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木村文乃×門脇麦×川口春奈、物語を引っ張る存在に 『麒麟がくる』3人のヒロインを追う

リアルサウンド

20/5/10(日) 6:00

 木村文乃演じる煕子、門脇麦演じる駒、川口春奈演じる帰蝶の3人のヒロインが活躍する、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』。当初は長谷川博己演じる明智光秀(十兵衛)との恋の行方が気になる3人であったが、煕子は光秀の妻になり、織田信長(染谷将太)の正室となった帰蝶は信長以上に頼りになると話題に。そして光秀との正室路線もありそうだった駒は、光秀以外の誰とくっつくのか予想も立ち始めるなど、それぞれの位置付けも定まったことで、物語も動き始めた。

参考:【ほか場面写真多数】鋭い目線を向ける川口春奈

 タイトルにもある麒麟の到来を夢見るお駒は、光秀に叶わぬ恋を抱く戦災孤児。各地の戦国大名と不思議な関係を持つ医者・望月東庵(堺正章)から薬草の知識を学び、助手として活躍。医療と庶民の目線で光秀を支えていく。駒はドラマオリジナルキャラで、駒の恋心に気づかない鈍感さなど、光秀がいかに人間味のある人物かを伝える役割を担っている。

 光秀の結婚後、駒の前には後の豊臣秀吉となる藤吉郎(佐々木蔵之介)、後の徳川家康となる竹千代こと松平元信(池田優斗)が。失恋のどん底である駒を通して、光秀界隈以外の戦国時代の動きを見せていくのだろう。この2人は光秀を本能寺の変に向かわせる重要な人物なだけに、駒がどう引き合わせるのか。そして医療で人を救う立場となる駒が、どう光秀を支えていくのか。でも、最後に謎の人物・菊丸(岡村隆史)と結ばれてほしい気もするが果たして。

 今作の真のヒロインと呼び声も高い帰蝶(濃姫)は、斎藤道三(本木雅弘)の娘で、父親譲りの気丈さと才知に溢れ、信長に愛された。光秀とは姻戚関係だが、幼なじみ以上恋人未満の甘酸っぱく儚い間柄。いつも気丈に振る舞う帰蝶が、敵対関係にある織田信秀(高橋克典)の和睦のために、光秀への思いを封印し覚悟を決める。自分の意志を捨て、国のため、そして自分の尊厳を守るために虚勢を張り続ける帰蝶の気丈さが、実に健気だ。

 信長の正室になってからの帰蝶の敏腕ぶりは、信長以上に頼りになる。余命わずかな父・信秀が、重要拠点の末盛城を信長の弟・信勝(木村了)に委ねると聞いて失望する信長を見て、帰蝶は織田を継ぐのはどちらの子がふさわしいかを聞きに行き、「帰蝶、信長をよろしく頼むぞ」と言われるも、信長には「最後にこう仰せられました。尾張を任せる。強くなれ」という言葉を伝え、帰蝶の機転で信長をやる気にさせる。また、信秀にはみたらし団子で誘惑するなど、攻撃も辞さない。最近の大河では、2014年の『軍師官兵衛』で内田有紀が濃姫を演じ、破天荒な信長をとことん愛し信じ抜くという、健気な女性を演じていたが、川口演じる帰蝶は実に戦略的で、夫をトップに仕立てようと覚悟を決めた妻の強さを感じる。

 ここから本能寺の変という、最愛だった光秀を敵に回す関係にどう発展していくのか。信長に嫁いだ断腸の思いがあれば、誰であろうが敵に回す覚悟があるのが帰蝶だろうが、未だ謎が多い人物なだけに、三角関係の成れの果てという新解釈が出てきても面白い。

 熙子には、恋に疎いと思われた光秀が一瞬で心奪われあっさり求婚。正室になってからの熙子はとにかく光秀に献身的。美濃の守護代である道三(本木雅弘)と息子・高政(伊藤英明)の争いで、明智の領地がお取替えになるかもと光秀が言うと「それは美濃のために良いことなら私は十兵衛様に付いて参るだけでございます」と答え、またその2人のどちら側に立つか迷っていると、熙子は険しい目で「すでに覚悟を。あと十兵衛様の御心のままに」と、決して意見を言わずに決心を固めさせる。人が相談するときは、自分の行きたい方向はすでに決まっていて、その後押しがほしいということが多いが、熙子はその光秀の気持ちが分かっている。例えその選択は間違っていても、光秀を信じてたひたすら寄り添う、そうした肝のすわった女性だ。

 大河ドラマで、『利家とまつ~加賀百万石物語~』(2002年)の前田利家の妻・まつ(松嶋菜々子)や、『功名が辻』(2006年)の千代(仲間由紀恵)が、戦国武将の内助の功として代表的な人物であり、両名とも自らが動き夫を出世させていくが、出世よりも夫の選択を尊重する熙子が、実は正室として最も硬派ではないだろうか。本日放送の「長良川の対決」後、歴史的には高政の怒りの矛先は道三側に付いた明智家に向かうことが予想される。これから光秀も波乱の時代を迎えることになるが、熙子がいかに最後まで寄り添い、光秀のオアシスとなるか、その献身ぶりに注目したい。

 今作においては、3人のヒロインの性格が殿方に反映されているというのが面白い。これまで3人の振る舞いで、いかに光秀が魅力的な人物なのかを浮き彫りにしてきたが、これからはいかに戦乱の世を彩っていくのか、3人の活躍に期待する。 (文=本 手)

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