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白鸚・仁左衛門が熟練の芸で魅せる盛綱陣屋に白浪五人男、「三月大歌舞伎」開幕

ナタリー

19/3/6(水) 14:22

「盛綱陣屋」より。左から片岡仁左衛門演じる佐々木盛綱、中村勘太郎演じる小四郎、片岡孝太郎演じる早瀬、片岡秀太郎演じる微妙。

「三月大歌舞伎」が3月3日に東京・歌舞伎座で開幕した。ステージナタリーでは、昨日3月5日に行われた夜の部をレポートする。

今年2019年は、「盛綱陣屋」「雷船頭」「弁天娘女男白浪」の3演目が披露される「三月大歌舞伎」夜の部。片岡仁左衛門が「盛綱陣屋」で当たり役のひとつである佐々木盛綱を演じるほか、中村勘九郎の長男・中村勘太郎や尾上菊五郎の孫・寺嶋眞秀も登場。松本白鸚は「弁天娘女男白浪」で盗賊の首領・日本駄右衛門役を勤め、松本幸四郎と市川猿之助は、「雷船頭」と「弁天娘女男白浪」にて奇数日と偶数日で配役を入れ替える。

夜の部の幕開けを飾る「盛綱陣屋」は、敵味方に分かれた兄弟と、親子の情愛を描いた時代物だ。兄・高綱の子である小四郎(勘太郎)を生け捕りにした盛綱(仁左衛門)は、兄を思う気持ちから、小四郎に切腹をすすめるよう母・微妙(片岡秀太郎)へ頼んでいた。そこへ、高綱のものと思われる首が届けられ、盛綱はその真偽を確かめる“首実検”を北條時政(中村歌六)から命じられるが……。

仁左衛門が肚芸で盛綱の心情を見せるのが、本作の眼目の1つ。長袴に着替えた仁左衛門扮する盛綱が、静寂の中で首の返り血を拭い、苦笑を浮かべ、何かを悟るまでの一連の動作を、観客は息を呑んで見守る。また勘太郎は、父のために命を投げ捨てるという大役を勤め上げ、盛綱の子・小三郎を演じた眞秀は、鎧姿で勇ましく登場し花道で見得を切る。そんな2人の健闘に、観客からは温かい拍手が送られた。

2演目目の「雷船頭」は、女船頭(猿之助)と雷(市川弘太郎)による、江戸情緒と夏の風情にあふれたユーモラスな舞踊。女船頭のコミカルでいて艶っぽい身のこなしと、赤い肉襦袢に虎柄パンツという出で立ちの雷が見せる激しい動きで、2人は観客を楽しませる。なお偶数日には、幸四郎が船頭役で、中村鷹之資が雷役で登場するので期待しよう。

そして夜の部の最後の演目は、幸四郎と猿之助が日替わりで弁天小僧を演じる「弁天娘女男白浪」だ。この日弁天小僧を勤めた幸四郎は、「知らざあ言って聞かせやしょう」と、はだけた赤襦袢の下に入れ墨を覗かせ、客席を沸かせる。日本駄右衛門役の白鸚は、無言の佇まいにも貫禄のある存在感を放ち、“白浪物”の世界観をぐっと深めていった。また「盛綱陣屋」で伊吹藤太役を演じた、市川猿弥が勤める南郷力丸の好演にも注目したい。

「三月大歌舞伎」は3月27日まで。昼の部には「女鳴神」「傀儡師」「傾城反魂香」が上演され、「女鳴神」では片岡孝太郎が鳴神尼を初役で演じるほか、中村鴈治郎が雲野絶間之助と佐久間玄蕃盛政の2役に挑む。

「三月大歌舞伎」

2018年3月3日(日)~27日(水)
東京都 歌舞伎座

昼の部

「女鳴神」「傀儡師」「傾城反魂香」

夜の部

「盛綱陣屋」「雷船頭」「弁天娘女男白浪」

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