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最後のトップリーグはパナソニックV5&福岡有終のMVP! ラグビー日本代表は2023年ワールドカップへいよいよ始動!!

ぴあ

『ジャパンラグビー トップリーグ2021』で4季ぶり5度目の優勝を果たしたパナソニック ワイルドナイツ (C)JRFU

最後の『トップリーグ』ファイナル、そして2年ぶりの『日本選手権』決勝にふさわしい激闘となった。あまたの名勝負を繰り広げてきたパナソニック ワイルドナイツとサントリーサンゴリアスが新たな好ゲームを披露した。5月23日・秩父宮ラグビー場で主導権を握ったのはパナソニックだった。

大舞台でセンター(CTB)ディラン・ライリーがいきなり大仕事をやってのけた。ニュージーランド代表88キャップのスタンド(SO)ボーデン・バレットのパスをインターセプト。独走トライをマークする。14・25分とSO松田力也がPGを決めると、30分にはアイコンタクトをかわした松田から左大外のウイング(WTB)福岡堅樹へパス一閃。今季限りの現役引退を発表している快足WTBがトイメンの中鶴隆彰をハンドオフでいなし、バレットのタックルを受けながらインゴールへ。その後、松田が難しい角度のGを決めて20-0とした。

まさかのワンサイドゲームの様相を呈した決勝だが、サントリーはこのまま黙ってはいなかった。35分にゴールライン手前でスクラムハーフ(SH)流のパス出しが乱れるも、CTB中村亮土主将がリカバー。ショートパントを自らキャッチし、逆襲のトライ。後半早々に途中出場のCTB梶村祐介がゲインラインを切り大きく距離を稼ぎ、連続攻撃。最後、インゴール寸前でラックからボールがこぼれるも流が反応、中鶴がボールを拾いインゴールに飛び込み12-23。55分にパナソニックFW陣が近場を攻めて4分前にピッチへ入ったプロップ(PR)ヴァル アサエリ愛が一本返すと、70分にはナンバーエイト(NO8)ショーン・マクマーンがキックで突破し、ロック(LO)ハリー・ホッキングスへつなぎ、パスを受けたSH齋藤直人がフィニッシュ。78分にも連続アタックからフルバック(FB)尾崎晟也がトライ、バレットのGも決まり、26-31。残り1分、ラストプレーでの大逆転に望みをつなぐも、サントリーの猛攻もここまで。パナソニックの4季ぶり5度目の優勝で『トップリーグ』18年間の歴史は幕を閉じた。

試合後、ロビー・ディーンズ監督は「(パナソニックの監督に就任した)2014年と比較して格段にレベルアップした。ラグビーの要素すべてでレベルが上がっている。アウトサイドでのブレイクダウンの攻防は大きな要素。今日、バレットがクリーンブレイクできなかったのはトップリーグのレベルの高さの証明と言える。日本ラグビーはこれからも強くなるだろう」と肌で感じた進歩を口にした。また指揮官は福岡を「最後を飾るにふさわしいゲーム。彼の才能は類い稀」、39歳のLOヒーナン ダニエルを「ワイルドナイツの心臓として活躍し、今日も素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。彼は引退しない選手、彼は前へ進み続ける選手」、松田&山沢拓也のSOコンビを「うちの若い10番を誇りに思う。トップリーグの歴史でも若い10番ふたりがタイトルを手にしたのは初めてでは。日本のラグビーにとっても素晴らしいこと。ふたりの10番は次の『ラグビーワールドカップ(RWC)』で活躍できる力は十分ある。今日のパフォーマンスを見ればわかるだろう」と称えた。

『ジャパンラグビー トップリーグ2021』プレーオフトーナメント決勝兼『第58回 日本ラグビーフットボール選手権大会』決勝の翌日、年間表彰式が行われた。『トップリーグ2021』個人賞は以下の通り。

