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Sexy Zoneが創り出す“新たなアイドルの概念” ダイバーシティの重要性訴える、マリウス葉らの言動

リアルサウンド

20/9/28(月) 6:00

 ここ最近、テレビや新聞、雑誌などのメディアで、Sexy Zoneマリウス葉くんの発言や行動が注目されることが増えてきました。それも、カルチャーギャップや独特の日本語表現を面白おかしく扱うものではなく、彼自身の発言や行動の根底にある信念、そしてその源泉となる知性に関心を寄せられることが多くなったように思います。(ここでは親しみを込めて、僕のいつもの呼称で記載します)

 マリウスの発言や行動の礎となるキーワードに、ダイバーシティ(多様性)があると考えています。性別、国籍、宗教、性的指向などの違いから生まれるさまざまな価値観に対して、その多様性を認めて積極的に活用することで、組織や社会を成長させる考え方です。

 マリウスのこうした先進的な姿勢は、メディアにおける発言にもしばしば見られ、よりよい社会について考える対談連載「One step at a time 一歩ずつ進もう」(『SPUR』集英社)など、具体的な仕事にも繋がっているように見受けられます。

 マリウスの価値観を語る上で欠かせない、あるエピソードがあります。2019年に放送された音楽特別番組『THE MUSIC DAY』(日本テレビ系)の中で、Sexy Zoneのリハーサル風景が映し出された際、マリウスが着ていたTシャツに「lol patriarchy」というメッセージが書かれており、ファンの間で話題となりました。patriarchyは「家父長制」、lolはスラングで日本語で言えば「ウケる」とか「ワロタ」というニュアンスの言葉。つまり、家父長制という古典的で支配的な価値観に対して、マリウスが明確に否定的な意見を持っていることが、映像を通して明らかになったのでした。

 一方で、マリウス自身が身を置くアイドルという世界は、どちらかと言うと古典的な性役割(ジェンダーロール)と階層社会(ヒエラルキー)の元で醸成されました。特にジャニーズのアイドルは、50年以上に渡って、男性的な魅力で多くの女性ファンを熱狂させることによって拡大し、また明確な上下関係の中で組織を統制してきました。このような背景から、ジャニーズは男性優位の古典的な価値観によって成立してきた、という見方もできます。

 そしてSexy Zoneというグループもまた、「顔面偏差値が高い」「顔面人間国宝」とファンから称されるように、彼らの整ったビジュアルが、時としてルッキズム(外見の魅力で人の優劣を評価する差別的な考え方)を助長している例も散見されます。これらの点から、ジャニーズ、そしてSexy Zoneという存在は、本人の意思に関わらず、ダイバーシティという考えとは相反する要素を少なからず含んでいる、と言えます。

 つまり、マリウスが抱える信念の矛先は、自らの存在を否定しかねません。しかし、マリウスの発信するメッセージにそういった矛盾を感じたことが、少なくとも僕にはありません。その理由は、マリウス自身の持つ魅力と多様性にあります。さらにそれは、Sexy Zoneというグループ自体にも当てはまります。

 僕自身、男性のSexy Zoneファンとして感じることは、彼らは決して女性のみをパフォーマンスのターゲットとしておらず、僕のような男性も置いていくことなく、分け隔てなくパフォーマンスしてくれる、ということです。Sexy Zoneのファンは女性が圧倒的に多いのは事実です。しかし、彼らに対して「カワイイ」や「カッコいい」や「素敵」と感じるポイントには、少なくとも性別と年齢、性的指向を超越した普遍的な魅力がある、そう感じています。

 また、ドイツ、日本、台湾にルーツを持ち、ドイツ語、日本語、英語が話せるトリリンガルであるマリウスにとって、多様な価値観に触れることは生活においてごく当たり前なことだったと言えます。さらに、そのマリウスが所属するSexy Zone自体も、多様な価値観を持つマリウスを排除することなく、受け入れて活かすことで、グループとしての多様性を育んできました。

 『POP × STEP!?』ツアーパンフレットを始め、いくつかのインタビューにおいて「アイドルの概念を更新したい」とマリウスは語っており、他のメンバーもこれに同調していました。また「社会に貢献したい」ということもしばしば語っており、従来のアイドルでは持ち得なかった多様性を持って、社会に働きかけられるアイドルになりたい、そんな意図が言葉に込められているように感じます。

 ジャニーズのアイドルは、少なくとも日本においては、社会的に非常に優位な立場にあると言えます。それ故に、彼らの行動や発言の影響力は、その内容や利用のされ方により、社会の価値観を大きく左右しかねません。しかしSexy Zoneとマリウスは、その影響力を逆に駆使して、男性アイドルという立場だからこそ訴えるべき、社会のあるべき姿を発信しているように見えます。

 5人が持つ知性や感受性、そしてビジュアルも含めた彼らの強い個性が、聡明な意志を持ったとき、旧来のアイドルという枠組みでは実現し得なかった社会的ムーブメントを巻き起こすことができる、僕はそう信じています。Sexy Zoneには、世界を変える力があります。新しい価値観を社会に発信できるアイドルグループ、それがSexy Zoneであり、それを推進しうる1つの大きな力、それがマリウスの信念と知性と言えるでしょう。

■ジャニヲタおじさん
ジャニヲタのおじさん。1974年生まれ。福岡県在住。AB型。妻、息子、娘の4人家族。ジャニーズを見て、かっこいいな、素敵だなと思ったことをTwitterやブログに記しています。
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