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ちゃんみなが明かす、”病み期”を越えて知ったこと「音楽を通して自分自身を心から愛せるようになった」

リアルサウンド

20/2/18(火) 18:00

 ちゃんみなが、2月19日にEP『note-book -Me.-』と『note-book -u.-』をリリースする。同作のタイトルは、普段自分の想いや歌詞を書き溜めているノートを作品にして届けたいという思いから名付けられており、『Me.』はちゃんみな自身を主観的に、『u.』は客観的に見て制作されたという。

ちゃんみな – Picky (Official Music Video)

 昨年の夏にリリースしたアルバム『Never Grow Up』は20代を迎えた彼女の第2章を告げるような作品だったが、本作では自己と深く向き合い、これまで以上に彼女の内なる感情をさらけ出したような楽曲が並んでいる。自問自答を繰り返す制作過程の中で、自分自身を愛することができたという、ちゃんみな。自己省察の中で出会った新しい感覚とそこから生まれた音楽について、ひとつの壁を乗り越えた彼女の飾らない言葉を聞いた。(編集部)

「初めての感覚への戸惑いが作品にも反映されている」

ちゃんみな

ーー今作はご自身の中にある悲しさや苦しさに向き合い、それを作品化した印象を受けました。ワンマンライブ(『ちゃんみな THE PRINCESS PROJECT 4』昭和女子大学人見記念講堂)のMCでも言っていましたが、病んでいる時期に生まれた曲だとか?

ちゃんみな:本当に突然、病み期に入ってしまったというか。20歳になるタイミングの時に、10代のお話はこれで終わり、これからは20代の悩みを持てることが楽しみだっていう風に考えていたんです。いよいよそれが来た、みたいな。10代の時には経験したことのない悩みだったので、少し動揺したといいますか、初めての感覚への戸惑いのようなものが作品にも反映されていると思います。

ーーその新しい悩みというのは?

ちゃんみな:これまで20年過ごしてきて、自分はどういう人間なんだろう、とか。どうしてこういう思考回路なんだろうみたいな、答えのないようなものを掘り下げていったんです。でも、最終的には自分自身とすごく仲良くなれました。その時に思ったのは、私の中には少なくとも2つの人格があるなって。だから今回の作品も『note-book -Me.-』(以下、『Me.』)と『note-book -u.-』(以下、『u.』)でタイトルを分けているんです。

ーー今までは自分自身と向き合う作業をしてこなかった?

ちゃんみな:そうですね。人生の中でやらなければいけないアジェンダみたいなものがあって、その中のリストに入っていたんですけど、多分めんどくさいし、長そうだから向き合わなかった、みたいな(笑)。今、そのタイミングがついに来たんだと思っています。

ーー今作の曲は、悩んでいる時期に並行して作っていたのか、それとも時間を空けたのか。

ちゃんみな:『Never Grow Up』(2ndフルアルバム/2019年8月7日発売)が出る直前くらいに自分自身を掘り下げ始めて、そこからそういう悩みの時期に入っていったんです。それでスタッフの方に相談しました。曲を作りたくなったからアメリカに行けないかって。その翌月くらいにアメリカに行けることになって、向こうで思っていたことを全部バーっと曲にしたことでスッキリしたんです。

ーーアメリカでは何曲作りましたか?

ちゃんみな:全部で9曲書いて、そのうちの8曲が収録されています。帰国してから出来上がった曲をスタッフの方々に聴いてもらってから、これを出したいですって伝えて……だから本当は2月に作品を出す予定はなかったんです。急遽決まったものなので、私がノートに殴り書きしたものがそのまま世にでるような感覚に近いかもしれませんね。『Me.』は主観的に、『u.』は客観的に私を見たイメージなんですけど、曲調で言うと前者が希望的で、後者が絶望的になっているんですよ。特に『u.』の方は割と開き直ってます。

ーーなぜ、そのように開き直れたと思いますか?

ちゃんみな:受け入れたんでしょうね、きっと。凸凹で不完全な自分を受け入れて、これが自分にとっての完璧だっていうことをちゃんと認めてあげられたんだと思います。

「恋愛は、考え方や言ってることがコロコロ変わってもいい」

ちゃんみな – ボイスメモ No. 5 (Official Music Video)

ーーなるほど。『Me.』は「ボイスメモ No. 5」というラブソングから始まります。過去にもラブソングは多く歌ってきたと思いますが、今作はいつも以上に心の中をさらけ出しているようなリアルさがありました。

