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MISIAは光り輝くもう一人の“LADY FUNKY”だ 20周年イヤー誕生日ライヴを振り返る

リアルサウンド

18/7/29(日) 10:00

 来年2月まで半年以上に渡って開催されるMISIAの全国ツアー『20th Anniversary MISIA星空のライヴ X Life is going on and on』が、6月17日の台湾・台北国際会議センターを皮切りにスタートした。『MISIA星空のライヴ』は、2001年から開催している、MISIAのライフワークといったライヴシリーズ。生演奏にこだわったサウンドとMISIAの美しく力強い歌声で、これまで多くの観客を魅了してきた。7月7日に東京・国際フォーラム ホールAで行われた公演は、MISIAのバースデーでもあり、これまでと少し違う特別なものになった。

ステージで輝いたもう一人の「LADY FUNKY」

 ライヴの冒頭で「2度目の成人式を迎えました」と、ユーモアたっぷりに20周年を表したMISIA。セットリストは、1998年の1stアルバム『Mother Father Brother Sister』に収録の「星の降る丘」をはじめ、2004年の6thアルバム『SINGER FOR SINGER』に収録の「君だけがいない世界」や、MISIAの代名詞でもあるヒット曲「Everything」など。20周年にふさわしい、新旧織り交ぜた幅広い選曲で楽しませてくれた。また、現在アルバムを制作中とのことで、そのアルバムに収録予定の新曲がいくつか披露されたことも、ファンにとってうれしいプレゼントになった。

 この日披露された新曲の1つ「LADY FUNKY」は、ノリのいいファンクビートが効いたソウルナンバー。少しセクシーさも漂わせる、大人のオンナといった雰囲気だ。〈あこがれのレディー〉というキャッチーなサビメロを、シャウトするように歌いワイルドさも覗かせる。観客は、MISIAの歌声に合わせてクラップしながら、ゆっくりと体を揺らしていた。実は、この曲にはモデルとなった女性がいるとのことで、MISIAは彼女について話す。

 「丸ノ内にある(アンティカ・オステリア・)デル・ポンテというイタリアンレストランのオーナーが女性で、すごくファンキーな方なんです。女性にも男性にも意見をしっかり言えて、ウィットに富んでいて。仕事も遊びも、恋も楽しんでいるような女性。その彼女をモチーフにしました」と、MISIA。女性にとっての憧れの女性が“LADY FUNKY”であるならば、この日集まった女性ファンは、ステージの上でライトを浴びて光り輝くもう一人の“LADY FUNKY”の姿を見つけたことだろう。

 また、米倉利紀が楽曲提供した「恋人失格」では、NHKラジオ番組『MISIA 星空のラジオ』に米倉がゲスト出演し、曲を書いてほしいとお願いしたところ、1週間くらいで送られてきたというエピソードを披露。その米倉から新たに楽曲提供してもらったという新曲「LOVED」は、「すてきなバラードなので、ぜひお届けしたい」と一言コメントしていた。ピアノとストリングスを中心にしたサウンドのしっとりとしたナンバーで、美しいサビメロは切なくもどこか清々しさがあると感じる。自然にすっと体に入り込んで、胸の奥からじわっと温かくしてくれるような楽曲だ。歌詞からは、経験、思い出、大切なもの、それらが辛いものであっても、そのすべてによって今の自分がある。ひとつの別れを受け入れ、乗り越え、しっかり前を向く力強い女性像が感じられた。

20年変わらない出会いのメッセージ

 そしてもうひとつの新曲「SERENDIPITY」は、ジャズ×ソウルのミディアムナンバーといった雰囲気のサウンドが、実に秀逸な楽曲だ。この曲について「セレンディピティという言葉を知っていますか? 偶然訪れる幸せな出会いのことです。ミュージシャン、プロデューサー、そしてファンのみなさん。私は出会いに恵まれてきました。私はこの言葉を知って、いつか歌にしてお届けしたいと思っていました」と話したMISIA。この楽曲の間奏では、さまざまな楽器が入れ替わりながらソロを奏でていて、その様子はまるでMISIAが20年の間に経験した、さまざまな出会いを表しているようにも感じた。

 MISIAはデビュー曲「つつみ込むように…」でも、出会いについて歌っていた。一つひとつの出会いが奇蹟のようであり、だから出会うことを怖れないで、と。それから20年、多くの出会いを経験し、成長してきたMISIA。ふとしたときに訪れる小さな幸せは、偶然が生み出す奇跡でもある。「つつみ込むように…」から20年変わらない出会いのメッセージが、「SERENDIPITY」には込められていると感じた。

 そして、8月22日にリリースするニューシングルの表題曲「アイノカタチfeat.HIDE(GReeeeN)」もいち早く披露された。綾瀬はるか主演ドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系)の主題歌として話題の楽曲で、MISIAが綾瀬の出演するドラマの楽曲を手がけるのは、ドラマ『JIN-仁-』(TBS系)の主題歌「逢いたくていま」以来、9年ぶりのこと。この楽曲の制作に際して「脚本を読んで、とても心が揺さぶられました。こんな素晴らしいドラマが今の時代に必要だと思います」(引用:MISIA、GReeeeNとのコラボ楽曲で綾瀬はるか主演ドラマ『義母と娘のブルース』主題歌担当)と、ドラマに共感して制作したことを明かしている。ライヴでは「私自身もアフリカで、血のつながりがなくても愛し合っている家族とたくさん出会いました。愛の形はたくさんあります。ぶつかることも、溶け合うことも、すべて愛の形です。すべての愛の形を応援できるように、心を込めて歌います」と語ったMISIA。温かく包み込むような、母性を感じさせる歌声。楽曲に一貫して流れる、やさしさ、温もり、いとおしさ。歌い出しの〈あのね〉という言葉からは、まるで本当の家族に伝えるような身近さを感じ、ギュッと胸が締め付けられるような思いになった。

 迎えた20周年イヤー、年に一度の七夕、そしてMISIAの誕生日。いくつものうれしい偶然が、ひとつに重なった奇蹟の夜。会場には様々な年代のカップルや親子連れ、友だち同士と、大切な相手を連れだった約5000人が集まった。この特別な夜を、MISIAの歌声と共に過ごし、共に祝い合う。MISIAにとってファンにとって、こんな喜びはほかにあっただろうか。最後に「みんなの分の願いも込めて」と、ミニMISIAが運んできたバースデーケーキをペロリと一口したMISIA。これまでMISIAの歌が、どれほど多くの人を癒やし、願いを叶えてきたか。ファンにとって、「MISIA」は願いの言葉だ。彼女の名前を呼ぶファンの声には、20年分の愛と感謝が溢れていた。

(取材・文=榑林史章/写真=AKI)

■セットリスト
『20th Anniversary MISIA 星空のライヴX Life is going on and on』
7月7日(土)東京・東京国際フォーラム ホールA

M1.星の降る丘
M2.来るぞスリリング
M3.太陽がいるから
M4.君だけがいない場所
M5.恋人失格(新曲)
M6.LADY FUNKY(新曲)
M7.LOVED(新曲)
M8.SERENDIPITY(新曲)
M9.眠れぬ夜は君のせい
M10.Everything
M11.果てなく続くストーリー
M12.Never gonna cry!
M13.One!
M14.MAWARE MAWARE
M15.あなたにスマイル:)
EN1.SUPER RAINBOW~HOPE & DREAMS
EM2.アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)(新曲)

■関連リンク
MISIA オフィシャルサイト

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