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『コーチェラ』2019年ラインナップの傾向は? アリアナ・グランデらヘッドライナーを中心に分析

リアルサウンド

19/1/11(金) 8:00

 4月12日から21日にかけて開催される『コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル』(以下、コーチェラ)の出演アーティストが、1月3日に発表された。ヘッドライナーには、チャイルディッシュ・ガンビーノ、Tame Impala、アリアナ・グランデが抜擢。その他のラインナップには、BLACKPINK、Perfume、HYUKOHなどが挙げられており、アジア勢の充実も話題になっている。毎年出演アーティストに注目が集まる『コーチェラ』であるが、本年度のラインナップにはどういった傾向があるのだろうか。海外アーティストの音楽事情に詳しいライターの渡辺裕也氏に話を聞いた。

(関連:『コーチェラ』出演者のMVはこちら

「これは例年いえることですが、『コーチェラ』のラインナップにはその時代を的確に切り取った顔ぶれが揃っています。特に近年は活況がつづく北米メインストリームの状況が色濃く反映されており、世界中からセレブリティが集うフェスになりました。

 また、昨年には45以上の世界的音楽フェスが団結し、“2022年までにジェンダーの不平等を無くす”という方針を打ち出しました。それが反映された結果として、今回の『コーチェラ』のラインナップは女性アーティストの比率がさらに増えています。そういった点から見ていくと、まず注目すべきはアリアナ・グランデ。彼女は昨年のビヨンセにつづく『コーチェラ』4人目の女性ヘッドライナー、しかも歴代最年少のヘッドライナーということになります。アリアナが昨年を象徴するアーティストだったのは間違いないし、加えて昨年11月にリリースされた「thank u, next」が記録的な大ヒット曲となったこと、同曲がこの時代のムードをポジティブに転化させるような素晴らしい楽曲だったことは、今回の抜擢をさらに後押ししたのではないかと。

 ヘッドライナーでいうと、Tame Impalaが選ばれていることも見逃せません。中心人物のケヴィン・パーカーがプロデューサーとして北米メインストリームでも活躍の場を広げているのはもちろん、ロックバンドが苦戦していると言われるなかでも彼らは例外的な存在で在り続けています。どうやら新作のリリースも近づいているようですし、今回の起用には次作への期待も込められているはず。

 そして、チャイルディッシュ・ガンビーノ。恐らく彼のライブは今年のハイライトになると思います。俳優ドナルド・グローヴァーとしても活躍している彼は“チャイルディッシュ・ガンビーノ名義での活動から引退すること、次作がラストアルバムになること”をすでに公言しており、おそらく今回の『コーチェラ』ではキャリアの集大成になるようなステージを用意してくるでしょう。

 ラップミュージック全盛とされる現アメリカの顔役の1人であるチャイルディッシュ・ガンビーノ。現代最高峰のロックバンドとして、近年は大型フェスのヘッドライナーを担うことも多いTame Impala。そして2018年を代表するポップスターのアリアナ・グランデ。それぞれ異なるジャンルを押さえつつ、ジャンル間のクロスオーバーも体現している3組を揃えた、非常にバランスのよいヘッドライナーだと思います」

 続けて、今年のラインナップにはグローバルな視点が加えられていると同氏は語る。

「今年のラインナップからはローカルなシーンへの注目が高まっていることもうかがえます。たとえば近年のラテンブームを牽引してきたJ. バルヴィンやバッド・バニーがラインナップ表の上から2列目に配置されていること、あるいは金曜日の顔ぶれにスペインのフラメンコ・シンガーのロザリアが入っているのは、この時代性を反映しているなと。

 また、BLACKPINK、Perfume、HYUKOHなどアジア勢が出演することも話題になっています。なかでもラインナップの2列目に太字で名前が載っているBLACKPINKは、まさに大抜擢ですよね。彼女たちはデビューEP『SQUARE UP』が米ビルボードのメインチャート「Billboard 200」で40位を獲得するなど、すでに実績も出していますし、インタースコープ・レコードと契約したこともアメリカ進出の本格化を感じさせます。彼女たちやPerfumeのようなガールグループがこのラインナップに取り上げられていることも、かなり画期的ですよね。K-POPが世界的に盛り上がっている一方で、HYUKOHのようなロックバンドも出演するということは、アジアの音楽シーン全体に注目が集まっていることの表れではないかなと」

 最後に、世界中から注目を集める『コーチェラ』の中継についても言及した。

「2週にわたって開催される『コーチェラ』は毎年1週目をライブストリーミングしていましたが、どうやら今年は2週目の中継も行われるようです。2週連続で中継が行われることで、オンライン上での世界的な盛り上がりは例年以上に大きくなるかもしれませんね」

 国籍や性別、ジャンルと問わず広い視野で取り入れられた『コーチェラ』のラインナップ。黒人文化を組み込み圧倒的なパフォーマンスを見せた昨年のビヨンセに続くアーティストは出てくるのだろうか。また、アジアアーティストたちはどのようなステージングを見せてくれるのだろうか。各アーティストたちによる圧巻のパフォーマンスに期待したい。(北村奈都樹)

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