ピクサー作品は現実世界にリンクした世界観がほとんど。なのに、初めて魔法世界に手を出してしまった。そこにちょっとした不安を抱えつつ観たものの、さすがピクサー……恐れ入りました、としか言えない涙の家族ドラマに。 性格がまるで違う凸凹兄弟が、下半身だけで蘇ったパパをなんとか完全体にしようとするジュブナイルを描きつつ、物語の本質は全く別のところにあるという大オチに、斜め上からのパンチを食らわされた気分。主人公同様に幼い頃に父を亡くし、声が吹き込まれたテープを聴いたことでこの物語を生んだ監督の実体験も、重要なエピソードに反映されており、大人こそ観るべき傑作に仕上がった。