ちゃんみな:そうですね。ノートブックってめちゃくちゃプライベートなものじゃないですか。この作品に詰まっていることは基本的には言ってはいけないことなんです。プライバシーが流出しているというか。「ボイスメモ No. 5」で描かれていることは、要約すると「どうしようもない人のことを好きになってしまったな」っていうことで。でも、私はそれをどうしようもできないし、逆にそれがいいのかもしれない。私にとっては彼の欠点も欠点じゃないし、彼も私を完璧だって言ってくれる。それなら周りの人の固定概念にとらわれず、仲良くやっていきましょうっていう曲なんですよ。

ーー最終的には、愛を貫くというか。

ちゃんみな:希望的ですよね。

ーー希望的という意味では、この曲は恋が生まれるぐらいの時期の話ですかね。

ちゃんみな:そうです。始まりそうな時期に書いた曲です。

ーーその中にはワクワクする気持ちもあれば、すれ違ってしまう失望感もある。

ちゃんみな:失望感はまだない段階だと思います。『Me.』の方に恋愛の曲が集中しているんですけど、つまりまだ悪い感じではないということかなって(笑)。

ーーラブソングに関しては、デビュー当初と現在で捉え方は全然違いますか?

ちゃんみな:恋愛は相手や年齢によって変わってくるので、17歳の曲と今の曲はだいぶ違うと思います。でも、恋愛においては、考え方や言ってることがコロコロ変わっていってもいいのかなって。今は「この人しかいない」と言っていても、次の作品で「あいつ最低だった」って言ってるかもしれないですし(笑)。そういう歌を歌わせないでねっていう歌があってもいい。ひとつひとつ、どの感情に音を感じるか次第だと思います。

ーーその時の体験や気持ちによって変わってくるんですね。

ちゃんみな:変わっていきますね。振られたタイミングに音が出る時もあれば出ない時もあります。私が生きていく生活のどの瞬間に音が生まれるかは、私自身もわからないんです。だから、これからも生きながら音楽が生まれてくればいいなって思ってます。

ーー“生活の中から生まれる”というのは、ちゃんみなさんの音楽のキーワードになっていると思います。

ちゃんみな:もともと、素の自分を音楽では表現していきたいという気持ちが根底にあって。普通に生活をしながら人間らしい発想や感情が生まれて、それを作品に落とし込んでアウトプットできる。みんなと一緒に人生を楽しめるような存在になれたらいいなとは常に思っています。ただ、今回の作品を通して、自分の中には2人のちゃんみながいると知ったので、今後は表現の仕方が変わっていくかもしれません。どちらにしても本心には変わりないので、両方の表情をバランス良く、飾らずに出せていけたらと思います。

私たちの世代は「現実的だけど奥底には熱いものを持っている」

ーーでは「ルーシー」についてはどうでしょうか? ここに登場する“ルーシー”もきっと大事なモチーフですよね。

ちゃんみな:これは私が昔から憧れていた人に向けて書いた曲なんです。最近、音楽で成功している人、かつて私が憧れていた人たちって、すごく不幸せそうだなって思うことがあって。当時は、好きな音楽ができて、キラキラしたステージで踊って、お金もいっぱいあって幸せなんだろうなって思っていたんです。だから私もそうなりたいと思って追いかけてきたけど、今同じようにアーティストになって改めて見たらみんな全然幸せそうじゃないじゃんって。そういうことに対して、「憧れの背中を見せてくれたのはあなたなのに。ちょっと、こんな場所だったなんて聞いてないよ」っていう気持ちをぶつけたような曲です。

ーーたしかにポップミュージックの歴史を振り返ると、優れたアーティストは不幸になったというエピソードは多いですよね。それは才能と引き換えに人生を明け渡すという面もあるのかなと思いますが、ちゃんみなさんはアーティストとしても、人生においても幸せになりたいという願望はありますか?

ちゃんみな:無謀だけど、両方を手に入れたいという気持ちはあります。音楽家としての成功と引き替えにっていう言い方は美しく聞こえますけど、当人からしたらすごく辛いことだと思うんです。だから、亡くなってしまう方もいるんでしょうし。「ルーシー」を書いていた時にちょうど、昔好きだったアーティストが亡くなったタイミングで。その時の「え?」っていう戸惑いも曲には出ているかもしれません。

ーー先ほど『u.』には絶望的な曲が収録されているとお話しされていました。1曲目の「In The Flames」から緊張感のある曲調とリリックです。

ちゃんみな:「In The Flames」は、『u.』全体に言えることが書かれていると思います。武器を置いて「どうにでもしろよ」みたいな状況、投げやりで自暴自棄というか、少しももがいていないんです。「In The Flames」の〈もうすでに受け入れて 笑っていた〉、〈火花の近くで はにかんだ私は世界一 綺麗だったでしょう…〉っていう歌詞は、「不幸な私が好きだったってことでしょ?」ていう皮肉なんですよ。きっともがいていたら「なんであの時、私のことをきれいだって言ったの?」みたいに言ってしまうと思うんですけど、この曲ではすべてを諦めて自己完結で終わってるんです。

ーー自暴自棄や投げやりというのは、その時のちゃんみなさんの心境を表している?

