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いま、最高の一本に出会える

PARCO PRODUCE 2020「FORTUNE(フォーチュン)」製作発表会見より、左から鶴見辰吾、田畑智子、森田剛、吉岡里帆、根岸季衣。

日英コラボの「FORTUNE」世界初演に森田剛「僕にとって大きなチャレンジ」

ナタリー

19/11/28(木) 20:00

森田剛主演「FORTUNE(フォーチュン)」の製作発表会見が、本日11月28日に東京都内で行われた。

「FORTUNE」は、「ハーパー・リーガン」「夜中に犬に起こった奇妙な事件」などで知られるイギリスの劇作家サイモン・スティーヴンスが、“ファウスト”をモチーフに現代ロンドンを描いた新作。イギリスに先駆け日本で世界初演される今作では、演出をショーン・ホームズ、美術と衣装をポール・ウィルス、音楽をかみむら周平、ステージングを小野寺修二が担当。出演者には森田のほか、吉岡里帆、田畑智子、根岸季衣、鶴見辰吾らが名を連ねている。

会見には、森田、吉岡、田畑、根岸、鶴見、スティーヴンス、ホームズ、ウィルスが出席。2014年上演の「夜中に犬に起こった奇妙な事件」でスティーヴンス作品を経験している森田は「サイモンの戯曲をやったとき、ものすごい苦労をしたので(笑)、だからまたそこに飛び込むというのは勇気がいることでした」と率直な思いを吐露しつつ、「今作の戯曲を読んだとき、僕にとって大きなチャレンジであると同時に、とても刺激的な舞台になると思いました。世界初演ですが、日本版が一番よかったと言われるようにがんばりたい」と意気込みを述べた。

森田演じる主人公・フォーチュンが思いを寄せるマギー役の吉岡は、10代の頃に観た学生演劇が俳優を志したきっかけだと話し、「舞台は本当に憧れの強いジャンル。事務所に『舞台がやりたいんです』と何年も伝えて、やっとこの『FORTUNE』という素晴らしい作品に出会うことができました。この作品を皆さんと作り上げていくことが、とてもうれしいです」と感慨を語る。ドラッグディーラーとしてフォーチュンに接近する“悪魔”ルーシー役の田畑は「期待感やワクワクもあるんですけど、私自身にとっても挑戦となる作品。今までと違う面をお見せできれば」と微笑む。

フォーチュンの父親ショーン役の鶴見は「“ファウスト”をモチーフにした作品ということで、さぞかし難解だろうと覚悟して戯曲を読み始めたのですが、実際はとても現代的で濃密で、読み進めるのが非常に楽しい作品でした。劇中の登場人物に対し、『もしかしたら自分もそうなってしまうんじゃないか』と、誰しもが共感できるはずです」と作品の魅力に触れながら、日英のクリエイターがコラボレートする今作に「この上演を観る方は、西洋の文化と日本の文化が混じり合った“グローバルスタンダード”が生まれる瞬間を目撃する証人となるわけです。ぜひ劇場で体験していただきたい」と来場を呼びかけた。

フォーチュンの母親キャサリン役の根岸は、ホームズが以前来日した際に開催したワークショップに参加したことがあると明かし、「それがすごく面白くて、演劇の国の人だとしみじみ思いましたね」と当時を振り返る。続けて「稽古が始まって思ったのは、イギリス人クリエイターはとってもタフだということ(笑)。彼らはどんどん可能性を広げていくので、それについていくのに必死です。この中に筋肉痛の人もいるくらいなんですよ!(笑)」と話すと、田畑が「筋肉痛になったのは私です……スローモーションな動きが多かったので、普段使わない筋肉を使いました」と告白し、会場を笑いで包んだ。

根岸の「タフ」という言葉にホームズは「ありがとうございます(笑)」と日本語で答え、「サイモンの戯曲は、現代劇でありながら、比喩的な広がりが魅力。そういう戯曲だからこそ、演出家として僕が皆さんに『あれをしろ、これをしろ』と命令するのではなく、全員で勇気を持って思い切って、『FORTUNE』の世界を一緒に探っていくことがとても大事だと思っています」とコメントした。

