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高取英メモリアル公演が開幕、流山児祥「月蝕+流山児でしか出来ない音楽劇」

ナタリー

20/8/21(金) 12:00

流山児★事務所 高取英メモリアル「寺山修司-過激なる疾走-」より。

流山児★事務所による高取英のメモリアル公演「寺山修司-過激なる疾走-」が、昨日8月20日に東京のザ・スズナリで開幕した。

寺山修司-過激なる疾走-」は、2018年に死去した月蝕歌劇団の劇作家・演出家の高取が2006年に発表した寺山修司の評論。2007年に初演された本作では、寺山の伝記的ドラマが、彼のライバルである三島由紀夫の死への道筋と照らし合わせながら描き出される。

演出を手がける流山児祥は開幕に際して本作を「寺山修司に捧げる鎮魂歌」と評し、「月蝕+流山児でしか出来ない音楽劇に仕立て、テラヤマの永遠のライバルである『ミシマの自死への道程』を私なりに加えさせてもらった。想いもよらないコロナ禍、アッチへ逝った二人には、この世界がどう見えているのかな、きっと二人とも嗤っているにちがいない」とコメントした。

出演者には流山児★事務所のメンバーのほか、月蝕歌劇団の白永歩美、岬花音菜、石津ゆり、虚飾集団廻天百眼の紅日毬子、劇団三日月湊の霍本晋規が名を連ね、また特別出演として伊藤裕作がキャスティングされた。劇場公演のチケットは完売しているが、8月27日19:00から31日まで観劇三昧LIVEにて映像配信が実施される。

流山児祥コメント

寺山さんと初めて会ったのは、一九七〇年十二月、二十三歳だった。突然、電話があった「寺山修司です」という声に驚いた。「ぜひ、話したい」とのこと、渋谷の喫茶店で会い、芝居の話をした、「君は演劇で革命が起こせると思っているの?」と問われたので、私は傲然と「革命の演劇は可能だ」と答えた、イマ思えば赤面の至りだが、当時は、本気でそう考えていたのである。「結婚してるの?」と聞かれたので、「結婚したばかりです」と、答えた。「僕は、離婚したばかりだよ」と、笑顔で言われ、その後、コトバに窮した。女物の毛皮コートを羽織り、背の高い(例のポックリを履いていたのかもしれない)、大きい鼻の「知の巨人」というのが初対面の印象であった。

七〇年代後半、高取英は、寺山さんの三田の人力飛行機舎に居候していて、編集スタッフ&三流劇画ブームを起こしている私より四歳年下の気鋭の編集長であった。一九八〇年「奴婢訓」ニューヨーク公演中、高取と共に寺山さんとゆっくりそれこそ、笑顔で、「オモシロい芝居」の話をした。これが、その後の、「わたしたちの創る演劇」の貴重な指針となった。高取は「月蝕歌劇団」を書き上げ帰国、劇作家東京デビューを飾った。演劇団 座付作家として高取は一九八〇年代を同走した。

一九八三年、寺山さんは「新・邪宗門」を演劇団に書き下し、本多劇場で上演予定であったが、肝硬変悪化の為、岸田理生・高取・流山児:改稿、寺山修司:補筆となった。人力飛行機舎や渋谷の松風荘に高取と共に原稿を貰いにゆくと、寺山さんは、競馬中継をみて笑顔で予想し、横になり、原稿を書きあげ、五月四日に逝ってしまった。

「寺山修司-過激なる疾走-」は、寺山修司に捧げる鎮魂歌である。高取は、大胆にもテラヤマの生涯と劇の中の「母子の物語」をコラージュして「父=国家不在」のモノガタリを創り上げた。シーザーの数々の名曲をちりばめ、高取ワールドと呼ばれる「何でもアリ」のアナーキーな暗黒宝塚。月蝕+流山児でしか出来ない音楽劇に仕立て、テラヤマの永遠のライバルである「ミシマの自死への道程」を私なりに加えさせてもらった。想いもよらないコロナ禍、アッチへ逝った二人には、この世界がどう見えているのかな、きっと二人とも嗤っているにちがいない。

流山児★事務所 高取英メモリアル「寺山修司-過激なる疾走-」

2020年8月20日(木)~24日(月)
東京都 ザ・スズナリ

作:高取英
音楽:J・A・シーザー
演出:流山児祥
出演:伊藤弘子、里美和彦、木暮拓矢、鈴木麻理、山下直哉、山丸莉菜、竹本優希、橋口佳奈、松永将典、本間隆斗 / 白永歩美、岬花音菜、石津ゆり / 紅日毬子、霍本晋規 / 伊藤裕作

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