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BIGBANG T.O.P、“カリスマ”と“ビング”の二面性で翻弄 少年のような心との葛藤を昇華した作品の数々

リアルサウンド

20/3/22(日) 6:00

 カリスマ or ビング?――。

(関連:BIGBANG G-DRAGON、“King of K-POP”としてシーンに起こした革命 強さと繊細さの両立がキーに

 BIGBANGのT.O.Pという人は、いつも私たちを翻弄する。“ビング“とは日本でいう“おバカちゃん“のような意味を持つ韓国語だ。彫刻に例えられるほど美しいルックスでカリスマ的な人気を誇りながらも、ふとした瞬間に少年のような茶目っ気を披露する。バラエティ番組で無茶振りに嬉々として応えたり、メンバーにちょっかいを出したり……そんな彼はBIGBANGの中で「一番子ども」と言われることもしばしば。そこから「ビングT.O.P」というニックネームが付けられたという。私たちがT.O.Pから目が離せない理由は、そのつかめそうでつかめない魅力ゆえだ。

■揺るぎない覚悟と、揺れ動くナイーブさ
 BIGBANGのライブでも、いつもシュッとしている印象のT.O.P。見目麗しい顔立ちとスラリとした長身が彼のトレードマークだが、BIGBANGになる前はヒップホップ系のファッションがよく似合う、ふくよかな体型だった過去を明かしている。だが、事務所のオーディションに参加するためにダイエットを決意。徹底した食事管理と運動で40日間で20kgもの減量に成功したというから、そのストイックさには頭が下がる。覚悟が決めたら一直線。着実に結果を残すスタイルが、彼を「カリスマT.O.P」と呼びたくなる理由のひとつだろう。

 歌のパフォーマンスでも、その強さを感じずにはいられない。中学生のころから一緒にラップを楽しんでいたというG-DRAGONとの楽曲「ZUTTER」を聞くと、優雅な表情を浮かべながらも、いつ息つぎをしているのかと首をかしげたくなるほどの低音ラップを見せてくれる。また「TURN IT UP」に代表されるソロシングルは、自らが作詞・作曲を手がけ、「DOOM DADA」ではMVに至るまでセルフプロデュース。その畳み掛けるような歌声が、ジンジンと脳みそを刺激し、グニャリと溶けていくような感覚になる。それは彼にとって音楽が、いつも確固たる覚悟を持って奮い立たせている自分自身を、束の間解放してくれるものだからかもしれない。

「“ビングT.O.P”は僕の中にあるもう一つのタレント性だと思う。内面にある謙虚な姿を見せる時間であり、純粋さを見せる行動だと思っている」

 T.O.Pは以前、そんなふうに自らのニックネームについて語っていた。(参照:BIGBANGのT.O.P「“ビングT.O.P”は純粋さを表すあだ名だ」)

 T.O.Pは持ち前の才能で大成したスターのように見えて、実は誰よりも不器用なところがある。それゆえに、私たちが受け取るあまりにも大きな成果と、彼自身がもがいて創り上げていくプロセスには大きなギャップがあるように思えてならない。「カリスマ」と呼ばれる人には、その半面大きなプレッシャーと闘い続ける現実が待っている。

■厳しい現実とラブ&ピース
 人間は、あらゆるストレスに対して様々な反応を見せて対応するという。言い訳をして合理化したり、他のことに熱中して逃避したり……そのなかでも、創作などにエネルギーが向かうことを「昇華」と呼ぶ。“ビングT.O.P”は、彼のなかに生き続ける少年の心の証。年々大きくなる“BIGBANGのT.O.P”への期待と、必死に結果を出そうとする“少年T.O.P”とのギャップを埋めるように、オリジナリティの高い作品が生まれているのではないだろうか。

 T.O.Pは2007年以降、俳優 チェ・スンヒョンとしても活躍してきた。主演映画『タチャ~神の手~』で見せた演技は、まさにかわいらしいビングな青年から、覚悟と愛を知った大人の男性への成長をあますことなく体現。「細かいところまでかなり悩みました」とインタビューでも答えていた。もしかしたらそこには彼自身がこれまで感じてきた葛藤が、昇華されていたのかもしれない。

 だが、人生は映画よりもずっと長い。彼が直面する現実は、葛藤を生み続ける。今年3月3日に、T.O.Pは新型コロナウイルスと戦う希望ブリッジ全国災害救護協会に1億ウォンの寄付をした。彼はこれまでも美術品コレクションという趣味を活かして、アジアの若い芸術家に寄付するチャリティオークションに参加した過去も持つ。少年のような心の持ち主ゆえに厳しい現実にもまっすぐ傷つき、それでも「愛を持っていきましょう。ピース」と私たちに呼びかけてくれる。

 どうやら、彼はまた音楽を作っているらしいとこっそりとファンにメッセージを送った。それが、いつどのような形で披露されるのかは、まだわからない。そう、カムバックそのものも、彼は簡単にはつかませてはくれない。眩しいほどの「カリスマT.O.P」が降臨するのか、それともノビノビとした「ビングT.O.P」が見られるのか。少年の心を持つT.O.Pが傷つかない世界がやってくることを願いながら、これからもつかめないT.O.Pに翻弄される日々を楽しみたい。(佐藤結衣)

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