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『はじこい』なぜ“ファン作り”に成功? 横浜流星&中村倫也&永山絢斗、キャラクター設定の巧さ

リアルサウンド

19/3/22(金) 6:00

 ある日突然、3人のイケメンに言い寄られたらどうだろう。それぞれに魅力があり、年齢も職業もバラバラの3人。そんなあまりにできすぎた環境で恋に落ちることになったのが、『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)の春見順子(深田恭子)だ。大学受験に失敗した春見は仕事も恋愛もうまくいかない人生を過ごしている。しかし、契約社員として働いていた塾の教え子である由利匡平(横浜流星)の大学受験を応援する中で、かつての同級生である山下一真(中村倫也)と再会し、幼馴染の雅志(永山絢斗)との関係も動き始める。そこで春見はその3人から想いを寄せられるのであった。

【参考】深田恭子が明かす、『はじこい』男性陣3人の魅力

 3人の男性が個性豊かであったこと、人気の俳優であったこともあり、本作はSNSを中心に反響が大きかった。特に「3人の男性で誰が一番タイプ?」などの質問をTwitterやInstagramのアンケート機能を使って投稿したものが数多く見られた。だが、誰が一番人気であると特定できる結果もなく、山下派、雅志派、ユリユリ派と、それぞれの“推し”が生まれることになった。本作がこれほど上手く、3人それぞれに男性の魅力を分散できたのには訳がある。

 まずはキャラクターの個性である。まだ10代で、ピンク頭という特徴のある由利、ヤンチャな性格の山下、真面目一徹の雅志と、全員が完全にバラバラの性格や特徴を抱えているのだ。これが、由利と山下の2択や山下と雅志の2択でもこの作品の魅力は成立しなかっただろう。対極の2つではなく、近からず遠からずの3人のキャラクターの微妙な差異が視聴者に刺さったのだと思う。2つを対立させてしまうと“どちらでもない”層が必ず出てきてしまう。しかし本作は女性が恋人に求める条件や好みのタイプを挙げる時に多いとされる「一途」や「ルックス」を前提条件にした上で、好みの分かれやすい「リードしてくれる」、「誠実」、「年下」などを振り分けたキャラクター設定を行った。この設定は、ドラマの中で夢中になれるキャラクターを作るという点で大きく成功しただろう。

 さらに春見の描き方にもポイントがあった。春見は最後まで誰の気持ちにも答えないことで、視聴者に選ぶ隙を与えたのだ。多くの視聴者は、春見が自己主張が強いタイプではなかったために、自己を投影して作品を楽しむことができる。作品に関する感想の多くは「私は〇〇が好き!」など、春見と同じ目線での意見が多いように思う。

 このように視聴者を引き込んで“自分ごと”にしたことは『はじこい』の強みであり、多くの視聴者が作品のファンになって楽しめた所以ではないだろうか。春見の成長物語としても深い部分まで描かれており、ただの恋愛ドラマではない奥行きがあったことから、作品自体が良質なものであることは確か。そこに視聴者を巻き込めるかが肝となるのが連続ドラマのヒットのポイントだが、本作はファン作りに成功した作品である。

 由利役を務めた横浜流星は映画『L・DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』の公開が3月、『チア男子!!』の公開が5月に控え、勢いのある役者だ。このままキャスト陣も次の作品でさらに活躍してくれるだろう。

※『L・DK』の「・」はハートマークが正式表記

(Nana Numoto)

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