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fhána 佐藤純一が語る、5年間の“STORIES”  「僕は実存をめぐる戦いの感覚を引きずっている」

リアルサウンド

18/12/15(土) 14:00

 fhánaが、12月12日に5th Anniversary BEST ALBUM「STORIES」を発売した。デビューから生み出されてきた名曲はもちろん、書き下ろしの新曲である「STORIES」も収録された本作は、まさにfhánaの「STORY」が凝縮された内容となっている。今回、フロントマン・佐藤純一にfhánaが歩んできた軌跡とこの先の展望について聞いた。(編集部)

(関連:fhánaの描く世界地図は、まだまだ広がり続ける 『World Atlas Tour』最終公演を観て【写真】

■過去現在未来と聴いてくれる人みんなの「物語たち」

ーーロックフェスや海外のイベントなどに出演して、興味を持ってくれる人が増えていくなかでのベストアルバム発売というのは、すごくタイミングがいいですね。

佐藤純一(以下、佐藤):偶然が必然になったというか、確かにタイミングがいいですね。

ーー5年という月日は、「大きく変わった」という人もいれば「何も変わっていない」という人もいます。佐藤さんはこの5年間を振り返ってどちらだと思いますか?

佐藤:4人並んだアーティスト写真やSNSに上げる写真、リハで鏡ごしに4人映ったときに「アーティストっぽくなったな」とは思いますね(笑)。昔は学生みたいなふわふわした感じがあって……今も良い意味でそういう部分は残っているんですけど。

ーーfhánaを取り巻く環境についてはどうですか?

佐藤:僕らが変わったつもりはなくて、自分たちより後にデビューしたアーティストがたくさん出てきたり、周りからの扱われ方や、ベスト盤を出しましょうという話が持ち上がることを含め、もう新人じゃないんだなと、ふと気付くというか(笑)。ただ、towanaが喉の手術をしたりと、バンドとしては色んなことがあった、濃密な5年であることは間違いないです。ベスト盤についてもレーベルから「ベスト盤を出します」という話があって、「はい、わかりました」という感じだったんですが、書き下ろしの新曲である「STORIES」に関しては、3rdアルバムの『World Atlas』を作っているときから「来年は5周年だし、タイアップどうこうは関係なく、5周年記念ソングを作ろう」と思っていました。そこにベストアルバムの話が来たので、このタイミングならバッチリだと。なので、ベスト盤でもあり、『STORIES』というシングルの超豪華特典盤、という捉え方もできます(笑)。

ーーベストありきでこの曲が作られたのかと思っていました。fhánaの軌跡を辿りつつ、その先を歌った曲ですから。

佐藤:過去を振り返りたかったわけではないので、未来を向いた作品にするためにはどうしたら良いのかをずっと考えていて。towanaも前からライブ映像ではなくて、外でも聴いてもらえるライブ音源を出したいと言っていたし、僕は僕で『fhána World Atlas Tour 2018』のファイナルは手応えがあったので、これをフルでパッケージングしたいと思っていたこともあり、最終的に「それ、全部入れれるんじゃない!?」と。ただのベストじゃなくて、そうやって一つの作品としての形ができたときに、「これは『STORY』だ!」とタイトルが浮かんだんです。

ーーその段階では「STORY」だったんですね。そこから複数形の「STORIES」になった経緯は?

佐藤:fhánaは物語性を重視した楽曲作りをしてきましたし、バンドの活動もアニメも“物語”だし、聴いてくれる人たちにもそれぞれの“物語”がありますよね。内容としても、ライブ映像では現在の“物語”を見てもらえて、新曲では未来の“物語”を想像してもらえて、来年のライブ(『fhána 5th Anniversary SPECIAL LIVE』)も“物語”が交差する場所だし、バンドの過去現在未来と聴いてくれる人みんなの「物語たち」が集まったアルバムでもあるわけで。ジャケット写真の3日前に「これは『STORIES』だ!」と確信して、towanaに「ベスト盤も新曲のタイトルも『STORIES』にすることにした。fhánaのこれまでの物語とこれからの物語を紡いだ、物語は続いていくという歌詞を書いてください」と伝えた結果、この歌詞が上がってきたんです。

