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鉄男と裕一をつなぐ“詩と音楽” 『エール』別れでは切り離せない結びつき

リアルサウンド

20/4/6(月) 12:00

 鉄男(込江大牙)が落とした和歌集を届けに来た裕一(石田星空)は、鉄男が父親の善治(山本浩司)に殴られる場面に遭遇する。NHKの連続テレビ小説『エール』が第2週の初日を迎え、詩と音楽で通じ合う裕一と鉄男の姿が描かれた。

【写真】大人になった裕一

 鉄男は、父親に殴られる場面を見られて苛立ち、裕一を乱暴に追い返した。とんでもないものを見てしまったと、雨の中びしょ濡れで自宅に帰った裕一を家族は心配する。しかし翌朝、彼は裕一の前に現れると「俺は筋を通す男だ」と言い、頭を下げる。「すまねえ」と謝る鉄男の姿に裕一は驚くが、笑顔で彼を受け入れた。すると、鉄男も初めて笑顔を見せる。

 裕一は鉄男の詩を愛する心を知る。裕一は鉄男が書いた詩を絶賛し、「大将、詩人になれるよ」と目を輝かせた。しかし、鉄男はそんな裕一の言葉を一蹴する。家庭環境が異なる二人。「俺は詩を書くのが好きだ。でもそれじゃ飯は食えねえ」と鉄男は言った。それでも裕一は、鉄男に詩を続けてほしいと思ったのだろう。「あの詩に曲をつけたい」と伝え、曲をつけたら持って行くと約束した。

 鉄男を演じる込江の繊細な表情と、裕一を演じる石田の純粋無垢な表情が、彼らの詩と音楽へのひたむきさを感じさせる。裕一は音楽に出会い、勇気を得た。鉄男は詩を愛しているが、家庭環境の厳しさから、それにしがみつく一歩を踏み出せずにいる。しかし、裕一から「あの詩に曲をつけたい」と言われたとき、自分の詩が人に愛されていることを知ったはずだ。去り際、彼の表情は決して明るいものではなかったが、希望を感じているような表情にも見えた。

 だが、善治が家族を連れて夜逃げしたことで、裕一は鉄男に曲を渡すことができなかった。夜逃げの道中、鉄男は藤堂(森山直太朗)の言葉を思い出す。鉄男の才能に気づいていた藤堂は「頼ることは恥ずかしいことじゃない。自分の才能から逃げるな。一生後悔するぞ」と声をかけ、新聞記者の名刺を手渡していた。鉄男はその名刺をじっと見つめる。

 裕一は鉄男のために歌い、静かに涙を流した。

 裕一が励まされた「得意なことにしがみつけば必ず道は開く」という言葉は、きっと鉄男にも響いている。彼らがヒット曲の数々を生むのはずっと先の話だが、詩と音楽で通じ合った二人が交わした時間が彼らを結び続ける。

(片山香帆)

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