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HOWL BE QUIET、変化の中に変わらずにあるものーー3年ぶりLIQUIDROOMワンマン振り返る

リアルサウンド

19/10/24(木) 18:00

 HOWL BE QUIETが最新アルバム『Andante』を携え行った全国ツアー『Andante TOUR』、10月3日恵比寿LIQUIDROOMのファイナル公演を見て感じたこと。それは、2016年のメジャーデビュー以降、自分たちに似合う服を探すかのようにあらゆる表現方法に果敢にチャレンジしてきた彼らが、ようやくいつまでも着ていられる服を見つけたような感覚だった。あるいは、デザインや装飾ではなく、素材や形そのものを楽しむような感覚とも言えるかもしれない。

 HOWL BE QUIETは、アルバムのリリースに至るまでの2年間、メンバーの脱退や新メンバーの加入などを経験。『Andante』では、初のプロデューサーとしてTAKU INOUEを迎え、メロディの良さを生かしたメリハリの効いたバンドサウンドを実現させた。あらゆる変化が起こる中、HOWL BE QUIETに変わらずあったのは、いいメロディと歌を届けるという精神だ。

 『Andante』同様、「覆水盆に返らず」から始まったこの日のライブ。LIQUIDROOMを埋め尽くした観客たちからは、久々の再会を噛み締めながら、新生HOWLが鳴らす音楽を、ボーカル竹縄航太の歌声を漏れなくしっかり受け止めたいという静かな熱意が感じられた。

 軽快なテンポを刻む「Dousite」「Daily Darling」、手拍子が後押しする「ラブフェチ」とライブならではのアレンジもまじえながらいきいきとした演奏が続き、竹縄が「久々にまっすぐ(な思いで)書けた曲」と紹介したのが、アルバムリードトラックの「fantasia」。リリース時のインタビューで「最初は小さいことであっても、縁や出会いを逃さずに掴みたい」というアルバム全体にもつながるテーマをもっていると説明があったバンドの強い思いが込められた一曲だ。『Andante』の中でもチャレンジングな「バーバラ」のアウトロからそのままインディーズ時代の「千年孤独の賜物」に続く流れは、すべての曲が地続きにあることを印象付け、デジタル色の強いダンスナンバー「Higher Climber」はバンドサウンドが前面に出た形でアレンジが施された。

 竹縄が一人ステージに残って「GOOD BYE」を弾き語った後、ツアー各地では2人ずつの組み合わせでアコースティックセットでのデュエットを行ってきたそうだが、この日は全員で「孤独の発明」を披露。いずれも初の全国流通盤『DECEMBER』に収録されていた楽曲だ。当時からおよそ6年、歌と演奏にも深みが増す。原点回帰とも言えるこのパートには、間違いなくHOWL BE QUIETの根幹にあるものが映し出されていた。

 2年リリースがあいたバンドの命を繋いでくれた、大事な思い入れのある曲として披露されたのは、竹縄がSexy Zoneに楽曲提供した「名脇役」。続くロマンチックなイントロで幕を開ける「ヌレギヌ」は、新生HOWL BE QUIETとして初めて届けられた楽曲。会場一体に広がるシンガロングを目の当たりにし、これらの曲を初めて聞いたときの安心感と感動がよみがえった。

 岩野亨(Dr)がツアーの思い出を語るほっこりトークでステージとフロアの距離を縮めると、竹縄の「持ちつ持たれつでまいりましょう」という言葉を合図に「ギブアンドテイク」へ。普段はポーカーフェイスな新メンバー・松本拓郎(Ba)の顔にも笑みが浮かぶ。黒木健志(Gt)のギターリフが印象的な「Reversi」、軽快な「MONSTER WORLD」とライブ終盤を駆け抜けていくと、竹縄がふと語り始めた。LIQUIDROOMのステージに立つのが3年ぶりであること。思い描いていた未来とは少し違うかもしれないけれど、また同じ会場でライブができることを誇りに思うこと。来るかわからないような待ち合わせに来てくれるようなファンの存在を誇りに思うこと。HOWL BE QUIETでよかったということ。そして本編最後に披露された「Dream End」の〈たとえ間違っていても 構わないから 選び抜いてきた今を 信じられるように 未来は不確かで わがままで いつも自由さ この夜も越えていくんだ〉という一節に、すべての思いが込められているようだった。

 「レジスタンス」「幽霊に会えたら」の2曲を披露したアンコールでは、さっそく再会の約束が交わされた。11月29日に再びLIQUIDROOMでライブを行うという嬉しい知らせである。『REQUEST LIVE SHOW』と題された次のライブでは、HOWL BE QUIETの楽曲からリクエストを募り、票数の多かった楽曲でセットリストを組んで演奏するという。10月18日に発表された中間発表では、1位「Merry」、2位「Wake Me Up」、3位「サネカズラ」、4位「矛盾のおれ様」「Higher Climber」、5位「孤独の発明」という結果に。この上位5位を見るだけでもすでに新旧織り交ぜた特別なラインナップになるのは間違いなさそうだ。受付は10月31日まで、ぜひ投票に参加して新章に突入したHOWL BE QUIETの“今”のライブを楽しんでほしい。

(文=久蔵千恵/写真=山川哲矢)

■セットリスト
HOWL BE QUIET『Andante TOUR』
10月3日(木)恵比寿LIQUIDROOM

1.覆水盆に返らず
2.Dousite
3.Daily Darling
4.ラブフェチ
5.fantasia
6.バーバラ
7.千年孤独の賜物
8.Higher Climber
9.GOOD BYE(竹縄ソロ弾き語り)
10.孤独の発明 Acoustic ver.(各公演日替わり曲)
11.名脇役
12.ヌレギヌ
13.ギブアンドテイク
14.Reversi
15.MONSTER WORLD
16.Dream End

En1.レジスタンス
En2.幽霊に会えたら

■ライブ情報
HOWL BE QUIET
『REQUEST LIVE SHOW』
11月29日(金)恵比寿LIQUIDROOM
OPEN18:00/START19:00

■リリース情報
2nd.Album『Andante』
配信はこちら
価格¥2,484(税込)

<収録内容>
1.覆水盆に返らず
2.fantasia
3.ヌレギヌ
4.Reversi
5.バーバラ
6.名脇役
7.幽霊に会えたら
8.Dream End


HOWL BE QUIET「幽霊に会えたら」MV
HOWL BE QUIET「fantasia」MV
HOWL BE QUIET オフィシャルHP

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