ちゃんみな:そうですね。感情がごちゃごちゃだったんだと思います。作品としては『Me.』と『u.』で4曲ずつに分かれていますけど、結局は全部同時に作ったものなので。

ーー「KING」には切なさが見え隠れすると同時に、これまで以上に強いちゃんみなの姿を感じました。

ちゃんみな:簡単に言えば感覚を麻痺させるというか。鈍感とは違うんですけど、自分を突き刺してくるものが何かあったとしても、それを無視して走っていくような。何があっても振り向かずに走り抜けていく気持ちも自分の中には確実にあると思っているので、そういう部分を前面に出した曲ですね。

ーー反発されても、それを押し返していく力のようなものですか?

ちゃんみな:そうですね。押し返す強さ、どんなことにでも「どうでもいい」って言える強さとか。そういう少し荒っぽいところも自分にはあるので。いいところなのか、悪いところなのかはわからないんですけど(笑)。

ーーリリックの中では〈Yo man 席替えは終わった〉という象徴的なフレーズがあります。世代が変わっていく中で、上の人たちに対するメッセージだと感じました。

ちゃんみな:デビュータイミングに「未成年」で〈そろそろ始まるからね席替え〉っていうフレーズを出していて。おそらく、世代交代そのものはもう終わったっていう実感があったんだと思います。そろそろ、私たちの世代が輝く時期が来たなっていう。

ーーちゃんみなさんを始めとする新世代にあって、前の世代にはない特徴はどんなものだと思いますか?

ちゃんみな:なんですかね……リアルっていうか、すごく現実的だと思います。私も含め、若い世代全体に言えることだと思いますけど、どこか冷めていて現実的だけど奥底には熱いものを持っている、みたいな。同世代の曲を聴いていてもそう思いますし、基本的に暗い雰囲気は持っていると感じますね。ビリー・アイリッシュとかを見ていても、彼女もどことなく鬱屈したものがあると感じますし。私の楽曲にも絶望があるように、そこは世代全体で共通している点じゃないかと思います。

「自分にかけてあげる言葉がガラッと変わった」

ーー『Me.』と『u.』、本当に対照的な作品ができましたね。先ほどご自身の中には別の人格が2人はいるとおっしゃっていましたが、10代の頃はどうでしたか? ご自身の中で変わった部分もあれば、変わっていないところもあると思いますが。

ちゃんみな:ちょうど今年のお正月に、お父さんとそんな話をしました(笑)。「昔、私って人格が3つくらいあったよね?」「3回くらい性格が変わったよね」っていう。今はもうそういう時期は終わったと思いますけど、15歳くらいの時が一番トゲトゲしかったと思います。自分の物差しに当てはまらないものは許せなかったし、何に対しても反発していたというか。自分を受け入れたという話をしましたけど、そのタイミングで他者のことも受け入れられるようになりましたね。私もこれだけ凸凹だったということは、この人が少し変わっていたとしても、それは個性だから美しいものなんだって。今は自分がマザーテレサ化しているような感覚があります(笑)。

ーーそのお父様と話した3つの人格は例えばどんなものでしたか?

ちゃんみな:ひとつは、すごく暗かった自分。恥ずかしがり屋で、基本的に親の後ろにずっと隠れているような。それ以外は、めっちゃ活発でみんなをまとめるリーダー的な人格もあったし、周りにも自分にも厳しい人格になったこともありました。でも、細かく振り返るともっとたくさんあるかもしれないです。

ーーその話をした時にお父さんは「苦労したよ」みたいな反応でした(笑)?

ちゃんみな:そう言ってました。結局のところ全部自分なんですけど、若かったが故に、小出しにしていたんだろうなって思います。すべての人格を中和させたものじゃなくて、ひとつ尖ってるものをその都度出していたんじゃないかなって。お父さんには、コロコロ変わりすぎて本当に心配した時期もあったって言われました(笑)。

ーー年齢を重ねることで、だんだん落ち着いてきたんですね。

ちゃんみな:やっぱり音楽を通して自分を知っていくことで、自分自身を心から愛せるようになったことが一番大きいと思います。

ーー自分を愛せるようになったのは、ここ最近の話ですか?