【トップリーグMVP】福岡堅樹(パナソニック) 初受賞
【新人賞】竹山晃暉(パナソニック)/金秀隆(クボタ)
【最多トライゲッター】テビタ・リー(サントリー)/マロ・ツイタマ(ヤマハ発動機) 10トライ/初受賞
【得点王】ボーデン・バレット(サントリー) 128得点(6トライ/37G/8PG)/初受賞
【ベストキッカー】田村優(キヤノン) キック成功率(G:21回中19回成功/PG:3回中2回成功)87.0%/初受賞
【ベストフィフティーン】PR1 稲垣啓太(パナソニック) 7季連続7回目
HO マルコム・マークス(クボタ) 初受賞
PR3 垣永真之介(サントリー) 初受賞
LO ブロディ・レタリック(神戸製鋼) 初受賞
LO ルアン・ボタ(クボタ) 初受賞
FL ベン・ガンター(パナソニック) 初受賞
FL ピーター・”ラピース”・ラブスカフニ(クボタ) 初受賞
NO8 クワッガ・スミス ヤマハ発動機ジュビロ 2季連続2回目
SH TJ・ペレナラ(NTTドコモ) 初受賞
SO ボーデン・バレット(サントリー) 初受賞
WTB 福岡堅樹(パナソニック) 3季連続3回目
WTB テビタ・リー(サントリー) 初受賞
CTB ディラン・ライリー(パナソニック) 初受賞
CTB マイケル・リトル(三菱重工) 初受賞
FB ウィリー・ルルー(トヨタ自動車) 初受賞

MVPとベストフィフティーンのダブル受賞となった福岡堅樹(パナソニック ワイルドナイツ)
(C)JRFU

主な受賞者たちはこのように喜びを表した。
「引退する最後の年にこれ以上ない栄誉をいただき、本当に光栄に思う。ラグビーを引退すると決めていたことが、自分が成長できたひとつの要因。終わりが決まっていたからこそがんばれた。(引退の)実感はそこまでない。ただ朝起きて試合の痛みがたくさん出たが、『急いで治す必要もないんだな』と感じた。これまでずっと応援していただき、本当にありがとうございました。最後の年に惜しまれながら引退することできて感謝しています。これからは違った道をいきていきますが、僕以上に素晴らしい選手はどんどん出てくるので、今後のラグビー界をよろしくお願いします」(パナソニック・福岡)

「ケガで決勝に戻れなかったが、チームが優勝できてうれしく思う。と同時にメンバーがトロフィーを掲げている姿を見て正直悔しさもあり、涙も流れた。チームの優勝はもちろんうれしいが、あそこに立ちたい、もっともっとチームに貢献したいと思った」(パナソニック・竹山)

「自分がまさか新人賞に選ばれると思わなかったので、うれしい。チームが調子いい中で自分はたまたま選んでもらったのかなと思う」(クボタ・金)

「本当に悔しい思いがあふれている。シーズン途中まで一生懸命プレーしたが、昨日ファイナルでプレーできなかった悔しさある。もっと強くなって、もっと速くなって、来年チャレンジしたい」(サントリー・リー)

「サントリーが10番でプレーする機会を与えてくれ、ありがたかった。自分でコールしてアタックするのが好きなので10番でのプレーを楽しんだ。自分が日本に来て学んだことはたくさんある。ニュージーランドから選手が来ると、休暇で来ているという見方をされるが、そんなことはない。トップリーグの上位6~8チームは、『スーパーラグビー(SR)』のスタンダードがある。クボタ戦、パナソニック戦ではすごくレベルの高い経験ができた」(サントリー・バレット)

「大変光栄。あまり賞にはこだわらない方だが、自分の取り組みがこういう賞で正しかったと認識できるので。今後も自分を律して、さらにレベルアップしていければ」(パナソニック・稲垣)

「昨日は悔しかったが、シーズンを通して考えると自信を持ったシーズンだった。サントリー内の競争に勝つことに必死で、この賞も代表も正直そこまで意識がいかなかった」(サントリー・垣永)

「夢が叶った心境。これまで勝てなかった相手、長い時間をかけてサントリーに勝てたのはうれしく、夢が叶った。日本代表でうまくいけば、リーチと一緒にプレーできる。これも夢が叶う。横にいるだけで学ぶことができる。これ以上のメンターはいない。彼からパスを受けたい」(パナソニック・ガンター)

「受賞をうれしく思う。自分ひとりの力での賞ではないので、チームメイト、コーチ陣の尽力に感謝したい。代表に再び選ばれたからには自分たちの力を最大限に出すための準備をしたい」(クボタ・ラブスカフニ)

「アタッキングはそれなりにできた自負はあるが、ディフェンスは伸ばしていきたい。(他国の代表について)迷いはなかった。来日したおかげで今の自分がある」(パナソニック・ライリー)

