-My-Ft2のステージを体感し、ゲストのいとうあさこは「めっちゃ笑ったのに最後、感動しちゃった」と涙ぐみ、サンドウィッチマンは「キスマイかっけえな!」「すごいな」「これからもよろしく」と、興奮気味に思いを伝え、満面の笑顔を見せた。

 伊達みきおは翌日、キスマイへの愛に溢れたブログをアップ。彼らの絆はこれからも、太く長く続いていくことだろう。

周囲から愛されるキスマイ

 『10万円でできるかな』は2017年スタート。前身番組の『キスマイレージ』はもちろん、よゐこ・濱口優がバラエティのイロハをキスマイに叩き込んだ『濱キス』『キス濱ラーニング』から、何度形を変えてもずっとキスマイと歩み続けてきたスタッフが、企画・制作に携わっている。

 演出担当の米田裕一は、スペシャル放送前後に感慨深いツイートを投稿。番組ラストには「せんべい1000枚の先に…こんな未来が!」「キスマイおめでとう!」とテロップが入った。

 これまでに経験した、せんべい1000枚、30Kgの巨大かぼちゃ、激辛唐辛子104本などの“食べ切る”系企画や「できるまで終わらない」チャレンジ企画の数々。過酷な企画に、メンバー同士ときには喧嘩しながらも、体当たりで挑んできた。学ランからタキシードに姿を変えた今も、よゐこ・濱口が育てた”バラエティモンスター”の貪欲さは変わらない。

 生放送中には、彼らが出演するラジオや他局の番組スタッフも「#キスマイ10年」のタグを付け、応援や祝福のツイートを送っていた。キスマイがいかに愛され、出会いに恵まれているかを実感するとともに、きっと彼ら自身にそれだけの魅力があるのだと、改めて感じた時間だった。

 もしも10年前に彼らに、2020年9月21日の出来事を伝えられるとしたら。きっと半信半疑ながらもめいっぱいに喜ぶだろう。けれど、伝えない。彼らには、ひとつひとつ全力で掴み取ってきてほしいから。

 たくさんの愛に包まれ、3時間超に及ぶゴールデンタイムでの生放送をやり遂げる未来が、君たちを待っている。

 だからそのまま、ここまで走り続けてほしい。そして、これから先もずっと。

■新 亜希子
アラサー&未経験でライターに転身した元医療従事者。音楽・映画メディアを中心に、インタビュー記事・コラムを執筆。
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