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綾瀬はるかと高橋一生の剣を交えるような緊張感 『天国と地獄』ポイントは「善と悪」?

リアルサウンド

21/1/17(日) 8:00

 綾瀬はるか主演の日曜劇場『天国と地獄 〜サイコな2人〜』(TBS系)が、1月17日よりスタートする。

 綾瀬が演じるのは、警視庁捜査一課の刑事・望月彩子。刑事役は、綾瀬にとって初の試みとなる。だが、ただの刑事ドラマではなく、その先にまっているのは高橋一生演じるサイコパス殺人鬼・日高陽斗との魂の入れ替わりだった……。

 物語の中では、奄美大島群の喜界島に語り継がれてきた「月と太陽の伝説」が語られる。
ある夜、太陽と月は次のような約束をした。「どちらかの腹の上に、“シヤカナローの花“が先に咲いたほうが昼の太陽になる。咲かなかったほうは、夜の月になる」と。

 すると、月の腹の上に“シヤカナローの花“が咲く。しかし「自分が昼の太陽」になりたかった太陽は、月よりも先に目が覚めると“シヤカナローの花“を月に気づかれないようにこっそりと自分の腹の上に植え替えてしまう。

 そこから太陽は昼に、そして月は夜に出ることになった。

 ところが、太陽はしてはいけないことをしてしまったため、誰もまともに見ることができなくなってしまった。一方、月は誰もがいつまでもずっとその姿を見ていられる姿をしているのだ。

 望月彩子と日高陽斗。2人の名前にも通じる「月と太陽の伝説」のごとく、本来「刑事」である彩子は「殺人鬼」に、そして「殺人鬼」の日高は「刑事」に。その立場が逆転することから始まるサイコサスペンスだ。

 この一見すると現実離れした状況に説得力を持たせているのが、言わずもがな綾瀬はるかと高橋一生の演技力。作中では彩子と日高の性格は、とことん真逆に描かれている。

 彩子の性格は元来「〜べき」論で動く、融通が利かない堅物タイプ。ルールに背くことは許せないという思いから、利権などを無視して突っ走ってしまうところもあり、問題が起きすこともしばしば。周囲からも煙たがられており、なんとかその状況を打破したいと「手柄」を立てるということに夢中になっていく。

 一方で、日高はシリアルキラーである顔を隠しながら、化学者としての知識を活かしてベンチャー企業を設立。敏腕社長としても才覚を発揮している。仮にトラブルに直面したとしても慌てずにのらりくらりと交わしながら、角を立てずに解決していく。その柔らかな物腰で、周囲の人間からの信頼も厚い。

 走る彩子と歩く日高。慌て驚く彩子と余裕の笑みをこぼす日高。相反する性格と背景を持つ2人が入れ替わったとき、綾瀬と高橋は単なる“男っぽい“”女っぽい“という表面的な仕草や言い回しだけではなく、その息遣い、眼差し、姿勢……と全て入れ替わっていることを示す演技をしてくれる。

 例えば、発声。彩子を演じる綾瀬と高橋は、声を上ずらせ息を前に投げるように話すのに対して、日高を演じる綾瀬と高橋は息をそっと足元に置くように言葉を発するのだ。高橋の声を通じて、綾瀬が演じた彩子の思考が聞こえてくるかのような錯覚を覚えるのは、スイッチエンターテインメントの醍醐味そのものといえる。

 脚本・森下佳子、演出・平川雄一朗、音楽・高見優と、これまで『JIN-仁-』(TBS系)や『義母と娘のブルース』(TBS系)などを手掛けてきたゴールデンチームが築くどっしりとしたステージの上で、綾瀬と高橋がこれでもかと演技力という名の剣を交えるような緊張感。彩子と日高という2人のキャラクターを通じて、これまで様々な役柄を演じ分けてきた綾瀬と高橋の真剣勝負を見守るような興奮を覚える。

 男女の魂の入れ替わりは、これまでも多くの作品で描かれてきたテーマだ。魂と身体が分裂したら、どちらが自分自身なのか。その不思議な関係は、それほど私たちを魅了してやまない。そして、視点が変われば正しさが大きく変わるという難しさも。

 かつて描かれてきた多くの作品は魂が入れ替わった相手とぶつかり合いながらも、少しずつそれぞれが持つ苦悩に直面し、理解を深め合う様が観る者の胸を打つ。ときにはそこから愛情が芽生えることも少なくない。

 しかし、今回の2人は「善と悪」という圧倒的な隔たりがある。あなたが今、もし到底許すことのできない悪人と入れ替わってしまったとしたら……? その入れ替わりの先にあるエンディングを私たちはまだ知らない。

※高見優の「高」はハシゴダカが正式表記。

■放送情報
日曜劇場『天国と地獄 ~サイコな2人~』
TBS系にて、1月17日(日)スタート 毎週日曜21:00~21:54放送
出演:綾瀬はるか、高橋一生、柄本佑、溝端淳平、中村ゆり、迫田孝也、林泰文、野間口徹、吉見一豊、馬場徹、谷恭輔、岸井ゆきの、木場勝己、北村一輝
脚本:森下佳子
編成・プロデュース:渡瀬暁彦
プロデュース:中島啓介
演出:平川雄一朗、青山貴洋、松木彩
製作著作:TBS
(c)TBS

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