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『呪怨:呪いの家』聖美役・里々佳の鮮烈な存在感 『全裸監督』森田望結に続く注目の存在に!?

リアルサウンド

20/7/13(月) 8:00

 かねてより話題となっていたNetflixオリジナルシリーズ『呪怨:呪いの家』が、ついに配信開始。荒川良々と黒島結菜が物語をリードしていく作品だが、脇を固める俳優陣の支えがあることもたしかだ。そのなかでも、新星・里々佳の存在に注目が集まっている。

【写真】聖美に恐怖が迫る直前の一枚

 各所で恐怖の声が上がっているのを確認することができる本作。Twitterをはじめ、SNSのタイムラインは「呪怨」の文字で溢れているように思う。正直なところ、心霊モノをはじめとするホラー系作品が苦手な筆者にとって、この作品は非常に怖い。職業柄、配信よりかなり早い段階で視聴していたのだが、記憶から抹消してしまっていたくらいである……。そんななかでも里々佳の印象は、鮮烈に残っていた。

 本作の舞台となるのは、とある一軒の家。これがタイトルにある通り、「呪いの家」なのである。ここでは時空が歪み、過去と現在とが交錯する。里々佳が演じているのは、聖美という一人の女性だ。里々佳はこの聖美の高校生時代から、一児の母となり荒んだ生活に身をやつしていくさままでを体現している。荒川演じる心霊研究家・小田島と、黒島演じる若いタレントが「呪いの家」の謎を解明していくのが本作のメインストーリーだが、これと並行して“聖美の物語”が描かれる。くだんの家を訪れた者たちが災厄に見舞われるというのが本作の恐怖のポイントであるが、聖美は高校生時代にこの家に足を踏み入れ、そこでその後の人生を決定的に変えてしまう悲惨な目に遭うことになるのだ。

 とあるトラブルによって転校を余儀なくされた聖美は、新しい制服に袖を通すことも間に合わないまま初日を迎えることに。しかし、同一のセーラー服に身を包んだ新たな同級生たちのなか、“80年代ショートカット”にブレザースタイルの彼女は垢抜けて見え、その存在は際立っている。これは衣装の違いなどだけではないのだろう。どこかツンとしたクールな態度を聖美は装っているが、それ以上に、演じる里々佳自身が放つミステリアスな雰囲気がこの場面とマッチしているのだ。

 そんな聖美だが、この後すぐに、思わず目を背けたくなる事態に巻き込まれる。ここから彼女の人生が大きく歪み、彼女自身もがある種の恐怖の対象となっていくのだ。

 物語が80年代から90年代なかばへと時を移すと、聖美もまた90年代スタイルに。苦しい生活のなか一児の母となった彼女の姿は、どうにも痛ましい。女子高生役時代の感情を抑えた演技とは一変して、里々佳の発語の一つひとつには、激しい“怒り”や“悲しみ”といった、負の感情が感じられる。さらに、ソーシャルワーカーの有安を演じる倉科カナのリアクションも大きな助けとなって、聖美の変貌ぶりはより強調されているのだ。里々佳は一つの作品内で、十二分に演じ手としての自身の振り幅の大きさを証明してみせている。

 モデルとしては広く活躍していたようだが、いち俳優としては知る人ぞ知る存在でしかなかった里々佳。このNetflixオリジナルシリーズでの大抜擢と健闘によって、その存在は世界中の人々に知られることとなった。思い返せば、『全裸監督』(2019年)の森田望結、『愛なき森で叫べ』(2019年)の鎌滝えりなども、“Netflixオリジナル作品”で一躍名を知られるようになったと思う。むろん、それ以前に彼女たちにはそれぞれの活躍の場があったはずだが、これらの作品をきっかけにして飛躍したのは間違いないだろう。

 森田は主演を務めたドラマ『あの子が生まれる・・・』(FOD)が間もなく配信開始となるし、鎌滝は主演映画『子どもたちをよろしく』が現在も全国で公開中だ。今回の『呪怨』も含め、いずれも実話を交えて描かれた作品で、それぞれに物議を醸しているのは事実である。しかし、これら“Netflixオリジナル作品”での彼女らのように、“ホンモノの才能”が発見されているのもまた、たしかな事実だろう。これからも多くの“新星”がここから登場するのではないかと思う。

(折田侑駿)

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