みうらじゅんの映画チラシ放談
『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』『下忍 青い影』
月2回連載
第31回
── 今回の1本目は、『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』ですね。みうらさん、今日は本作のTシャツを着られてますが(笑)。
みうら はい。“ブロンソンズ”の一員として当然のことをしているだけです(笑)。実は来日されたチャールズ・ブロンソン激似のロバート・ブロンジーさんにブロンソンズのメンバーである田口トモロヲ氏と勝手言って会わせても頂きました。
── ブロンソンズをご存じない方にはどう説明すれば?
みうら ウィキペディアで調べて下さい(笑)。
それにしてもブロンジー、激似もいいところなんですよ。もちろんチャールズ・ブロンソンご本人はお亡くなりになってるわけでね、亡霊かとも(笑)。
僕らブロンソンズは勝手に日本の遺族として、新宿で“ブロン葬”っていう葬式まであげたくらいですから、当然、ご本人かそうじゃないかくらいは分かるはずじゃないですか。そんな僕らが、言うんですからね。別に自慢じゃないですけど、僕らが本人かと思ったんですからよっぽどですよ! 普通の方は「ブロンソンってまだ生きてて、新作あるんだ」ってところだと思いますけど(笑)。
そもそも “ロバート・ブロンジー主演”って、その名前からしておかしいじゃないですか!
── 確かに、バッタもん感がすごいですよね(笑)。
みうら 映画も観させていただいたんですがね、最初は“ロバート・ブロンジー”って出てくるんだけど、最後に名前が出てくると、“ロバート・コヴァックス”って違う名前でクレジットされてるんですよ。ハンガリー生まれの方だそうで、どうやらその国のウエスタン村みたいなところでチャールズ・ブロンソンのモノマネをしていた人らしいんです。それを、この映画の監督が見てスカウトしたらしいんですが、そもそも役者かどうか僕は知らなかったんです。
── チラシによると“軍人、大工、馬の調教師、ミュージシャン、スタントマンなどさまざまな職を経て、スペインの西部劇テーマパークに出演中にレネ・ペレス監督と出会いデビュー”だそうです。
みうら でしょ(笑)。原題は『デス・ウィッシュ』シリーズのパロディで『Death Kiss』らしいんですけど、邦題がすごいですよ。『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』ってとにかく詰め込んでる。
そりゃそのはず、字幕監修が江戸木純さんですからね。江戸木さんといえば『死霊の盆踊り』や『踊るマハラジャ』の邦題でヒットに導いた方ですから。ロバート・ブロンジーも邦題じゃないかと(笑)。
この監督さんも世代的には若い方だけど、ブロンソン映画をすごくよく観てらっしゃるから、いろんなパロディ、いやオマージュが入っていて、それがどれもこれもそっくりなんですよ! もうブロンジーがブロンソンに似ている角度からしか撮ってないんじゃないかと思うほど。だから、激似すぎることが笑えてくる笑撃作でした。個人的には今年一番の事件でしたよ。
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