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『おちょやん』で杉咲花と奮闘 土居志央梨、仁村紗和、古谷ちさら“お茶子”女優に注目

リアルサウンド

20/12/18(金) 6:00

 現在放送中の連続テレビ小説『おちょやん』(NHK総合)。9歳のときに、道頓堀の芝居茶屋に女中奉公に出されたヒロイン・竹井千代(毎田暖乃/杉咲花)は、華やかな芝居の世界を目にし、女優を志すようになる。後に上方の大女優となっていく千代の原点は、道頓堀で“おちょやん”として働く8年間にある。

 本記事では、千代の奉公先である芝居茶屋「岡安」と、「岡安」とライバル関係にある芝居茶屋「福富」で働くお茶子たちに注目。口が達者で機転がきく千代とは異なる、彼女たちの魅力を紹介したい。

「岡安」のお茶子たち

怒ると少しこわいが、頼り甲斐のある千代の先輩・富士子(土居志央梨)

 第11回で「福富」のお茶子たちが千代をからかった時、無言で睨みを利かせる姿が印象的だった富士子。公式サイトでは「お茶子の仕事に誇りを持ち、お茶子頭として強い責任感を持っている。怒ると少しこわい」と紹介されている。「椿! いけずばっか言うてたらえらい目に遭わすで!」と啖呵を切るシーンからは、そんな彼女の人柄が伝わってきた。

 富士子を演じる土居志央梨は、大学在学中に林海象監督の『彌勒』で映画デビューを果たし、藤本啓太監督『二人ノ世界』や行定勲監督『リバーズ・エッジ』などに出演。作品ごとに全く違う印象を与え、存在感を発揮する注目の女優である。

 第13回でシズと早川延四郎(片岡松十郎)の不義密通の噂が広がった時、富士子はシズや「岡安」のことを人一倍気にかけているように見えた。静かな物言いで「岡安」の将来を案じる姿には、彼女なりのお茶子としての使命感が感じられる。

おっとりして見えるが、意外に負けん気が強い節子(仁村紗和)

 節子には、その優しそうな顔つきからおっとりした第一印象を抱いた。だが先述した「福富」のお茶子たちとの一件では、一番に口を開き、穏やかな口調だが「あんまりてんご言わんといて」と彼女たちを咎めるような強い視線を投げた。

 節子を演じている仁村紗和は、モデル業のほか、最近では「P&G ファブリーズ ナチュリス」のCMに出演するなど、数多くの広告やMVに出演し、さまざまな作品で印象を強く残している。

 お茶子たちの間で、シズと早川の噂を広めたのが椿ではないかという話題になったとき、「福富の椿か」と怒気を含んだ声をあげていた節子。怒ると少し怖いのは富士子だが、喧嘩っ早いのは節子かもしれない。

千代と一番年が近く、仲が良い、朗らかな笑顔が魅力的な玉(古谷ちさ)

 玉は姉御肌な富士子、節子と比較すると、妹気質なキャラクターだ。椿にやっかまれ、「うち何も言うてへんのに〜」と困惑する姿はかわいらしい。富士子と節子、椿、ぼたん、あやめが取っ組み合いを始めた時も、一人その場でオロオロしていた。

 演じる古谷ちさは、大阪に拠点を置く劇団「空晴」の劇団員であり、2019年には第21回関西現代演劇俳優賞 奨励賞を受賞した役者である。

 千代と一番年が近い玉は千代と接するシーンも多い。千代がシズ(篠原涼子)に呼び出されたときにはその場を立ち去るまで、千代を心配そうに見つめていた。さりげないシーンだが、千代と親しい関係性がうかがえる。千代が披露した演技に見せたなんとも言えない表情が面白い。

「福富」のお茶子たち

「岡安」には強気だが、「福富」の女将には頭が上がらない椿(丹下真寿美)

 ことあるごとに千代や「岡安」のお茶子たちに噛み付いてくる姿が印象的な椿。目を向いて物を言う姿は力強いが、「福富」の女将・菊(いしのようこ)に叱られているときの元気のない表情を見ると、どこか憎めない。椿を演じるのは、関西を拠点として活動する丹下真寿美。噂好きな「福富」のお茶子たちは、シズと早川の噂を広めるのだが、その時の椿のイキイキとした表情が小憎たらしくも魅力的だ。

所作がしなやかで美しいが、「岡安」への強いライバル視を感じるぼたん(沢暉蓮)

 ぼたんを演じる沢暉蓮は、映画『決算!忠臣蔵』や『居眠り磐音』に『引っ越し大名!』、ドラマでは『歴史秘話ヒストリア』(NHK総合)など、歴史を描く作品に数多く出演している。所属事務所のプロフィールには特技「日本舞踊」とあり、本作では自身の武器を存分に活かしている。というのも、椿とともに千代を「おちょやん」とからかうシーンで、ぼたんの所作は一際しなやかで美しい。その美しい所作が、彼女たちの「岡安」への強いライバル視をよりいっそう際立たせていた。

「福富」のお茶子の中で妹気質、軽快な動きが印象に残るあやめ(藤本くるみ)

 教育番組『パニパニパイア!』(スカパー)のメインキャスト・メアを演じていた藤本くるみ。そんな彼女が演じるあやめは椿やぼたんよりも年下のようで、さりげない動きから若々しさが感じられる。千代が高城百合子(井川遥)を岡安へ連れて行こうとした際には、身を隠す高城にタタタッと駆け寄り、椿やぼたんとは違うアプローチで千代と高城を足止めしていた。立ち去る際、高城への興味を示しながらも、千代を見るなり「ふんっ」とそっぽを向いたあやめ。見知らぬものへの好奇心とライバル心が感じられ、そのキャラクター像が色濃くなったように思えた。

 「岡安」に来たばかりの頃の千代と同じくらいの年の里子(奥野此美)もまた、懸命に仕事を覚えようとする姿やお茶子たちを慕う姿が目を引く。2018年に放送された『まんぷく』(NHK総合)で塩軍団を演じた俳優が続々と活躍しているように、彼女たちもまた、活動の幅を広げていくのではないだろうか。今後の千代との絡みからも目が離せない。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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