Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

はちどり

20/6/18(木)

『はちどり』 (C) 2018 EPIPHANY FILMS. All Rights Reserved.

佳い映画は、主人公を美化も断罪もしない。 美化はある種の断罪であり、断罪もまたある種の美化である。 悪い映画は、ある者を美化し、ある者を断罪する。それが正義だと信じて疑わない。決めつけによってかたちづくられる世界がいかに貧しいか、気づかない。 少女は、自分に好意を寄せる男の子を足蹴にする。 また、自分を慕う後輩の女の子を利用する。 こうした非情な振る舞いに、わたしたちは身に覚えがあるはずだ。 感情以上に感覚、感触以上に神経にふれてくる“なにか”。 それを断罪することなく、塾講師の女性に対する憧れと等価のものとして、地続きのまま配置する。二面性として見せるのではなく、いずれも正直な自己である真実から目をそむけない。だから、美化も存在しない。本能を本能として、無為を無為として、すべてに優劣をつけず、それぞれをかけがえのない体験として、画面に定着させる。 選ぶな。 全部、ほんとうの自分だ。 低姿勢の平常心が平然と、決然と、美化も断罪も駆逐する。 そのすがすがすがしさ。

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む