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KEYTALKならではの“ユーモア”と“カッコよさ” 最新映像技術も駆使した初のオンラインワンマンライブを振り返る

リアルサウンド

20/10/6(火) 12:00

 KEYTALKが9月26日に初のオンラインワンマンライブ『4密サウンドでSUTEKI HOME~甘い甘い蜜のよう~2010-2014』を開催した。特殊レイアウトのLEDステージで最新映像技術を使った、配信だからこそできるライブである。

 しかしライブの核となるものは音楽だ。序盤は演出よりもバンドの演奏の魅力が伝わる映像となっていた。ランタンの光がメンバーや機材を照らす中で演奏された1曲目は「FREEDOM」。映像演出はなく照明も最低限にしか使われていない。「night focus」「フォーマルハウト」とインディーズ時代の名曲を立て続けに披露したが、こちらも演出は最低限。その代わりバンドの演奏力の高さと楽曲の魅力がダイレクトに伝わってくる。

 今回のライブでMCは行われなかった。その代わりに数曲ごとにメンバーそれぞれの自粛中の生活を映した「THE 自粛生活」という映像を流すことで、ライブにメリハリをつけていた。最初に流れたのはギター小野武正の映像。自宅でギターを弾く様子をスマホで撮影しInstagramにアップロードするという、ミュージシャンらしい過ごし方をする映像が流れた。

 映像が終わりライブが再開。ここからはLEDステージを使った演出が加わり、ステージの壁や床に鮮やかな映像が映された。普段のライブでは「PASSION」が演奏されると観客が手拍子をして盛り上がるが、今回は無観客。それを補うようなド派手な映像が演奏をより魅力的に引き立てていた。「orange and cool sounds」「サイクル」と映像演出の凄みを感じるパフォーマンスが続く。普段のライブではなかなか見ることのできない華やかな演出だ。

 再び「THE 自粛生活」の映像が流れる。ドラムの八木優樹がレッドブルを飲みながら実況パワフルプロ野球をプレイするほのぼのとした映像を挟んでから、ライブが再開。「MURASAKI」「マキシマム ザ シリカ」とアップテンポで激しい楽曲が続き視聴者を盛り上げる。「fiction escape」ではポップな演奏と可愛らしい背景映像で明るい雰囲気を創り出す。この3曲は歌詞がフレーズごとに次々と浮かび上がる映像演出がされていた。映像を無作為に組み合わせているわけではなく、楽曲に合わせた意味のある映像によってライブを彩っていく。

 再び「THE 自粛生活」の映像に。今度は巨匠こと寺中友将がYouTubeで初めて配信する様子の映像が流れる。筋トレをもうやらないと言いつつもダンベルを持ち上げてレッドブルを飲むというシュールな映像になっていた。

 そんなシュールさを吹き飛ばすように「トラベリング」をクールに演奏。メンバーが演奏する映像をバックに演奏した「sympathy」、メンバーが踊ったり八木が増殖する映像が流れる「a picture book」とユーモアも交えた映像演出。ユーモアとカッコよさが組み合わさったライブはKEYTALKならではだ。

 首藤義勝の「THE 自粛生活」の映像では、忍者のコスプレをして昼間のベランダに立ち手裏剣を投げる真似をする首藤の姿が映されていた。胸元からレッドブルを出して消えるというカオスさでジワジワと笑いを呼ぶ。

 しかし演奏が始まればロックバンドとして最高のライブを見せてくれる。そこに笑いはない。「バミューダアンドロメダ」ではライブだからこそのバンドの一体感と疾走感ある演奏を行い、幻想的な映像の中で披露された「blue moon light」は音源よりもギターが前面にでたアレンジで視聴者を惹きつけた。配信だとしてもライブでしか聴くことができない演奏を届けてくれた。

KEYTALK

 そこから間髪入れずにメジャーデビュー曲「コースター」へ。ライブも終盤。ラストスパートをかけるような激しい演奏だ。「ラスト1曲、みんなで踊りましょう!」と巨匠がこの日唯一のMCをしてから代表曲の「MONSTER DANCE」を演奏。炎や花火が打ちあがる映像演出で盛り上がりは最高潮に。メンバーも他の曲以上にステージを動き回り、笑顔で演奏している。演奏を終えると『KEYTALK ONLINE LIVE』という文字が壁のスクリーンに浮かびあがり、メンバーはやり切ったように笑顔でステージを後にした。

 KEYTALKのライブは観客が手拍子やダンス、声援などで参加することが多い。MCではファンとコミュニケーションを積極的に取っている。しかし今回は無観客でMCもほとんどなかった。その代わり音楽に没頭できる演出によって、バンドの演奏力の高さや楽曲の魅力が再確認できるライブだった。配信だからこそできる新しい挑戦を行ったライブである。

KEYTALK

 しかしライブ後のトークコーナーでは、メンバー同士でライブの感想を楽しそうに語り、ファンとZoomを使って和気藹々と会話するメンバーには親近感が湧く。カッコよさと親しみやすさのギャップもKEYTALKの魅力なのだ。KEYTALKの音楽や演奏の魅力と、メンバーの人としての魅力を両方感じることができる配信ライブだった。

KEYTALK

■むらたかもめ
オトニッチというファン目線で音楽を深読みし考察する音楽雑記ブログの運営者。出身はピエール瀧と同じ静岡県。移住地はピエール中野と同じ埼玉県。‬ロックとポップスとアイドルをメインに文章を書く人。
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■セットリスト
1. FREEDOM
2. night focus
3. フォーマルハウト
4. PASSION
5. orange and cool sounds
6. サイクル
7. MURASAKI
8. マキシマム ザ シリカ
9. fiction escape
10. トラベリング
11. sympathy
12. a picture book
13. バミューダアンドロメダ
14. blue moon light
15. コースター
16. MONSTER DANCE

KEYTALK オフィシャルサイト

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