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IDOLiSH7 四葉環と逢坂壮五によるMEZZO”は、“なるべくしてなったデュオ”だ 音楽的相性の良さを楽曲から考察

リアルサウンド

20/4/24(金) 6:00

 複数の人間が同じ音楽を志すとき、気が合う仲間だとか、目指す音楽の方向性が同じであるとか、趣味嗜好が似ているなど、様々なきっかけや動機があるだろう。しかし、アイドルグループやユニットの結成には多くのスタッフの意向や複雑な環境があり、当人同士がメンバーを選んでデビューすることは少ないのではないだろうか。

(関連:MEZZO”「miss you…」視聴

 IDOLiSH7の四葉環と逢坂壮五によるデュオ・MEZZO”も、本人同士が音楽性や性格の一致を理由に組んだユニットではないことが窺える。だが、不思議と“なるべくしてなったデュオ”だと思わされるのは、まず彼らの音楽的な相性が抜群であるということが挙げられるだろう。

 まず、2人の声の相性がいいのは誰もが認めるところだ。歌唱力の高さにも定評がある。彼らのデビュー曲「miss you…」や「月明かりイルミネイト」など、彼らの得意とするバラードを聴けば、すぐに理解できるはずだ。繊細な表現力と技術が求められる切ないラブソングを、聴かせるバラードにまで昇華させる2人の実力は本物である。

 相性がいいとは言え、彼らの表現や個性は正反対に見える。巧みなハーモニーを駆使して感情豊かなボーカルで伸び伸びと自己表現をする四葉と、柔らかな物腰を携えながら正確さとブレない芯の強さで主旋律を引っ張る逢坂。バラバラにもなり得る2人だが、お互いにないものを補い合うことで絶妙なバランスの良さを生み出している。

 しかし、それだけでは人々の胸を打つ音楽を作り出すことはできない。彼ら自身の成長と相互理解なくしては、MEZZO”がこれだけの人気を得ることはなかっただろう。

 その相性の良さからで「miss you…」で鮮烈なデビューを飾った2人。続いてリリースした「恋のかけら」では、さらに多くの人の心を掴んだ。キラキラとしたサウンドにのせて恋の始まりとそのきらめきを歌い、ファンをときめかせた「恋のかけら」。この普遍的なラブソングの裏にある、人が関わり合うことで生まれる小さな変化、そして地続きの未来というテーマは彼らの姿に重なるものがある。IDOLiSH7という場所が、そしてこのデュオでがなければ重なり合わなかった2人の音楽が示唆されているかのようだ。

 他にも「月明かりイルミネイト」「雨」などのいわゆるMEZZO”らしいバラードは、同じ曲をIDOLiSH7で歌ったとしてもこのような手触りにはならないだろうという、2人ならではの濃い世界観が感じられる。

 そこからさらなる飛躍を見せたのが「Dear Butterfly」だ。好きなものを好きだと伝えることの素晴らしさを歌ったこの楽曲で、MEZZO”の世界はその歌詞の通り羽ばたいたと言えるだろう。

 IDOLiSH7に所属しながらグループより先にデビューした2人が、懸命に努力してお互いを理解してきたことは想像に難くない。だからこそ、MEZZO”特有の世界観が構築された面もあるだろう。だがその2人が内ではなく外を向いて、その世界を広げながら影響を与えていくこの曲は、確実に彼らのターニングポイントとなった。

 そして大きな驚きをもってリスナーに迎えられた「Forever Note」は、逢坂の音楽への情熱が迸るロックナンバーだ。四葉のエモーショナルなボーカルとフィットしているのはもちろん、逢坂のボーカルがこれまで以上に力強いことに驚いた人もいただろう。これまでとは全く違うジャンルに舵を切ったことで、彼らの音楽性が一方向に限らないということをはっきりと示した楽曲だ。

 まだしっとりとした歌声のMEZZO”の印象が拭えない人も多くいる中、この挑戦に畳み掛けるように「カレイドスコープ」で主演映画『妖万華鏡 空虚咎送り』の主題歌を担当。こちらは映画のトリッキーな世界観を反映した内容の楽曲だが、2人の歌声が違和感な無くロックナンバーに乗ることをあらためて知らしめた。

 IDOLiSH7のグループ内ユニットという枠を超え、独自の表現を続けることで、彼らは今以上に“なるべくしてなったデュオ”として認識されるだろう。それは傍目から見るととても運命的だったり、奇跡のように感じられるかもしれない。だがその運命や奇跡は、彼らが音楽とお互いの表現に真摯に向かい合った結果である。

 音楽があるから、相反する強烈な個性でも共存・共鳴することができる。MEZZO”がそれを示し続けてくれることは、音楽ファン、アイドルファンに限らず、多くの人の希望となるだろう。今後も、声の相性やお互いを補い合うといった部分を超えた、彼らにしかできない音楽活動に注目していきたい。(草野英絵)

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