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チェーホフの名作『かもめ』をフルオーディションで上演

ぴあ

『桜の園』『三人姉妹』など発表から100年以上経った今も、その作品が世界中で上演されているロシアの劇作家、小説家のアントン・チェーホフ。その透徹した視線は、本日4月11日(木)に幕を開ける『かもめ』でも、巧みに人間の“悲喜劇”をあぶり出す。

物語は、女優のアルカージナ(朝海ひかる)と小説家のトリゴーリン(須賀貴匡)、アルカージナの息子で小説家希望のコンスタンティン(渡邊りょう)と、恋人で女優志望のニーナ(岡本あずさ)というふたつのカップルを中心に進んでゆく。若いコンスタンティンはニーナを主役に芝居を上演するが、アルカージナに揶揄され、さらにトリゴーリンに惹かれるニーナを目の当たりにして自殺騒ぎを起こす。モスクワに帰るトリゴーリンと共に、女優という夢を掲げて旅立つニーナ。その2年後。コンスタンティンが気鋭の小説家として注目される一方、ニーナはトリゴーリンに捨てられ、女優としても芽が出ずにいて……。

改めてストーリーを見直すと、家族間の葛藤や若者の自意識、恋愛における苦悩、人生の黄昏を迎える者の感慨など、すべての要素がそっくりそのまま現代にも通じることに気づく。今回はイギリスの劇作家であり、映画『恋に落ちたシェイクスピア』などの脚本でも知られるトム・ストッパードの台本を、新国立劇場演劇芸術監督・小川絵梨子が自ら翻訳。登場人物の内面を繊細に浮き彫りにすることに定評のある鈴木裕美が演出を担当し、活き活きとした人間ドラマを展開する。

2018年9月より芸術監督に就任した小川の「1年に1作品はフルオーディションを」という意向をくむ、初の作品となった本作。昨年2月に約6週間のオーディションを経て選ばれたキャストには、役にふさわしい実力の持ち主がそろった。じっくりと、丁寧に“手作り”された新しい『かもめ』。その門出を見届けたい。

新国立劇場 小劇場にて4月11日(木)から29日(月・祝)まで上演。

文:佐藤さくら

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