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クリステン・スチュワート、ヴェネツィアでダイアナ妃の魅力語る「飛び抜けた存在」

ナタリー

左からパブロ・ラライン、クリステン・スチュワート。(c)Kazuko Wakayama

「Spencer(原題)」のワールドプレミアがイタリア現地時間の9月3日に第78回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門で行われ、主演のクリステン・スチュワート、監督のパブロ・ララインが登場した。

本作は、1991年のクリスマス休暇に皇太子妃ダイアナがイギリス王室の人間とともにノーフォーク州にあるサンドリンガムハウスで過ごす3日間を描く物語。皇太子チャールズとの関係は冷え切り、王室の中でも浮いた存在となっていた彼女が、離婚を決意するまでの心の動きがつづられる。スチュワートがダイアナを演じた。

記者会見で「なぜ、ダイアナというテーマを選んだのか?」という質問が飛ぶと、ララインは「私の母に気に入ってもらえる映画を作りたいと思っていました。ダイアナは著名で美しさにあふれたアイコンでしたが、同時に彼女は母親でもあり、私の母のような普通の人々を深く共感させる力を持った人でした。非常に恵まれた環境に生まれ、貴族出身の人が、なぜあれほどまでにごく普通の人物でいられたのかに、私は長年興味があったんです」と回答。3日間に焦点を当てた構成については「彼女の長い人生を振り返るのではなく、大きな危機に瀕した瞬間を選べば、彼女の本質にうまく迫ることができるのではないかと思ったんです」と意図を明かした。

人々の心に訴えかけるダイアナの力を「彼女の生まれ持ったもの」と評するスチュワートは「ただ、彼女がカジュアルで魅力的であったにもかかわらず、孤独で寂しい思いをしていたことが、本当に悲しい。人に喜びを与える代わりに、心の中では嫌な思いをしている。人とのつながりを心から欲し、エネルギーを惜しみなく使っている……歴史上、そのような人はいなかったでしょう。だから、彼女は本当に光輝くように飛び抜けた存在となったのだと思います」とコメント。続けて「誰もが彼女のことを知っているような気がするのは、それが彼女の才能だからであり、親しみやすく、彼女が自分の友達や母親のように感じられるところに、彼女の美しさがありました。しかし皮肉なことに、彼女は心の内を知ることができない人物であり、心の底では孤独になりたくない人物だったのです」と分析した。

ダイアナと同様にパパラッチの標的となった経験もあるスチュワート。本作でセレブリティの私生活を描いていることに話が及ぶと「他人の私生活に立ち入ることと、芸術が世界にもたらす多様性には違いがあります。この映画は何か新たな情報を提供するわけではありません。この映画の狙いは人々の間にある溝を埋めることにあると思います。仮にもし誰かが私についての映画を作ることがあったとしても、私は盗用されたとか、何かが奪われたとは思わないと思います」と語った。

なおワールドプレミアは1席空けながらであるものの満席に。今年のコンペ部門の審査員長であるポン・ジュノや同じく審査員で2020年に「ノマドランド」で金獅子賞を受賞したクロエ・ジャオも上映に姿を見せ、エンドロール後には約5分間のスタンディングオベーション起こった。

「Spencer(原題)」は2022年に日本公開予定。

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