ーー〈続いていくストーリー〉〈僕らのストーリー〉というフレーズは、まさに“これまでとこれから”を表現していますね。

佐藤:はい。この曲が上がってきたことで、一つの作品として意味を持つものになったなと思いました。

ーーモノとしてのベストアルバムに、コンテクストがついた瞬間だったわけですね。そして新曲「STORIES」がその軸にあると。

佐藤:曲ができたのは最近で、思いついたときは影も形もなかったんですが、この曲の歌詞はtowanaに書いてもらおうとは決めていました。そのための布石として「ユーレカ」があったというか。

ーー3rdアルバムのトピックでもあった「towanaさんの初作詞」は、「STORIES」への伏線でもあったんですね。「STORIES」はダンスミュージックとしての機能も持ちつつ、UKのシンセポップ~USのトロピカルハウス~ポップスっぽさも感じて、良い意味で国籍のない楽曲だと思いました。

佐藤:最初にあったのは“5周年だから”と大げさな曲にはしたくないということで。大団円みたいにしないで、サラッと次を見据えた曲にしたくて、シンプルな曲であることは意識しました。通常盤はシングル表題曲集+新曲、初回限定盤はライブベスト音源とライブ映像を付ける、という形になってから曲を作り始めましたね。シングルの表題曲はアニメタイアップで情報密度の高い曲が集まっていて、そこと良い対比になるのかなとも思ったんです。サウンド的には2018年の終わりに出す曲なので、まさにいま挙げていただいたような、最近好きなサウンドの質感は取り入れたいということで、USっぽさとUKっぽさは意識しました。The 1975みたいな雰囲気とか、The Chainsmokersみたいに内省的なEDMだけどアンビエントな音像みたいな。

ーーまさに「THE SOUND」や「Closer」のような要素を感じます。ただ、その2組の要素を組み合わせると、内省的な音楽になると思うんですよ。サビのコーラス含め、もう少し陽の要素を感じるんですが、その明るさについてのリファレンスはありますか?

佐藤:ああ、確かにコーラス部分は明るさがありますよね。そのあたりはOne Directionみたいな弾けた感じを意識してみたんですけど。

ーーたしかに、コーラスの感じは近いですね。fhánaというベースの上で、The 1975とThe ChainsmokersとOne Directionをブレンドしたというのは面白いです。ライブでやっている画もすぐに思い浮かびましたし。

佐藤:まさに、ライブの新たな定番曲になればいい、と思って作っていました。

■”THE fhána”みたいな世界観を出せた曲

ーー改めて振り返って、転換点だと思う曲は?

佐藤:「divine intervention」と「星屑のインターリュード」と「青空のラプソディ」ですね。1stシングルの「ケセラセラ」と2ndシングルの「tiny lamp」は、もともと僕がFLEET(佐藤が以前所属していたバンド)の頃から持ってた音楽性の引き出しの中から作った曲なんです。でも、「divine intervention」は、僕にも他のメンバーにも、こういう曲調の引き出しは無かった。バトルものの世界観に合わせて、fhánaが初めて作った“THE アニソン”といえる曲だと思うんですよ。もちろん、ただのアニソンで収まらないくらいの音楽的な要素は入れたつもりなんですけど。

ーーただ疾走感のあるロックではなく、ビートをドラムンベースっぽく作ったり。

佐藤:ABメロのコード進行であるとか、展開であるとか。とはいえ当時は“アニソンっぽい曲”を作れるのかという不安もありましたし、“アニメタイアップ”という他者からの要請がなければそういう曲は作れなかったわけで。自分の引き出しにないものから作ったら、ライブでも人気で、みんなから愛される曲になった、という成功体験をした最初の楽曲なんです。

ーーなるほど。では「星屑のインターリュード」については?

