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TWICE、なぜ2度目の『紅白歌合戦』出場へ? 日本進出を成功に導いたパク・ジニョンの選択

リアルサウンド

18/11/20(火) 8:00

 韓国発のガールズグループ・TWICEの勢いが止まらない。メンバーは公開オーディション番組で選ばれたという経緯もあり、すでにデビュー前から注目を集めていた存在であったが、プロとして活動を始めてからの活躍ぶりには目を見張るものがある。

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 1stミニアルバム『THE STORY BEGINS』のリードトラック「Like OOH-AHH(優雅に)」で見せた“キュート”で“健康的”、そして“庶民的”という3つの要素が大いに受け、いきなりスターダムへ。キャッチーなメロディやダンスもプラスに作用して、リリースする楽曲のほとんどが各種チャートのトップに輝くほどの国民的人気スターに成長した。

 短期間でビッグネームとなった彼女たちは、新たな活動の場を求めて日本へ進出。韓国のヒット曲の日本語バージョンや日本オリジナル曲も好評で、メジャー雑誌の表紙を飾り、最近では『NHK紅白歌合戦』に2回目の出場を決めるなど、追い風はまだまだ続きそうである。

 「時代のニーズに合っている」「多国籍チームならではの魅力」など、TWICEがこれほどまでに受け入れられた理由はいろいろとあるだろう。中でもいちばん大きな要因は、彼女たちの所属事務所・JYPエンターテインメントの代表を務めるパク・ジニョンが今までとは違う育て方をしたことではないか。そんな思いが最近の活躍を見るとさらに強くなるのだ。では彼の育て方とは一体どういうものなのか。それは“完璧に作り込まない”ということだ。基本的なイメージ作りはするが、ある程度の“伸びしろ”を残しておく。

 K-POPに詳しい人であれば、パク・ジニョンがプロデューサーであると同時に有能なR&B系のシンガーソングライターであることもご存じだろう。彼は自身のソウルミュージックが国境を超えて愛されることを夢見ながら、数々のアーティストを自分の分身として手掛けてきた。その大半が韓国国内でブレイクしたものの、世界規模となると、残念ながら期待したほどの成功を手に入れた者はいない。

 ジレンマを抱えていたであろう彼に大きなヒントを与えたのが、2010年に日本で巻き起こった第1次K-POPブームだ。動画配信サイトで注目を集めたアーティストが韓国でのイメージとあまり変わらないまま日本で活動を始める。もちろん日本向けの曲もリリースするが、基本的なイメージが大きくズレない限り、サウンドカラーはある程度おまかせーー。KARAを筆頭にそんなやり方で韓国のアイドルが成功を収めていくのを横目で見ながら、パク・ジニョンは自分の美学をそのままキープしながら第三者が手を加えられる絶妙なサイズの“伸びしろ”を発見したのだろう。

 果たしてこのような見方が合っているのかどうか、TWICEがリリースしてきた曲をチェックしてみたいと思う。パク・ジニョンが昔から好んで使っているのがループミュージックだ。決まったパターンのリフやメロディ(もしくはコード進行)を繰り返す曲をそう言うが、前述の「Like OOH-AHH(優雅に)」をはじめ、「TT」や「KNOCK KNOCK」「Dance The Night Away」など、韓国ではそんな好みを前面に出した曲が多い。実際に彼が作った曲は少ないが、彼の影響下にある作曲家たちが手掛ける曲はいずれもリフやメロディを繰り返すことがヒットの法則、と言わんばかりの仕上がりである。

 対する日本も同じ手法を取り入れているケースが多いものの、日本のファンの大半を占める10代の女性向けに分かりやすさ、親しみやすさを特に意識して制作しているようだ。それゆえにアーティスティックな香りは薄めに、韓国以上に明るく元気なイメージを強調する曲調が目立ち、サビは韓国の一連のヒット曲よりもソフト&メロウに響いてくる。「Candy Pop」や「Wake Me Up」などはその代表的な例だ。

 このように自身の音楽的嗜好はJYPのカラーとして維持しながら、第三者が手を加えることができる“伸びしろ”を残しておくことが海外での成功につながるのだと、パク・ジニョンはある時期に確信したのではないかと思う。近年のJYPエンターテインメントは、彼が直接手掛けた曲が減っており、その代わりに契約したミュージシャンに任せた曲が急激に増えている。自分の美学が残っていれば誰が作ってもOK。あえて100%プロデュースしない。そんな割り切った考えがTWICEの成功につながったと言えよう。

 パク・ジニョンは現在、ボーイズグループでも同様の育て方を試みている。2018年に韓国でデビューしたばかりの9人組・Stray Kidsがそうだ。彼らは公開オーディション番組で選ばれており、未完成ながらも今後の成長が期待できる、という点においてもTWICEと同様である。日本へ進出するのも時間の問題だろう。JYPエンターテインメントの狙いが再び当たるのかどうか、気になるところだ。(まつもとたくお)

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