これで『トップリーグ』最後のシーズンが幕を閉じたが、ラグビーシーズンはまだまだ終わらない。6月には日本代表が『ラグビーワールドカップ(RWC)2019』以来となる活動がスタートするのだ。『トップリーグ』年間表彰式と同じ日、国内での『リポビタンDチャレンジカップ2021』、英国遠征『ラグビー日本代表リポビタンDツアー2021』に臨む36名の日本代表メンバーが発表された。

【PR】稲垣啓太(パナソニック)34/ヴァル アサエリ愛(パナソニック)14/垣永真之介(サントリー)9/具智元(Honda)13/クレイグ・ミラー(パナソニック)/森川由起乙(サントリー)
【HO】坂手淳史(パナソニック)21/中村駿太(サントリー)/堀越康介(サントリー)2
【LO】マーク・アボット(宗像サニックス)/ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモ)16/ヘル ウヴェ(ヤマハ発動機)16/ジェームス・ムーア(宗像サニックス)8
【FL】小澤直輝(サントリー)4/ベン・ガンター(パナソニック)/ジャック・コーネルセン(パナソニック)/ピーター・“ラピース”・ラブスカフニ(クボタ)8/リーチ マイケル(東芝)68
【NO8】テビタ・タタフ(サントリー)3/アマナキ・レレイ・マフィ(キヤノン)27/姫野和樹(ハイランダーズ/トヨタ自動車)17
【SH】荒井康植(キヤノン)/齋藤直人(サントリー)/茂野海人(トヨタ自動車)10
【SO】田村優(キヤノン)63/松田力也(パナソニック)24
【WTB】江見翔太(サントリー)/シオサイア・フィフィタ(近鉄)/レメキ ロマノ ラヴァ(宗像サニックス)15/セミシ・マシレワ(近鉄)
【WTB/FB】ゲラード・ファンデンヒーファー(クボタ)/松島幸太朗(クレルモン)39
【CTB】シェーン・ゲイツ(NTTコム)/中村亮土(サントリー)24/ラファエレ ティモシー23
【FB】山中亮平(神戸製鋼)18
※所属の後の数字は代表キャップ。姫野、松島は欧州遠征から参加。

ジェイミー・ジョセフ日本代表HCは選出理由を「今回のチャレンジは、準備期間が限られている。そのため、『トップリーグ』で仕上がりのいい選手、コンディションのいい選手、フィットネスがいい選手を選んだ。テストマッチの経験がある選手、それと同時に、フォームが仕上がっている選手。そこから準備が短いという意味では、経験のある選手が重要。また2023年の『RWC』まであと2年ある。そこへ向かって年齢の上がる選手よりも、育成が期待できるメンタリティの備わった若い選手も選んだ」と明かした。

短期間でどうチームを仕上げるか問われると、指揮官はこう答えた。
「準備期間が限られている。エキサイティングな10日間の合宿ではシンプルに練習しなければならない。選手たちも自分たちで準備し、自分から行動するのが大事になるし、ミーティングも増える。今回ふたつの大きな試合がある。これからインテンシティが高く、フィジカル的にも速くプレーしなくてはいけない」

キャプテンに再びリーチを指名した理由を質問されると、HCはこのように返答した。
「ほかの主将を考えなかったわけではないが、継続性を大事に考えた。2016年に私が最初に来た時から、リーダー陣の育成はうまくできている。現在トップリーグのチームでは田村、茂野、坂手が主将をしている。リーダー陣がコーチのように責任を持って自分たちの基準についてグラウンド内外でリードすることが大事。前回の『RWC』でも、ラピースやリーチがいいサポートをしてくれた。チーム内で競争のある環境を作るのも大事だが、リーダー陣のサポートも大事」

また、ジョセフHCはノンキャップの選手に期待することを「13名の新しいメンバーはポテンシャルのところを見てみたい。外国籍の選手には経験がある。ただ代表資格がある外国人ならば代表になれるわけではない。外国人はパッションがなければならなない。全く体格やパフォーマンスが同じ外国人と日本人がいたら、日本人を選ぶ。チーム内の競争のレベルを高くする必要がある」と言及した。

ラグビー日本代表は5月26日(水)より別府合宿を行う。6月12日(土)・エコパスタジアムにて『リポビタンDチャレンジカップ2021』サンウルブズ戦を開催。その後英国遠征『ラグビー日本代表リポビタンDツアー2021』にて6月26日(土)・ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦、7月3日(土)・アイルランド代表戦を実施。チケット本日5月25日から27日(木)午後11時59分まで先行抽選プレリザーブ、6月2日(水)午後6時より一般発売。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2171036

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