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お気に入りの本と雑貨が定期便で届く“書籍のサブスク”、巣ごもり需要で流行なるか?

リアルサウンド

21/1/12(火) 9:00

 家にいる時間が増え、宅配や配信サービスの需要が急速に増えつつある昨今。さらに自分自身に時間を費やせるようになったことで、新たな趣味として料理や映画、読書に興じる人も増えただろう。そんな中、注目したいサービスがある。本のサブスクリプションボックスである。

 サブスクリプションとは、定額で一定期間サービスを利用できるビジネスモデルのことだ。NetflixやU-NEXT、Kindle Unlimitedなどが、動画・書籍のサブスクリプションサービスでは有名だろう。会員になるとその期間は定額で作品を見放題、読み放題になる。これと同じようなサービス形態で、定期便として家に届くのがサブスクリプションボックスである。

 毎月のテーマに沿って違う内容のアイテムがいくつか梱包されており、開けたときのワクワク感も楽しみの一つになっている。日本では雑貨やコスメを扱う「My Little Box」や、おやつを届けてくれる「スナックミー」などのサブスクリプションボックスがある。しかし書籍となると未だメジャーなサービスは見受けられず、コミックシーモアやKindle unlimitedのようにサービス内に追加されている作品が定額で読み放題になるものが主流という状態だ。

 そんなサブスクリプションボックスだが、実は海外には書籍に特化したボックスが存在している。「Book of the Month」や「Owlcrate」、「Fairyloot」などが有名だ。ボックスによって得意ジャンルや内容は異なり、本だけが送られてくる場合もあれば、“Bookish”アイテムと呼ばれる本にまつわるグッズが同梱されていることもある。

 YA(ヤングアダルト)小説に特化しているボックスもあれば、全ジャンルを網羅しているもの、ロマンス特化、ノンフィクション特化など得意分野は様々。本の冊数もボックスにより変わる。

 筆者が実際に購入した「Owlcrate」はYAジャンルに特化しており、やや若年層向きのファンタジー作品が選ばれることが多い。しかしOwlcrateはマニフェストに「YA小説を読むのに歳をとりすぎている人はいない」と掲げており、幾つになってもYA作品を楽しんでいいことを宣言している。実際、Owlcrateのファンの人たちは決してティーンばかりではない。

 SNSでの購買層を見ると、ハリー・ポッターのファンに様々な年齢の人がいることと同じように、それぞれのYA小説にも様々なファンがいる。加えてOwlcrateは、ボックスの中にテーマに合わせた色々な雑貨が入っている。アロマキャンドルや靴下、マグカップ、ブックマーク、えんぴつなどその内容は多岐にわたるが、その多くが前述のように“本にまつわる”アイテムである。読書のお供にコーヒーを勧める意味を込めてか、コーヒー豆が入っていたこともあった。毎月何が届くかわからず、ワクワク感が持続する。

 さらに、これらの海外のサブスクリプションボックスは、日本からオーダー可能なものも多数ある。筆者が半年間サブスクリプションに登録していたOwlcrateも、6個が全て無事に届いた。毎月の発送に先駆けてテーマと内容物の書かれたメールが届き、なんとなくどんなものが届くのかが想像できるようになっている。さらに昨今ではInstagramのハッシュタグで検索することにより、過去のボックスから最新のボックスまでのネタバレを見ることも可能。OwlcrateはボックスのファンがSNSに開封動画を投稿することも多いので、オーダーを検討する際は合わせて調べてみると参考になるだろう。

 サブスクリプションサービスが台頭している今、このように本にまつわるグッズと共に毎月とっておきの本が届くサービスが日本でもメジャーになる日がくるかもしれない。実際に筆者はこの体験で、読書だけでなくその先にある読後のコミュニケーションを楽しむことに目が向くようになった。日本でも本に対する新たなアプローチは年々増えており、「梟書茶房」のように題名や装釘を隠し、本の通し番号のみで選ぶことをコンセプトにした書店や、「文喫」のように入場料がかかる代わりに、中で本とじっくり過ごせる工夫がなされている書店も存在する。これからも巣ごもり需要の高まりと共に、新しいサービスが登場することが期待される。読書を楽しむ人がさらに増える未来がくることを、切に願う。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

Book of the Monthインスタグラムページ
owlcrate インスタグラムページ
Fairylootインスタグラムページ

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