佐藤:「星屑のインターリュード」は、「fhánaといえばこの曲」みたいに言われることも多いですし、確かにこの曲と「Outside of Melancholy ~憂鬱の向こう側~」は“fhánaっぽい曲”だとは思うんですよ。キャッチーでポップな曲だけど、プログレッシヴな構成で間奏も長くてトータルが6分以上あって、普通のポップスには収まっていない。音もヒンヤリしたデジタルな質感もありつつ、エモーショナルで切なく泣けるメロディだし、リズムにはブラックミュージックの要素が入っていて……と独特のバランスで出来上がっている曲で。みんな「この曲は新しい」と言ってくれていて、ライブでも盛り上がる、そういう”THE fhána”みたいな世界観、音の雰囲気を出せたのはこの曲なのかなと。

ーーブラックミュージック感というと、もう一つターニングポイントに挙げた「青空のラプソディ」もそうですよね。

佐藤:このブラックミュージック感はどこからきているかというと、やはり中高生の頃から好きだった小沢健二さんや、彼のルーツになっているフィリーソウルなどがベースになっているんです。FLEETの頃は初期のコーネリアスやフリッパーズ・ギター、スーパーカーのようなギターポップ・ギターロックっぽさや、リズムはエレクトロなものを意識していたんですが、そこにオザケン的なブラックミュージック感が入ったのが「星屑のインターリュード」で。その要素を爆発させたのが「青空のラプソディ」といえます。この曲はアニメ『小林さんちのメイドラゴン』のOPテーマであり、京アニ(京都アニメーション)作品ということで、MVは自分たちが踊るものにしたり(参考:fhánaが初の京アニ作品主題歌で“踊った”理由)。みんなが盛り上がれるハッピーな曲だけど、いつか来る別れや終わりを歌う切なさや儚さがあったりと、色んな要素が重なって、fhánaの中で一番バズった曲になって。世界のリスナーからも受け入れてもらい、この曲をリリースして以降は、海外のイベントに呼ばれることが多くなりました。

ーーオザケンの名前も出ましたが、ライブ映像には「今夜はブギー・バック」のカバーも収録されていて、「許諾が取れたんだ!」と驚きました。

佐藤:「収録したいです!」とスタッフにお願いして、ダメかなと思いながら許諾の連絡を取ってもらったら、まさかのOKをいただけました。

ーーいろんな経緯があったとはいえ、あの曲をライブでやったことは、fhánaの音楽性における一つの意思表示でしたよね。

佐藤:towanaが鷲崎健さんのラジオ(『鷲崎健のヨルナイト×ヨルナイト』文化放送)にマンスリーアシスタントとして出演した時、「丸の内サディスティック」(椎名林檎)や「スパイダー」(スピッツ)、「そばかす」(JUDY AND MARY)と毎週いろんなカバー曲をやったんですけど、そのなかに「今夜はブギー・バック」もあって。towanaがもともと好きだった曲でしたし、ツアーの大阪公演がtowanaの誕生日ということで、特別企画として「そばかす」と「今夜はブギー・バック」のカバーをライブで披露して。反響も良かったので、急遽東京公演でもセットリストに組み込むことにしたんです。

ーーkevinさんのユルいラップも見事にハマっていました。

佐藤:kevinについては、ライブで踊らせたり(「青空のラプソディ」)ラップさせたり(「今夜はブギー・バック」)と、彼の新しい扉を次々と開いちゃっている感じがありますね(笑)。

ーーパフォーマーとしての新境地がどんどん開拓されてます(笑)。ライブについては、以前にUNISON SQUARE GARDENの田淵智也さんと行った対談でも話題に上がりましたが、佐藤さんが目指していたのは「非日常を作り出すこと」で、まさに先日のツアーファイナルはその一つの到達点だったと思いますよ(参考:fhána 佐藤純一×UNISON SQUARE GARDEN 田淵智也が考える、バンドが“作品とライブで表現すべきこと” )。

