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停電の夜、三角関係の行方は…内藤大希らの歌声が劇場包む「Fly By Night」開幕

ナタリー

20/9/2(水) 13:45

conSept Musical Drama #4「Fly By Night~君がいた」ゲネプロより。(撮影:岩田えり)

ミュージカル「Fly By Night~君がいた」が、昨日9月1日に東京・シアタートラムで開幕。ステージナタリーでは、同日に行われたゲネプロの様子をレポートする。

conSeptによるミュージカルドラマ・シリーズの第4弾として上演される本作は、1965年に北アメリカとカナダで実際に起きた大規模停電をモチーフにした群像劇。日本初演となる今回は、日本語上演台本・訳詞・演出を板垣恭一が手がけ、出演者には内藤大希、青野紗穂、万里紗、遠山裕介、内田紳一郎、福井晶一、原田優一が名を連ねた。

1964年11月9日、父マックラム(福井)と共に母の葬儀を終えたハロルド(内藤)は、遺品の中にギターを見つけ、形見として持ち帰ることに。同じ頃、田舎町のサウスダコタで暮らしていたダフネ(青野)は、女優を目指してニューヨークに行くことを決意。姉のミリアム(万里紗)に「1人では心もとないから」と泣きつき、姉妹はニューヨークで暮らし始める。洋服店で働きながらオーディションを受け続けるダフネは、店の近くのサンドイッチ屋で働くハロルドと恋に落ちるが……。

ステージの上手と下手に設けられたバンドブースには、マスクを着けたミュージシャンたちがそれぞれ2人ずつ控える。舞台奥の壁の高い位置には三日月をかたどった装置が取り付けられ、その下には都会の街のシルエットを連想させるパネルが置かれた。また舞台最前部にはずらりと電球が並び、天井からは電球が連なるストリングライトが吊るされている。電球はオレンジがかった色に明滅し、どこかレトロでロマンチックな雰囲気を醸し出した。

1964年11月9日の場面から始まる本作では、ハロルド、ダフネ、ミリアムの三角関係を中心としたストーリーが展開。舞台は、原田演じるナレーターの狂言回しによって、停電が起きる1965年11月9日に向かって進行していく。物語は必ずしも時間軸に沿って過去から未来へと進むわけではなく、ところどころで時間が数カ月単位で巻き戻される。すでに演じられた場面を、別の登場人物の視点から改めて描いたり、キャラクターの心情が補足されたりすることで、重層的な群像劇が立ち上がった。

また登場人物たちは、サンドイッチ屋での代わり映えしない日々を表す楽曲や、亡き妻との思い出のオペラの一節、夢に向かっているはずなのに満たされない胸の内を歌った曲など、それぞれが抱えるものを象徴するようなフレーズを繰り返し口ずさむ。それらのフレーズがバンドの生演奏に乗せて重なっていくことで、人々の人生が交わり、すれ違うさまが描き出された。ついに訪れた停電の日、ハロルドとダフネ、ミリアムの関係がどこに向かうのか、ぜひ確かめてみては。

内藤は緩急自在な歌声で、シアタートラムの空間を包み込む。恋に高揚したハロルドがダフネに求愛するシーンでは、小指を立てながらハンドマイクを持ち熱唱。一方、優柔不断なハロルドが恋人ダフネの姉ミリアムに惹かれて葛藤するシーンでは、繊細な歌声を聞かせた。青野は、バイタリティにあふれ、夢に向かって貪欲に突き進みながらも、どこか物足りなさを抱えるダフネの強さと弱さを巧みに表現。ミリアム役の万里紗は、穏やかな微笑みを浮かべてダフネと仲むつまじい姿を見せつつ、大好きな天体や宇宙の話題になるとつい早口になる“星オタク”としてのミリアムを表情豊かに演じた。

また福井演じるマックラムが、妻を亡くした喪失感を漂わせながら、思い出のオペラ「椿姫」の1曲を力なく歌う様子や、ダフネとミリアムの父母、ミリアムに不吉な予言を聞かせる霊能者などを演じ分けるナレーター・原田の多彩な演技にも注目しよう。

内藤は初日を迎えた喜びを語り、「横浜公演まで含めて全公演配信がありますので、自宅でも、出かけた先でも観ていただけます。映像の世界で楽しんでいただくも良し、映像を観て劇場に足を運んでいただくも良し、劇場で観て配信をご覧になるも良し。ぜひ『Fly By Night』の世界を堪能していただけたらと思います」とメッセージを送った。

本公演は新型コロナウイルス感染症対策を行ったうえで、座席数を半分以下に減らして実施される。上演時間は約2時間35分。東京公演は9月13日まで行われ、19日から22日には神奈川・横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホールでも上演される。なお本公演は全ステージ生配信され、配信後4時間まで見直しが可能。視聴チケットは税込5500円となっている。

conSept Musical Drama #4「Fly By Night~君がいた」

2020年9月1日(火)~13日(日)
東京都 シアタートラム

2020年9月19日(土)~22日(火・祝)
神奈川県 横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール

原案・脚本・作詞・作曲:キム・ロゼンストック
脚本・作詞・作曲:ウィル・コノリー、マイケル・ミットニック
日本語上演台本・訳詞・演出:板垣恭一
音楽監督:桑原まこ

キャスト

ハロルド:内藤大希
ダフネ:青野紗穂
ミリアム:万里紗
ジョーイ:遠山裕介
クラブル:内田紳一郎
マックラム:福井晶一
ナレーター:原田優一

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