ちゃんみな:自分にかけてあげる言葉がガラッと変わったのは、今回の作品がきっかけです。それまでは「甘ったれてんじゃねーよ」みたいな言葉をかけていたんですけど、最近は「あなたは大丈夫だよ」「そのままでいいからね」みたいな肯定する言葉をかけられるようになりました。

ーー先日のライブを観て思ったのですが、そういうちゃんみなさんの生き方に憧れている女性や共感している方々も多いのかな、と。

ちゃんみな:みんな、ライブで発散してるように見えますよね。

ーーそうするとそれを引っ張っているちゃんみなさんとしては、そのファンの方々とも向き合うことにもなるのかなって。

ちゃんみな:そうかもしれないですね。でも、ファンのみんなと人生の一部を共有できるのはすごく嬉しいことで。私が発した言葉でも、受け取り手によってそれぞれ感じる情景は違うと思うんです。例えば、「Call」という曲に〈夏のせいだ 都会なのに 星が降る だんだんだんだんだん〉という歌詞があるんですけど、「だんだん」って方言で「ありがとう」っていう意味があるらしいんです。それを聴いて「星が降ってくれてありがとう」という意味で受け取りましたって言ってくれる子がいたんですけど、そういう人それぞれの思いや念みたいなものがライブ会場にはあると思うんです。みんなで一緒に歌って、いろんなことをみんなで思い浮かべているから、すごい空間になるのかなって。

ーー次のライブの構想はもうありますか?

ちゃんみな:もちろん、あります。たぶん、「ボイスメモ No. 5」と「Picky」のMVがヒントになるんじゃないかな。アイデアはすでにあるので、MVからどんどん演出を広げていって、尖ったすごいものになると思います。

ーーあと、男性ファンも以前と比べて増えていますよね?

ちゃんみな:それもびっくりしました。しかも、ちゃんと歌ってくれるんです。すごく可愛いですよね(笑)。

ーーちゃんみなさんの音楽が男性にも届くようになった理由は何でしょうね。

ちゃんみな:それが全然わからないんです。私から何かしたつもりはなかったんですけど、いつの間にか男の子が団体でいるな、みたいな。お兄さんも年配の方も、小さい男の子も増えてきてますし。ワンマンライブのMCで「メンズ、歌って」ってお願いしたら、予想以上に声が聞こえてきて。あれには感動しました。

ーー男女問わず、新しいタイプの強い女性アーティストの登場を待っていた面もあるんじゃないかと思います。

ちゃんみな:どうなんですかね……でも、素直に嬉しいです。男性の方にもたくさん聴いてもらえて。

ーー先ほど「言ってはいけないことを言っている」という話がありましたが、そういう際どいユーモアをみんな楽しんでいる部分はありそうです。

ちゃんみな:たしかに。「KING」のリリックにしても、〈尊敬の意をみせろ やいや〉って。遊び心で作っている曲ってヒップホップ系が多いかもしれないです。

ーー普段は言えないことを、歌うことで言ってしまう感覚をリスナーも楽しんでいるのかもしれませんね。

ちゃんみな:そうだと思います(笑)。

“note-book” (Teaser)

■リリース情報
EP 『note-book –Me.-』
¥1,300+税

M1. ボイスメモ No. 5
M2. ルーシー
M3. I cannot go back to you
M4. note-book

EP 『note-book –u.-』
¥1,300+税

M1. In The Flames
M2. KING
M3. Picky
M4. Baby

2020年2月19日(水) 2作同時発売

CD予約・配信はこちら

<特典>
『note-book -Me.-』『note-book -u.-』2タイトル同時購入特典:ちゃんみなオリジナルノート
※一部取扱いのない店舗もございます。
※特典はなくなり次第終了とさせていただきます。

1タイトル購入特典:
・Amazon.co.jp特典:デカジャケ
※特典ナシのカートもございますのでご注意ください
・楽天BOOKS特典:オリジナル・ミニクリアファイル
※特典の有無に関するお問い合わせは直接各店舗へご確認下さい。

■ライブ情報
ちゃんみな『Me』+『u』TOUR
東京公演
3月26日(木) Zepp Tokyo 
Guest:SKY-HI
info:CREATIVEMAN PRODUCTION

大阪公演
3月29日(日) Zepp Namba
Guest:ACE COLLECTION
info::キョードーインフォメーション

名古屋公演
4月2日(木) Zepp Nagoya
Guest:アバンティーズ
info:サンデーフォークプロモーション

ちゃんみな オフィシャルサイト
ワーナーミュージック・ジャパン HP

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