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結成10周年の三代目 J SOUL BROTHERS、『RAISE THE FLAG』はグループの進化とこれからの10年を占う作品に

リアルサウンド

20/3/20(金) 10:00

 三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE(以下、三代目JSB)が3月18日に最新アルバム『RAISE THE FLAG』をリリース。本作は結成10周年イヤーに突入した彼らにとって、これからの10年を占う意味で大きな意味を持つ作品だ。

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 『RAISE THE FLAG』は、昨年テーマとして掲げた“RAISE THE FLAG”の下、赤・白・青と異なった世界観を音楽で表現した3枚のヒットシングルが収録されているのはすでにファンならご存知のとおり。本作はその「Yes we are」、「SCARLET feat. Afrojack」、「冬空」、「White Wings」の4曲や昨年9月にデジタルシングルとしてリリースされた「Rat-tat-tat」のほか全10曲が収録されている。

 アルバムの構成としては、オープニングをアルバムタイトルと同名のリード曲「RAISE THE FLAG」、2曲目をビッグルームEDM調でアップリフティングな「Yes we are」が飾る。これは昨年開催された自己最多動員数を記録した全国ドームツアー『三代目 J SOUL BROTHERS LIVE TOUR 2019 “RAISE THE FLAG” SET LIST』(スタジオ音源も配信中)と同じ構成だ。

 そして、フューチャーベース調の3曲目「FIRE」が少し火照り気味のムードを一旦落ち着かせ、切ないメロディが印象的な「冬空」から始まるバラードゾーンへの足並みを揃えさせる。このバラードゾーンで、リスナーに音楽をじっくり聴かせるムードを作り、7曲目はいよいよお待ちかね、三代目JSBが誇る特大バイラルヒット曲「Rat-tat-tat」で再びムードをこれでもかというくらいアップテンポに。

 さらに「GOLDEN」へとつながり、彼らの代表曲のひとつ「Summer Madness」を手がけたAfrojackとコラボした爆エモチューン「SCARET feat.Afrojack」で再び熱狂感を演出。最後はフィナーレを飾るにふさわしいバラード「花歌 ~Flowers for you~」で幕を閉じる。

 動と静の緩急が絶妙のバランス感を演出するこの構成はこのままライブセットになってもなんら違和感のないものであり、これまで彼らを支えてきたファンであればあるほど、音源とライブのシンクロがイメージできる仕上がりだ。

 また三代目JSBの“進化”にフォーカスした場合、特筆するべき曲はやはり「Rat-tat-tat」だろう。コミカルなダンスがTikTokで火がつき、再生回数2億再生を超えた同曲は、近年の鍵にもなっているバイラルヒットを生み出す要素を持っている。J-POPシーンでは昨年のDA PUMP「U. S. A.」がその例に当てはまるが、このバイラルヒットには従来のセールスプロモーションの結果とはまた違ったヒットを生み出す要因がある。

 「Rat-tat-tat」は、先述のとおり、ネット上のバイラルによって億単位の再生数を記録したわけだが、これには音楽自体が従来の“聴くもの”から“遊ぶもの”へと変化してきていることが大いに関係があるだろう。つまり、これまでは三代目JSBの曲をファンが購入して聴くことで、彼らの音楽が広がっていったのだが、今は音楽が“所有”されるよりもいかに”再生”されるかで世の中に拡散されていく時代になっている。そして、それは音楽を所有するだけに止まらず、ファンに音楽で“自由に遊ぶ”という価値観を新たに提唱することにつながる。その意味で三代目JSBはバイラルヒットという“ポップスの今様”を手に入れることで、音楽体験の在り方の進化をファンに示したといえる。

 さらにそのことは、ビヨンセ『コーチェラ・フェスティバル2018』で取り入れたマーチングバンドサウンドのダイナミズムにも通じる「RAISE THE FLAG」や世界的な音楽プロデューサーであるAfrojackとの「SCARLET」のような近年の海外音楽トレンドにも通じるスタイルの楽曲を本作で取り揃えて収録していることにも意味を持たせる。つまり、『RAISE THE FLAG』がバイラルヒットに加えて、ポップスにおける様々なワールドクラスの先鋭的な要素を持つ作品であることの証明となり、それが三代目JSBサウンドの進化という結果に結びつく。そう考えると『RAISE THE FLAG』は冒頭で述べたように三代目JSBのこれからの10年を占うという点で大きな意味を持つ作品として捉えることに違和感はないはずだ。

 三代目JSBは、今後、どのような形で新しい音楽の“遊びかた”を提示してくれるのだろうか?  まずは記念すべき10周年イヤーのこれからに注目したい。(Jun Fukunaga)

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