海外映画取材といえばこの人! 渡辺麻紀が見た聞いた! ハリウッド アノ人のホントの顔
アンジェリーナ・ジョリー
連載
第66回
── 今回はアンジェリーナ・ジョリーをお願いします。彼女が出演したMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の最新作『エターナルズ』が公開中です。
渡辺 キャスティングが発表されたときは「アンジェリーナ・ジョリーがついにMCUに!」という感じだったんですが、途中からどうも中心になるのはジェンマ・チェンという『クレイジー・リッチ!』(18)や『キャプテン・マーベル』(19)に出演していたアジア系の女優さんの方だということになり、実際そうでした。
── それは監督が、やはり中国系のクロエ・ジャオだからなんですか?
渡辺 どうなんでしょうね。クロエ・ジャオはご存じのとおり、『ノマドランド』(20)でアカデミー監督賞を獲得した大注目のクリエイター。受賞する前から彼女を起用していたので、さすがマーベルは監督選びが素晴らしいと思った人が多かったと思います。
── そうですね。意外な監督をもってきて、だいたい成功させていますからね。
渡辺 向こうのインタビューなどでは、クロエさんは原作コミックのファンだったと発言していますが、私はそうは思えなかった。なぜかというと、こういうヒーローものにはマストの、彼らのかっこいい瞬間というのがなかったからです。そういう一瞬があるとキャラクターが際立つと思うんですが、それがなかった。好きだったら、そういうシーンを作ると思うので。
でも、個人的にコーフンするシーンもありました。『ゲーム・オブ・スローンズ(GOT)』(11~19)のスターク家の義兄弟、ロブ役のリチャード・マッデンと、ジョン・スノウ役のキット・ハリントンが顔を合わせ挨拶するシーン。うわー、これはヤバいって感じで(笑)。こういうシーンを観たくて、本作を観たと言っても過言ではないですから。そういう意味では、『GOT』ファンは必見です!
── な、なるほど。で、どんな物語なんですか? アンジーが演じているキャラクターは?
渡辺 実は地球には7000年前から人類を見守って来た者たち“エターナルズ”がいたというのが設定です。それぞれが違う能力を持っていて、アンジーの演じる“セナ”というキャラクターは、その場に応じた武器を出現させることができる、戦闘大好きな女性戦士です。そういう意味ではアンジーにはぴったりですよね。
本作でのアンジーはブロンドに染め、甲冑に身を固めて登場する。きっと原作がブロンドだったんでしょうが、ブロンド、似合わないなーって(笑)。寡黙なキャラなのか、セリフもとても少なく、なんと相手役が怪力を誇るエターナルズのひとり、ギルガメッシュを演じているマ・ドンソクなんですよ。この組み合わせはいいですよね。
── アンジーに初めて会ったのはどの作品だったんですか?
渡辺 彼女が大ブレイクした『トゥームレイダー』(01)です。撮影中のロンドンのパインウッドスタジオでインタビューしたんですが、このときから凄かったんですよ、アンジー。
その頃の彼女は『17歳のカルテ』(99)でアカデミー助演女優賞を獲得して注目を浴びると同時に、奇行でも知られていたんです。『狂っちゃいないぜ』(99)で共演したビリー・ボブ・ソーントンと再婚していて、お互いの血液を持ち歩いているなんてことが話題になっていた。理由はもちろん、片時も離れたくないから。
で、ついついこんなことを聞いちゃったんです。「ロンドンの撮影だと、旦那さんに会えなくて寂しくないですか?」みたいな感じで。
その答えが凄かった。「ううん、今は平気。だって昨晩、彼とセックスしたから」って。
それを表情ひとつ変えずに言うんですよ。こっちのほうが困っちゃって(笑)。そこで「いつもそんなに正直なんですか?」と尋ねると、「何に対しても正直でいることに誇りを持っている」と言っていました。
── それはかっこいいですね。
渡辺 そうなんです。このときからしっかり男前だったんです。
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