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AAA、デビュー15周年記念ベストアルバムが初登場1位 “男女混合グループ”として培った、確かな人気と動員力

リアルサウンド

20/2/29(土) 6:00

参考:2020年3月2日付週間アルバムランキング(2020年2月17日~2020年2月23日)(https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2020-03-02/)

 4週間前に取り上げたKing Gnu、今もすごい勢いです。1月27日付けの週間チャートで初登場1位からスタートし、その後は2位→3位→3位→6位→4位。アルバム『CEREMONY』はすでに30万枚セールスを突破し、まだまだ音楽シーンの台風の目たりえています。どこまで売れるのかはもちろんですが、いわゆるギターロックとは一線を画すバンドがこれだけの支持を得たことは、長年ロック系の音に慣れていたリスナーにどんな変化をもたらすのか。「King Gnu以前/以降」という境目。それが、2020年のポイントかもしれません。

(関連:AAAは豊かな個性を持つ“スーパーパフォーマンスグループ” ライブから考える魅力

 さて今週。EXILE THE SECONDのベストを抑えて1位に輝いたのはAAAの『AAA 15th Anniversary All Time Best -thanx AAA lot-』でした。感謝の意を込めたタイトルが示すように、グループは今年いっぱいで活動を休止。デビューから15年の月日を総括する最後のベストアルバムです。

 美男美女揃いとはいえ、アイドルではなく“男女混合パフォーマンスグループ”を謳っていたAAAは、最初からかなり特異な存在でした。王子様系のジャニーズ、ワイルドなLDH、正統派のAKBから個性派地下アイドルまで、星の数ほどいるダンス&ボーカルグループを考えてみても、男女混合の形態って本当に稀。世界的に見てもその傾向は変わらないと思います。

 例外は子どもで(The Jackson 5にFolder、最近なら「パプリカ」のFoorin)、少年少女が楽しそうに歌って踊る姿は目にも楽しいもの。ただ、大人になると当然体つきは変わりますし、視線の絡め方、どう接触するかなども含めてフォーメーションが組みづらくなってくる。あとは友情の語り方、失恋の乗り越え方など、歌詞のテーマを揃えるのもなかなか難しそうです。さらに冷静な話をしてしまえば、メインターゲットは男性なのか女性なのか、ファンがグループを「推す」原動力を考えていけば、男女で分けてしまったほうが商業的には成立しやすいのだと思います。

 メンバーの脱退などはありましたが、AAAは最後まで男女混合を貫きました。過去には男女で分かれることも考えたそうですが、メンバーの強い意思によってそれを回避したというから、いわば男女が同列にいることが強いアイデンティティになっていたのでしょう。3年前には伊藤千晃が結婚・妊娠を理由に卒業しますが、母になる彼女をメンバーが頼もしく送り出していた様子はとても温かかった。これもまた、男女混合がアイデンティティであることの表れでしょう。

 で、この男女混合形態。ルーツは何かと考えていくと、おそらくTRFではないかと思われます。もちろんAAAは全員がボーカルを担当するので構成は違いますが、「イケてる男女が、恋ではなく友情で結びつき、楽しそうに笑っている」イメージって、まさにTRFが作り出したもの。彼らと小室哲哉の楽曲によってエイベックスは90年代に最初の黄金期を迎えます。そのエイベックスが擁するマネージメントから生まれたのがAAA。アイドルの世界では不利になる男女混合に、エイベックスは何かとてつもなく強い夢を持っているようです。

 ためしに“男女混合”“グループ”で検索をかけてみると、「エイベックスから新たに誕生した男女混合グループが初ライブ」「エイベックスが手がけるダンス&ボーカル育成企画から男女○人の新グループ誕生」などなど、いくつものグループが育てられ、今まさに世に飛び出そうとしていることがわかります。ジャニーズもLDHもやらないけれど、「ともかく男女混合ならエイベックス!」と言わんばかりの押しっぷり。しかも紅一点ではなく、男女比はだいたい5:2あたり。この黄金比は何なのか、いつか聞いてみたいものです。

 実際、AAAがそうなったように、いざ人気が出たら強いんですよね、この形態は。男性からも女性からも受け入れられ、ティーンネイジャーに限らず幅広い層を集客できる。「推し」に熱狂するガチファンと、グループで遊びに来たサークル仲間なんかが、どちらも平等に楽しめるわけで。時間をかけて確かな人気と動員力を誇るようになり、全国ドームツアーは常に完売、コンサート収益も凄まじかったAAAは、エイベックスが完成させた夢の結晶だったのかもしれません。(石井恵梨子)

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