期間限定の「おんらいん大作戦」、無人島プロダクションが海外3ギャラリーと協働し開催
20/4/1(水) 18:00
「おんらいん大作戦」
3月28日から東京・江東橋のギャラリー、無人島プロダクションで開催されるはずであった展覧会「温泉大作戦」がコロナウィルス禍を受けて中止となったため、展覧会に参加する予定であった海外の3ギャラリーと無人島プロダクションが期間限定で映像作品を上映するサイト「おんらいん大作戦」を立ち上げた。
参加アーティストは、シャナ・モールトン、土屋麗、ステファニー・シュヴァルツヴィマー、メリケ・カーラ、トビアス・シュピヒティヒ、バイオレット・デニソン、田口行弘、加藤翼。
ほとんど変化しない氷山の映像(シュピヒティヒ)、凝った服装で踊り続ける女性(土屋麗)、さまざまな場所で回転し続ける皿(シュヴァルツツヴィマー)、路上で人々ともに働く(?)バケツと、黒い塗料に浸したボールを壁にぶつけ続ける男性(田口行弘)、夢とも現実ともつかない足ダンス(シャナ・モールトン)、別々の中庭でギターとピアノ、ヴァイオリンを演奏する3人を頭上高くから撮影した映像(加藤翼)などなど。
「それってどういう作品?」と訊かれても、分かりやすい「意味」や「解釈」をすり抜けようと企む、説明に窮する作品ばかり。だが、過酷さを増すコロナウィルス禍真っ只中の日常にあって、ぼっ〜と氷山を眺めたり、ひたすら踊ったりボールを投げつける意味不明の行動に「???」となったり、せっせと動くバケツに思わずニヤリとしたり。字幕付きでないのは残念だが、さまざまな言語の音感の錯綜は耳に心地よく、アートが開示する異次元世界と向き合う体験は予想以上に新鮮だった。日々のコロナウィルス感染情報に閉塞する心身が、ゆっくりと解きほぐされていくような感触を覚える。
ああ、これが芸術と呼ばれるものの持つ力なのか……と、またまた今更ながら。これもコロナウィルス禍のお陰哉(半泣き)。
Text:藤原えりみ(美術ジャーナリスト)
◆「おんらいん大作戦」
会期:3月28日〜4月12日(日)
〈参加ギャラリー〉
Galerie Gregor Staiger(チューリッヒ、スイス)
Shana Moulton
Union Pacific(ロンドン、イギリス)
Stefanie Schwarzwimmer, Urara Tsuchiya
Jan Kaps(ケルン、ドイツ)
Melike Kara, Tobias Spichtig, Violet Dennison
無人島プロダクション
田口行弘、加藤翼
会場:おんらいん大作戦ショーケース
「おんらいん大作戦」URL
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