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TWICE、『MORE & MORE』ヒットに繋げた2つのコンセプト 多彩な楽曲と変わらぬ“らしさ”もポイントに

リアルサウンド

20/6/6(土) 12:00

 TWICEが2020年6月1日、韓国では9枚目となるミニアルバム『MORE & MORE』を発売した。本国での新作リリースは約9カ月ぶり。グループにとっては最長の空白期間となった。それゆえにファンの渇望感は強かったのだろう、本作は予約だけで50万枚を突破し、発表直後に主要な音源チャートで1位を獲得した。現時点ではまだわからないが、歴代ガールズグループで最も売れたアルバム・IZ*ONEの『BLOOM*IZ』(48万枚)を抜く可能性は高そうだ。

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 久しぶりの作品だから大ヒットしたのかというと、実はそれだけではない。リリース直前に公開された12本のティザー映像は、『MORE & MORE』に対する期待感をかなり上げてくれた。ソロショットはナチュラルな表情を見せながら、グループショットでは優雅に美しく。“ネイチャー”と“ヒッピー”というふたつのコンセプトで演出した映像がTWICEの新たな魅力を引き出し、より多くのリスナーの関心を集めたと推測している。

 実際、アルバムのリードトラック「MORE & MORE」もこれまでにない魅力にあふれていた。トライバルなリズムと、“私の目を何度も避けてみて/あなたの気持ちを何度も隠してみて/私から逃げてみて”や“私は野良猫/今日だけはあなたを”といった歌詞は“ヒッピー”を連想させるもので、涼しげなシンセサイザーの音色は“ネイチャー”という言葉がよく似合う。いずれもTWICEのベーシックなイメージである“明るく元気で前向き”から少し距離を置いた要素だ。

 歌詞については新進気鋭の女性シンガーソングライター・BIBIの起用が功を奏したと思われる。挑発的な言葉を多用した内容は、共作したJ.Y.Parkではなく、おそらくBIBIのアイデアだろう。彼女は音楽バラエティ番組『THE FAN』でスポットライトが当たり、2019年にプロデビュー。今年4月末にリリースしたシングル「KAZINO(社長、賭博は楽しんでやらなければいけません)」でも「MORE & MORE」に似たユニークな表現を楽しめるので、こちらも是非チェックしてほしい。

 「MORE & MORE」はステージでのパフォーマンスも個性的だ。同曲のミュージックビデオの公開前にティザー映像で一部を披露していたが、その時点で引き込まれた人は多かったのではないだろうか。今回振り付けに参加したのはキール・トゥーテンという男性の振付師/ダンサーで、TWICEには過去に「FANCY」「Feel Special」といった曲も指導している。メンバーのポテンシャルを引き出すために難易度の高いダンスを教えるのが得意らしく、「MORE & MORE」でも常に一挙手一投足に神経を使う振り付けが興味深い。先日V LIVE(NAVERのライブ映像配信アプリ)とYouTubeで『TWICE “MORE & MORE” SPECIAL LIVE』が生中継されたが、そこでも9人のメンバーの立ち位置が目まぐるしく変わる圧巻のダンスを披露している。

 本作はリードトラック以外にも押さえておきたいナンバーが多い。初めてラテンに挑戦したという「FIREWORK」は、サビでの切ない歌声が新鮮に響く。ナヨンが作詞したダンスナンバー「MAKE ME GO」では、クールなラップとメロウなボーカルが混じり合う様がスリリングだ。「SHADOW」はトロピカルハウスと80年代のシンセポップをベースにしつつも、メロディラインはしっとりとしているのが面白いところ。また、「DON’T CALL ME AGAIN」ではレトロソウルを、「SWEET SUMMER DAY」ではニュージャックスウィングを取り入れるなど、音楽的な幅を広げようとする意志が感じられる曲が目立つのも印象的だ。

 このように多彩な楽曲を詰め込んだ『MORE & MORE』だが、1枚を通して聴いてみると意外にもTWICE本来の魅力は薄れていないことに気付く。それは制作サイドも意識したらしく、サウンドメイクは新しくても、デビュー以来変わらない“TWICEらしさ”を随所に散りばめる工夫を忘れない。これは日本における活動でも同様で、昨年11月に日本で発表した『&TWICE』もあらためて聴いてみると『MORE & MORE』と方向性が似ていることがわかるだろう。

 新作『MORE & MORE』に関しては、他にも注目すべきことがあった。前述した『TWICE “MORE & MORE” SPECIAL LIVE』はアルバム制作に関するトークがメインだったが、今まで以上に仲の良さを感じさせる場面が多かったように思う。それは十分な休息を取ったからなのか、もしくは思うように活動できないことがむしろ結束力の向上につながったのかーー。本当のところはわからないが、現時点でグループの状態がベストであることは間違いない。(まつもとたくお)

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