■扉は開けておくけど、無理強いさせるつもりはない

佐藤:今までのライブも手応えを感じたものはあるんですが、それは偶然やアクシデントによるものだったりして。2ndアルバムのツアーファイナル(『What a Wonderful World Line Tour 2016』)は、直前にtowanaの喉のポリーブが発覚して、当日朝にステロイドを打ってもらって、ギリギリの状態だったからこそ、チームに一体感が出た部分もあって。ただ、今回のファイナルは事前に固めていたプランがうまくハマったうえに、偶然も味方につけることができていたんです。とはいえ、まだ「やっと少しコツを掴めたかも」くらいの感覚ですが。そういえば、“非日常”についてあの対談のあとからずっと考えていて、それが今回のジャケット写真に繋がった部分があるんです。

ーーこのパノラマ写真ですよね。

佐藤:はい。自然の風景が広がりつつ、ミニマルな空気感のある写真なんですけど、このイメージって、僕の中では映画『リリィ・シュシュのすべて』なんですよ。田園風景で少年がCDウォークマンを持って佇んでいて、それを俯瞰で撮っているようなキービジュアルと冒頭のシーンがあるじゃないですか。

ーーああ、言われてみれば! でも、なぜ“非日常”が『リリィ・シュシュのすべて』なんですか?

佐藤:今年、『リバーズ・エッジ』の実写映画が公開されて、小沢健二さんが新曲(「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」)を主題歌として提供しましたよね。僕は岡崎京子さんの原作漫画をよく読んでいたんですけど、自分の中では『リバーズ・エッジ』やオザケン的なものの後継が『リリィ・シュシュのすべて』なんじゃないかと思っていて。あと、『新世紀エヴァンゲリヲン』も僕は好きなんですけど、これらの作品に共通するものって、「少年少女の実存をめぐる戦いや葛藤」だよなって。

ーー確かに。そしてfhánaの世界観もそことリンクしているわけで。

佐藤:そうなんです。2ndアルバムのテーマも「人と人はわかりあうことができない。それでも、この世界線を肯定しよう」というものだったり。あと、僕が来年のアニメで劇伴を担当するんですけど、大沢伸一さんが手がけた『BANANA FISH』みたいに、普通のアニメ劇伴ではなく、ブレイクビーツやリズムの質感を重視したサウンドのものを作りたくて。そういうBGMの映画がないかなと思い出しているうちに、Dust Brothersが音楽を担当した映画『ファイト・クラブ』を思い出して久しぶりに見たんですけど、これも先ほど挙げた作品たちと同じテーマなんですよ。

ーー殴り合うことでアイデンティティを証明するという。

佐藤:そう、“実存をめぐる戦い”なんですよ。1990年代から2000年代初頭のそういうムードって、時代の空気みたいに色々な作品に共通していあって、僕はそれを引きずっているんだなと感じたんです。でもそれって、今から思えば「この日常が延々と続いていくという前提」があるからこそ「自分ってなんだろう?」と呑気に悩んでいられる、平和ボケした考え方だったのかもしれません。2018年はどんどん世界が不安定な状況になっていって、そんなことを言っている場合じゃなくなってると思うんですけど、僕は相変わらず実存をめぐる戦いの感覚を引きずっているというか。

 僕の言っている“日常”と“非日常”というのもその延長線上で、“日常”は色んな「本当のこと」ことが隠されているからこそルーティーンで回っていく世界で、そこに尊さがあるんです。でも、“非日常”というのは、そこに裂け目が入って世界の本質が垣間見えている状態であって、でもそれを認識しているのも自意識なんですよね。いわゆる「本当の世界=自分を知る」みたいな“壮大な自分探しに近い感覚”なんです。自分は2018年にもなって、まだそんな90年代的なものを続けているのか、と思わされました。

ーーでも、そこは分断された価値観ではなくて、今こそ繋げて考えるべきなのでは? それこそ当時は自意識をめぐる戦いの対象が、大人だったり箱庭的なものだったり、同じような人間であったりしたわけですが、今は起こりゆく世界の物事に対して、自分はどういう態度でいるか、ということが実存をめぐる戦いの一つであることは変わらないと思うんです。さっき名前を挙げたThe 1975だって、マシューの出自も含め、自意識を巡る葛藤がありながらも、その対象が最新作ではインターネットという”世界”に向いていたり。

