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愛猫の“あおむけポーズ”は服従ではなかった? 『ねこほん』が伝える100の新事実

リアルサウンド

20/7/28(火) 10:00

 こんな時、愛猫の本音が分かれば、今よりも相思相愛になれるのに……。一緒に暮らす中で、何度そう思っただろう。家族の一員である愛猫とは「種族」という壁を越え、もっと深く繋がり合いたい。

 だから『ねこほん 猫のほんねがわかる本』(西東社)を目にした時、心が動いた。帯に記された「愛してるから、全部知りたい」の一言が、自分の気持ちと重なったから。

 本書は『おもしろい! 進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(下間文恵:絵/徳永明子:絵/かわむらふゆみ:絵/高橋書店)の監修を務めた動物学者の今泉忠明氏と、『うちの猫がまた変なことしてる。』でおなじみの人気漫画家・卵山玉子氏の最強タッグによってできあがった、究極の猫本。知られざる猫の本音を、ほんわかした4コマ漫画と分かりやすい専門知識で解説している。100問100答の本音の中には科学的な調査結果や、知らなかった新常識が。これは猫好きによって作られた、猫好きのための一冊だ。

関連:【画像】卵山玉子の代表作『うちの猫がまた変なことしてる。』書影

■猫があおむけになるのは「服従」のサインじゃない

 愛猫が見せる、かわいらしいあおむけポーズ。実はそこにも、私たちの知らない真実が隠されている。あおむけポーズは犬の場合、服従のサインであることから、猫も同じような気持ちではないかと考えている猫好きさんもいるはず。しかし、猫がお腹を見せる理由は奥深く、状況によって意味が異なるのだそう。

 驚くべきは、喧嘩時にあおむけポーズを見せるワケ。なんと、反撃の意志があるからなのだ。今泉氏いわく、あおむけの姿勢にはお腹をさらすというデメリットがある一方で、4本の足で相手を引っ掻いたり、キックできたりするという大きなメリットもあるのだそう。だから、猫同士の喧嘩で不利なほうの猫はあおむけになり、相手を迎え撃つ。

 そして、面白いことに、この意思表示は飼い主と猫が喧嘩した時にも当てはまるよう。叱ろうとした時にあおむけになる愛猫の頭には、反撃法が浮かんでいるのだ。ちなみに、あおむけポーズがかわいくて飼い主さんが叱るのをやめると、猫はそれを覚え、叱られそうになるたびに同じポーズを繰り返すこともあるという。

 この事実を知り、「ダメでしょ」と叱るたびにあおむけになる愛猫への印象がガラっと変わった。素直でかよわいと思っていたうちの猫はもしかしたら、筆者が思っている以上に賢くてガッツのある性格なのかもしれない。そんな発見を得たら、猫という動物にますます興味が湧き、愛猫がより愛おしくなる。

■猫のゴロゴロ音は人間を操る

 ゴロゴロと鳴る猫の喉の音を聞いていると、なぜか甘やかしてしまう。抱っこをしたり、おやつを貢いだりと、必死に尽してしまうことが、ずっと不思議だった。「かわいい」という理由では説明できない、なんらかの猫パワーが働いているのかも……。本気で、そう考えたこともある。本書は、そんな疑問もユーモラスに解決してくれた。

 実は猫が発する要求のゴロゴロ音は通常よりも高音で、人間の赤ちゃんの泣き声と同じ周波数をしている。そのため、人間は音を耳にすると、「すぐに要求を聞いてあげたい」という気持ちに。今泉氏によれば、猫を飼ったことがない人でも「要求のゴロゴロ音+鳴き声」を聞くと、いても立ってもいられなくなるという。もしかしたら、私たち人間は、お猫様に仕えるようにできているのかもしれない。

 他にも本書には、日常の中で抱く素朴な疑問への答えが惜しみなく収録されている。中には、「なぜ猫は飼い主に肛門を見せてくるのか」「飼い主が変装したら見分けられるのか」など、コミカルな視点から猫の本音を解説したものも。

 人間と猫は同じ言葉が話せないから、愛猫に粗相や思わぬ攻撃をされると、互いの間に溝が生じてしまうことがある。けれど、猫は嫌がらせをしたいわけではない。一見、問題のように思える行動の裏には、飼い主さんへの愛情が大きく関係していることだってある。

 だからこそ、困ったり悩んだりした時には本書を開き、猫の心の声に耳を傾けてみてほしい。人との違いを知り、受け入れることができたら、私たちはもっと快適に楽しく、猫と共生していける。

 “マイペースで気まま”という言葉で語られやすい「猫」という動物は多くの秘密と本音を秘めた、最高のパートナーだ。

(文=古川諭香)

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