会見後に行われたクリエイター取材会には、スティーヴンス、ホームズ、ウィルス、そして翻訳家の広田敦郎が出席。スティーヴンスとは15年にわたり、一緒に作品を作り続けていると言うホームズは「僕らは大学が一緒だったのですが、実はそこでは会ったことがなくて(笑)。初めて話したのは、僕がロイヤルコートシアターで彼の『Herons』という作品を観たあとですね。それは今でも僕の最もお気に入りのプロダクションの1つなのですが、彼の作品は“真実”を描いている。そして予期できない面白さや、悪意や不吉さが潜んでいて、だけど優しさと希望も内包されている。すぐにサイモンに連絡を取って、僕らは一緒に仕事をするようになりました」と語る。さらに「僕がサイモンとやった仕事のうちの1つに『Three Kingdoms』という作品があるのですが、それはドイツ・ミュンヘンの劇場カンマーシュピーレと、エストニアの劇場NO99と共同で製作したものです。この文化が混じり合った作品は、イギリスの演劇界に『こんな方法もあるのか』という大きな衝撃を与えました。今週、稽古をしながら『Three Kingdoms』のことを思い出していました。日本の俳優たちと僕たち自身が相互に影響し合うことに、とてつもない可能性が秘められているのです」と言葉に力を込めた。

司会から「本作を6日間で書いたという噂は本当ですか?」と聞かれたスティーヴンスは「はい、本当です(笑)。ただ構想自体は1年半前から考えていました。“ファウスト”をモチーフにするにあたって、ゲーテやマーロウはもちろん読みましたし、デヴィッド・リンチの作品やヴィム・ヴェンダースの『ベルリン・天使の詩』も参考にしました」と答え、「“ファウスト”的なものを僕はこの作品で描きたかったんです。というのも、僕らは現在、地球の環境がどういう状況に陥っているかよくわかっているはず。例えば、僕が飛行機に乗って日本に来ることで、環境問題は悪化することは明白です。……でも、僕は日本に来たかった。牛の畜産が、温暖化にどのような影響を与えているかも僕らはわかっている。……それでも、僕は和牛ビーフを食べたい(笑)。これは誰かを批判しているわけじゃなく、もし批判するとしたら、それは自分自身に向かっています。僕らは毎日、“ある決断”をしていて、それが自分の未来や地球の未来、そして僕らの子供たちの未来へと結果をもたらしていく。今、僕たちが生き抜くのに困難な時代を生きていることは確かです。この世紀を生き抜くためには、科学者と同じだけ“物語”が必要だと思っています。それが怖い物語だとしても、できるだけ伝えなければいけない」と、本作への思いを語った。

最後にホームズは、主演の森田について「彼が演じるフォーチュンという役は、ずっと出ずっぱりで、逃げる場所がない。彼は全身全霊で、これからエベレストに登ろうとしているような状態だと思いますが、彼は持つべき恐怖と、絶対に頂上に行くんだ、という熱意をしっかり持っている。そのことに僕たちは感謝と尊敬の念を抱いているし、彼がその頂上に到達することに確信を持っています。これから彼らと僕たちは、5・6週間、稽古を通して密に付き合っていきますが、チームとして、カンパニーとして助け合いながら、チャレンジや障害を糧にして、共に険しい山を登っていきたい」と述べ、「また、剛がこんなに素晴らしい俳優でありながら、V6という著名なポップスターであることにも、尊敬が高まります」と笑顔を見せた。

公演は2020年1月14日から2月2日まで東京・東京芸術劇場 プレイハウス、7日から9日まで長野・まつもと市民芸術館 主ホール、15日から23日まで大阪・森ノ宮ピロティホール、27日から3月1日まで福岡・北九州芸術劇場 大ホールにて。チケットの前売り販売は、東京公演と大阪公演が11月30日、長野公演と福岡公演が12月8日にスタート。

PARCO PRODUCE 2020「FORTUNE(フォーチュン)」

2020年1月14日(火)~2月2日(日)※1月13日(月・祝)はプレビュー公演。
東京都 東京芸術劇場 プレイハウス

2020年2月7日(金)~9日(日)
長野県 まつもと市民芸術館 主ホール

2020年2月15日(土)~23日(日・祝)
大阪府 森ノ宮ピロティホール

2020年2月27日(木)~3月1日(日)
福岡県 北九州芸術劇場 大ホール

作:サイモン・スティーヴンス
翻訳:広田敦郎
演出:ショーン・ホームズ
美術・衣装:ポール・ウィルス
音楽:かみむら周平
ステージング:小野寺修二
出演:森田剛、吉岡里帆、田畑智子、市川しんぺー、平田敦子、菅原永二、内田亜希子、皆本麻帆、前原滉、斉藤直樹、津村知与支 / 根岸季衣、鶴見辰吾

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