佐藤:なるほど。確かにそうかもしれません。インターネットやSNSというのは、fhánaにとっても重要な要素ですし、そういう意味でもThe 1975とリンクしている部分はあるのかも……。SNSといえば、最近Instagramのストーリーズばかり投稿してるんですよ(笑)。

ーーそれはタイトルの『STORIES』に関連する話ですか。

佐藤:無意識に影響を受けていたのかもしれません(笑)。昔はブログやテキストサイトのように、長い文章がアーカイブとして長く残っていた時代があって、Twitterの登場で短文が流れていくものになって、ついには文章ですらなくなって、Instagramのようにビジュアルのコミュニケーションが主流になりましたよね。それでもアーカイブが残るから考えて投稿しなきゃいけないのは変わらなかったんですけど、ストーリーズは24時間で消えちゃうから気楽に投稿できる。音楽の聴かれ方もアルバム単位から楽曲単位になって、TikTokみたいに短い動画に早回しの音楽を付けるようなものが流行ってと、どんどん単位が早く短くなっているんです。

ーー流行のサイクルも早くなっていますからね。

佐藤:そう。世の中全体が流動的になっているからこそ、2年後がどうなっているかなんてわからないですし、ビジネスなんかも含めて中長期的な予測が立てにくくなり、目の前のことにどう対応していくかが重要になっていると思うんです。個人のコミュニケーションもメールからLINEが中心になったりして、「即レス」の時代ですよね。“今”に反応し続ける時代になっているんだなと、今回の作品を作りながら思いました。

ーーでは、そんな流動的な世の中において、音楽が果たす役割ってなんだと思いますか? これは作った“あと”の話だとは思うんですけど、佐藤さんがどう思っているかは聞いておきたくて。

佐藤:色んなものが解体されて、今までの仕組みでは回らなくなっているから、新しい流れにフィットしなきゃいけないんですけど、どれが正しいかわからないし、落ち着きどころがわからないから色々試している、というのが今なんだと思います。それは僕らも同じなんですが、fhánaはベストアルバムの発売日に、サブスクリプションサービスに楽曲を解禁することにしました。

ーーおお! 先日の写真を見て「Spotifyのオフィスでは……ということはもしや……」と思っていました。

佐藤:しっかり匂わせていましたね(笑)。ランティスとしては先に『ラブライブ!』シリーズの楽曲を解禁していますが、単体のアーティストとしては初めてのことなんです。アーティストに「還元されない」とか「制度が整っていない」とか色んな話もありますが、とはいえこのフィールドに立たないことには、始まらないだろうという判断をしました。

ーーアーティストのキャリアが長いほど、過去の曲やMVが出ていたわけでもない名曲が掘り起こされたり、アーカイブが活きるという側面や、これまで届いてなかった人たちに名前を知られる、というメリットは間違いなくあると思います。fhánaとしても、ストリーミングに曲を公開することで、しっかりと世界のバトルフィールドに立てたわけですね。

佐藤:どういう風に着地するのかはわかりませんが、このタイミングでそこに立てたのは大きいのかなと思います。fhánaはおかげさまで、ある程度アニソンのフィールドでは認知されてもらえるようになって、「青空のラプソディ」では海外にもある程度広がってくれたので、今度はアニメという括りは関係なく“音楽”というフィールドで「アニメはわからないけどfhánaの音楽は好き」という人を増やしていきたいですね。fhánaをきっかけにロックリスナーがアニメに興味を持ってくれたらいいですし、アニソンリスナーがfhánaをきっかけに他の曲を聴いてくれるのも嬉しいですし。ただ、強制は絶対にしたくないので、扉を開けてはおきますが、無理強いさせるつもりはありません。

 以前に対談した際、田淵さんは「ロックとアニソンのリスナーは混ざらなくていい」と言いましたが、僕は「混ざらなきゃいけない」とは思わないけど「混ざってもいい」と考えていて。気になったら一旦覗いてみて、好きになったら掘っていってほしいし、入らずに終わるならそれはそれでよくて、結果的にお互いが排除し合わずに共存できれば、それでいいのかなと思っています。(中村拓海)

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